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#コンサメモ⑤ 荒野拓馬選手 “チームのために” 嫌われ役になっても

  • 2023年6月2日

やる気!元気!渡邉美希です。久しぶりのコンサメモは、ミッドフィルダーの荒野拓馬選手です。初めて単独インタビューをさせていただきました。

荒野選手は札幌市出身の30歳。コンサドーレのアカデミー出身で、プロ入り後もコンサドーレ一筋でプレーしてきました。今シーズンは、主に中盤で起用され、リーグ戦では第15節までで、14試合に出場。そのうち11試合でフル出場しています。やはり目立つのは、『運動量』。1試合にどれだけ走ったか表す走行距離のランキングでは、多くの試合で、コンサドーレ内での1位をマークしています。ホイッスルがなるまで、全力で走り戦う姿が印象的です。

荒野選手
「試合に勝つために戦っていたら、結果的に走行距離が1位になっていることが多いですが、それはチームのために走れているというのはあります。プレーに必要な走りや、無駄な走りも含めて、チームのために走っていることが結果になっています。(以前と比べて)走れなくなるとか、戻れなくなるとか、そういうのはなくなってきていると感じます。攻撃も守備も色々なところに顔を出すことを意識しているので、それを続けていきたい」

渡邉
「最後の最後まで走る姿が多くありますが、意識しているのは」

荒野選手
「気持ちですね、負けないぞと、チームメイトがきつかったら戻って助けてやるぞと。
本当に勝ちたいっていう気持ちだけです。アドレナリンです。中盤で自分がいいプレーをすると、チームもよくなると思っていますし、どれだけ自分が走って戦うことで、チームや若い選手を引っ張ることを意識しているので、そこだけは切らせないように、チームが勝つためにどうするのかというのを考えてやっていますね」

運動量に加えて際立っているのが、予測の速さ。相手よりも一歩速く足を出して、今シーズンもピンチを何回も防いだり、ボールを奪ってチャンスにつなげたりしています。

渡邉 
「ミニゲームでは常に周りを見ている姿が印象的です。ポジショニングでイメージしていることは」

荒野選手
「落ち着いて慌てずにプレーすることを心がけています。周りを見ながら自分がどのプレーの選択をしたらいいのかとか、周りの情報を入れることが大事なので、常に首を振って、どこにいたらいいのかとか。チーム内では、西大伍選手を練習中に見て参考にしています。自分がプレッシャーをかけたときに、西選手がどうプレーしているのを肌で感じて、自分に取り入れています。彼の存在は大きいです」

渡邉
「居残りでのトレーニングでは、毎回、両足でのシュートをしていますが、いつからですか」

荒野選手
「小学生のころからずっと意識してやっていますね。中盤の選手として、両足で蹴ることができるというのは、武器だと思っています。若い選手にも利き足で、『両方使えるようにしたほうがいい』と伝えています。それを実践する選手は少ないですが、以前在籍していた選手だと、前寛之選手(現・アピスパ福岡)にも伝えていて、僕の言うことを聞いていたと思うので、両足でのキックは自信をもって蹴れるようになり、プレーの幅も広がると思うので」

“本気でぶつかる” 嫌われ役になっても

ことし30歳を迎えた荒野選手。チームの一員としてプレーだけでなく、言葉でもチームを引っ張っています。

荒野選手
「チームのいろんな選手、八とか(岡村大八選手)は、今年の主役になって頑張っていますが、そういった選手への声かけや、チームがうまくいかないときもそうですし、この間のソンユン選手の件もそうです。(詳細後述)
選手に声をかけて、本気でぶつかっていい方向に持って行くのは、やはり中堅としてもそうですし、30歳なのでそれは意識しています」

荒野選手が明かしてくれたソンユン選手とのエピソード。
多くのサポーターも気になっている方は多いのではないでしょうか。5月のJリーグカップの試合後、ソンユン選手と荒野選手が口論するシーンがありました。試合には勝ちましたが、ソンユン選手は自身のプレーに納得していなかったなど、様々な背景があったといいます。

荒野選手
「(ソンユンの)気持ちはわかるけど、チームが勝った時に仲間と喜び合えないのはよくないぞと。ソンユンも熱くなって聞けなかった中で、口論になりました。でも、僕はソンユンの気持ちもわかるし、良くなってほしいし、みんなソンユン好きなので。若い選手もちゃんとソンユンについていけるように、チームでそういう環境を作れるように話し合いました」

渡邉
「次の日には2人で走る姿も。どのように声かけをしましたか」

荒野選手
「特にないですが、僕から『ジョギングしようぜ』と。その時に、ソンユンが悩んでいるプレーとか相談を受けましたし、実際、僕も同じ悩みを経験してきたので、それに対してのアドバイスをしました。ただ、(試合の日)帰るときには和解していて、寝る前もラインでメッセージを送ったので、大丈夫です」

渡邉
「声かけ、コミュニケーションの部分を大事にするきっかけは」

荒野選手
「今までは、そこまでパワーを注がなくてもいいのかなと思っていました。でも、そういう風に自分が言うのも、自分が成長するためだし、チームのため。僕がチームに長くいて、チームを引っ張っていく存在でもあるので、そこをしっかり見せられるように、口うるさい先輩と言われることもあると思いますが、“嫌われ役”を積極的にやることによって、自分やその人の成長にもつながると思うので、意識しています」

渡邉
「本音で伝えるのは、なかなか勇気がいるなと・・・」

荒野選手
「でも僕ははっきりしているタイプなので、言うことは言います。それは年下、年上、関係はなく、結構僕が熱くなってぶつかってけんかになることが多いですが、でもピッチ離れたときには普通です。僕とソンユンからしたら普通で、お互い本気になって、良くしようとしてやっていることなので。本気でぶつかっても、ロッカーに帰ったときや、次の日には、引きずらないようにしています。言いたいこと言い合っていこうとしています」

上位浮上へ “連敗はできない”

コンサドーレは、第15節の名古屋戦は4連勝をかけた試合でしたが、開始27秒で失点して、1対2で敗れました。連勝は止まりましたが、再びいい流れに乗って、上位へ浮上するため、荒野選手は次の第16節が大事だといいます。

荒野選手
「どういうゲーム展開になるかわからないですが、前回みたいな立ち上がりの失点は、自分たちを苦しめるだけなので、気をつけたいです。また、朋樹(昨シーズンまでコンサドーレでプレーした高嶺選手)が柏レイソルに移籍して、頑張っている姿を見られるし、マッチアップする機会が多いと思うので、バチバチ戦うことを楽しみにしています。その中でも、上に行くために連敗はできないので、俺たちも負けないぞという気持ちで戦いたいです」

取材を終えて

荒野選手がインタビュー中、最も多く使った言葉は“チームのために”。ここまで、コンサドーレは攻撃力が目立ちますが、チームが勝つために、全力で走って戦い、向き合う荒野選手の存在は大きく、その姿から勇気をもらっています。これからもチームを支える荒野選手の活躍に注目です。初めての単独インタビューでしたが、丁寧に答えてくれました。ありがとうございました!

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