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今シーズンで引退 小野選手がもたらすもの

  • 2023年10月23日

やる気!元気!渡邉美希です。久しぶりのコンサメモです。今回は、今シーズン限りでの現役引退を発表した小野伸二選手です。これを機に、改めて小野選手の存在感の大きさを感じました。

今シーズン限りで現役引退へ 小野伸二選手

9月27日、北海道コンサドーレ札幌の小野伸二選手が、自身のSNSで、今シーズン限りでの引退を発表しました。この日は、小野選手の44歳の誕生日でした。

小野選手は、静岡県沼津市出身。18歳の時、浦和レッズでプロデビューし、ワールドカップには、1998年のフランス大会から3大会連続で出場しました。Jリーグだけでなく、海外ではオランダやドイツのチームでもプレーし、華麗なテクニックで多くのファンを魅了してきました。

コンサドーレに加入したのは、2014年。当時、北海道では加入を知らせる号外も配られました。2019年、2020年にはFC琉球に在籍しましたが、その後、コンサドーレに復帰し、9年目を迎えています。

“サッカーが好き”が原動力に

小野選手は、18歳からプロのピッチに立っていますが、原動力になっているのは、変わらずに持ち続けているサッカーへの思いだといいます。

小野選手「サッカーが好きだという気持ちじゃないですかね。そこがなければ、ここまで出来ていない。あとはたくさんの方が自分を支えてくれているので、その人たちのために頑張りたいなと思っています」

また、キャンプではコンサドーレへの思いも。

小野選手「コンサドーレはピッチ内外で仲が良く、ほかのチームにはないものを持っています。ただ仲がいいというわけではなく、みんなで切磋琢磨して、競い合って、高めていくチームに今年は変わっていくことで、いい結果が生まれるのではないかなと思っています。力を合わせていきたいです」

小野選手の今シーズンの公式戦初出場は、ことし6月の天皇杯2回戦でした。小野選手はベンチからのスタートで、チームメートが得点を決めると、誰よりも大きな拍手を送り、チームを盛りあげていました。私はベンチ近くで取材をしていましたが、小野選手がピッチに立つとスタジアムの雰囲気ががらりと変わりました。小野選手の全力で楽しむ、やり切るという姿と、その姿を目で追い声援を送るファン。その瞬間が印象深く心に残っています。

サッカーが好きだという思いは、練習でも。パス練習ひとつにしても、トラップやパスの出し方など、表現の仕方がすべて違うのです。ボールを体の一部のように操るプレーを見ていると、時間がすぐにたってしまいます。

プレーだけでない、小野選手がもたらすもの

小野選手が全体練習後に参加しているのが、若手選手とのパス練習。サイドチェンジのロングパスや、ショートパスなど1本1本、丁寧に受けて、そのたびにアドバイスを送っています。時には、冗談も交えて会話をして、若手選手との距離感の近さを感じます。また、グラウンドでは小野選手が自ら選手にスッと寄り添って話しかけたり、選手からの相談にじっくりと答えたりする姿も多く見ます。過去の取材で小野選手は「伝えたいことを伝えるだけ。みんなが伸び伸びとサッカーができる環境を作れるようにしたい」と、アドバイスを送るうえで大切にしていることを教えてくれました。小野選手と接する選手からは「アドバイスが心の支えになった」、「プレーの道筋を立ててくれた」という声が聞かれ、自らの経験を惜しみなく伝える小野選手の存在の大きさを実感しました。

昨シーズンまでコンサドーレでプレーし、現在は柏レイソルに所属する高嶺朋樹選手もその1人です。

高嶺朋樹選手
「自分が悩んでいるときに助けてくれて、すごく感謝しています。プレーに悩みが出て不調だった時、小野選手は『自分にないものを身につけようとするのではなく、自分らしさをしっかり出すことが自分の調子を取り戻すうえで大事だ』と教えてくれました。練習ではパスのクオリティとか、いろいろなものを学ばせてもらいましたし、人間性を含めて、尊敬できる人です。日本のサッカー界や、コンサドーレだけでなく、僕にも大きな影響をくれたので、引退するのは悲しいですが、伸二さんが決断したことなので、本当にお疲れさまと言いたい」

(写真はことし8月 小野選手が若手選手と話す様子)

小野選手の引退にファンは

引退を発表した翌日の9月28日。ファンにも大きな影響力を及ぼしたことを実感した日でした。宮の沢の練習場には、雨にもかかわらず、多くのファンが集まっていました。埼玉や仙台、静岡から北海道に旅行に来ていたファンは、行き先を変えて宮の沢に。引退発表を聞いて、その日のうちに千葉から北海道に来たというファンもいました。

千葉から来たファン
「小野選手に会いたくてきました。引退を聞いてショックでした。ワールドカップに出た時から見ていましたが、18歳のときから別格です。いまのプレーを見ても、まだできると思っています」

埼玉から来たファン
「旅行で来ていましたが、引退を聞いて、予定を変えてここに来ました。高校時代から知っていたし、浦和レッズでのデビューも見ていました。浦和でもずっと頑張ってくれたので寂しい。残りの試合に出てほしい」

札幌市内からきたファン
「小野選手が引退ということを聞いて、ふだんは練習場には来ていないけど、ずっと好きだったので見たいなと。小野選手がコンサドーレに来てくれてうれしかったし、試合に行くきっかけにもなりました。今まで楽しく見ていたので、見られなくなるのはさみしいです」

練習後、小野選手のファンサービスエリアには、今まで見たことがないくらいの長蛇の列が
できましたが、小野選手は1人1人に対して、サインしたり、写真撮影に応えたりしていました。

選手にもファンにも大きな影響力を与えてきた小野選手。残りの現役の時間でどのような姿を見せてくれるのか、取材を続けていきたいと思います。

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