これって何?“後発地震注意情報”について
- 2023年3月9日
この地震情報は正確には「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」という長い名前です。読んで字のごとく、「北海道・三陸沖」と地域を特定して、「後発」-つまり後から来る地震に注意しましょう、というものです。道南も対象地域に含まれます。今回の「道南DEぼうさい」は2022年12月に運用が始まったばかりの、この新しい地震情報がテーマです。
地震活動のパターン
解説は気象予報士で防災士、渡島総合振興局で地域防災を担当する國田博之(くにた・ひろゆき)さんです(現:北海道危機対策課)
國田さん
地震活動のパターンには主に3種類あるって知っていますか?
大きな地震が起きたあと小さな余震が続く「本震-余震型」。逆に最初の地震のあと、より大きな地震が来る「前震-本震型」。同じような規模の地震が何回も繰り返す「群発地震」です。
國田さん
日本で起きる地震のほとんどが「本震-余震型」なんですが、「前震-本震型」もあります。その代表的な例が東日本大震災です。
2011年の3月9日、三陸沖を震源とするマグニチュード7.3の大きな地震が発生。道南の最大震度は3でしたが、震源に近い東北地方では広い範囲で震度4~5弱の揺れを感じ、数10センチの津波も観測され、かきの養殖いかだが流されたりする被害も出ました。
そして2日後の3月11日。東北地方の同じエリアを震源とする巨大地震が発生しました。これが東日本大震災です。マグニチュードは9.0と2日前の地震をはるかに上回りました。今後このようなパターンの地震が、私たちの住む道南でも起きる可能性があるのです。
いつ出る?後発地震注意情報
後発地震注意情報が発表されるのは、北海道から三陸沖にかけての日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード7以上の地震が発生した場合です。地震が起きたあと、おおむね2時間後をめどに気象庁と内閣府が記者会見をして発表することになっています。道南の対象地域は渡島管内の沿岸の市と町です。
國田さん
だいたい2年に1回くらいの頻度で発生すると考えられていますので、これから目にしたり耳にしたりする機会は割とあるのではないかと思います。
後発地震注意情報が出たら?
これは“注意情報”であるため、発表されたからと言ってすぐに避難する必要はありません。ですが、このタイミングで準備すべきことがあると國田さんは言います。
國田さん
後発地震注意情報が出たら少なくとも「3つ」のことができるようにしてください。
① 「すぐ受信できる」:スマートフォンやラジオは使えますか?緊急地震速報や 津波警報、避難指示などの情報が受信できる状態にしましょう。
② 「すぐ避難できる」:津波警報が出た時に備えて、枕元に防寒着や非常用持ち出し袋などを置き、すぐに逃げられる服装で寝ましょう。
③ 「すぐ確認できる」:津波が来たらどこに集合するかなど、家族や大切な人の安否をすぐ確認できるよう話し合っておきましょう。
後発地震注意情報は「まさかがありうる」と心の防災レベルを高めるきっかけとなります。ただ、その時に気をつけなくてはいけないことがあると國田さんは言います。
國田さん
SNSには「何時何分に地震が起きる」というようなデマがたくさん投稿されるかもしれません。不確かな情報に振り回されないよう十分注意してください。
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