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平取町二風谷 アイヌ文化を伝承するために

  • 2023年6月8日

こんにちは!「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」胆振日高担当リポーターの内部明日香です。もう6月ですね。はやい!この時期の北海道の気候、爽やかで大好きだな~と毎年思います。今回のななまるMAPは平取町の話題。6月17日の土曜日、アイヌの人たちの歌や踊りなどを披露するイベントが4年ぶりに開かれます。それを前に、イベントに出演する男性に会いに行ってきました。

訪ねたのは、浦河町出身の岡本朋也さん。アイヌ民族にルーツがあり、この春から、地域おこし協力隊として平取町アイヌ工芸伝承館ウレㇱパで技術を磨いています。
この日作っていたのは、マキリ。岡本さんいわく、「ナイフのようなもので、このマキリ一本で獲物をさばいたり料理をしたりするものです。この「ウロコ彫り」が二風谷の工芸の特徴のひとつなんです。」とのこと!

このほかにもお盆として使うイタや、儀式のときに使う刀のエムㇱなど、岡本さんが作った作品は複数ウレㇱパに展示されています。どれも細かい文様が美しいなと私は感じましたが、岡本さんいわくご自身の技術はまだまだなんだとか。

どうして二風谷で腕を磨こうとしたのでしょうか?

「二風谷は工芸家の方たち一人ひとりの腕とか技とかそういったものが際立っていますし、とても工芸が盛んな場所です。それに、2013年に経済産業省から指定を受けた「伝統的工芸品」の二風谷イタと二風谷アットゥㇱというのがあって、北海道で唯一、二風谷の二つが伝統的工芸品に指定されているので、工芸をやるんだったらこんなに素晴らしい環境はないなと思っています。工芸だけじゃなくて販売のノウハウだったり、お客さんとの関係性だったり、技だけじゃなくそういったものも教えていただけるので、とてもいい環境です。」

岡本さん、この春から工芸を始めたまったくの初心者というわけではありません!アイヌ民族文化財団の「伝承者育成事業」に応募して、3年間アイヌ工芸を学んでいたという情熱の持ち主なんです!どうして工芸家を目指そうと思ったのか伺いました。

「ものづくりが好きっていうのがまず一番にあって、その中でも僕自身がアイヌ民族にルーツがあるので、アイヌである自分にしかできないことってアイヌの工芸があるなと思って工芸家を目指しました。もう一つは、いま僕の家系でアイヌ文化の伝承をしている人が祖父の妹しかいなくて、その方がもし亡くなってしまったら僕の家系のアイヌ文化がなくなってしまって伝承する人がいなくなってしまいます。そういうふうにアイヌ文化って減っていってしまったのかなと思うので、使命感というか、自分が何かアイヌ文化をのこせたらいいなと思ったんです。」

岡本さんを日々見守っているウレㇱパ施設長の新井貞則さんにもお話を伺いました。

「工芸で一本立ちしようという強い気持ちをいつも彼から感じています。こういった若い人がどんどん工芸で食べていけるように仕組みや土壌を作っていくのが我々の仕事なので、応援していきたいです。これまでの工芸家の方々も、工芸で食べていくには大変だったと思うんですね。そしていま二風谷で活躍していらっしゃる工芸家の方々も、きっとそういう時を経て頑張ってきて今があると思うんです。そういった昔から頑張ってきた人たちの思いも乗せて、岡本君自身も努力して、一流の工芸家になってくれれば教えてくれた人たちも喜んでくれるんじゃないかと思いますよ。」

工芸のほかにも、伝承したいと考えているものがあります。それが古式舞踊です!
岡本さんは、大学時代に古式舞踊を始め、いまは平取アイヌ文化保存会に所属し踊りを続けています。取材に伺ったこの日、特別に踊りを見せてもらいました。

岡本さん
「まず基本的な動きは、屈伸です。上下に屈伸します。男はかかとを強く踏みならすようにするんです。魔よけの際に踊るものなので、力強く見せるのが大事だと習っています」

「剣の踊りなんですけど、二人一組で踊るものなんです。向かい合って円を描くように踊ったり、剣をぶつけ合ったりするものもあります」

刀の鍔がカチンと鳴るように緩めてあったのですが、その音も相まって本当にかっこよかったです!ちなみに、刀の鍔の音にも魔よけの意味があるそうですよ。

今回は特別に踊りを見せていただきましたが、みなさんも二風谷で岡本さんが踊る姿を見られるチャンスがあります!6月17日(土)16時から、「AINU MUSIC LIVE UREKREKU」というイベントが開かれるんです!会場は、二風谷湖公園の二風谷ダム周辺ステージです。

二風谷湖畔のロケーションで見る踊りはとっても素敵だったので、遊びに行ってみては?(^ ^)

工芸に古式舞踊。アイヌ文化を伝承したいという強い思いを感じ、最後に岡本さんに伺ってみました。

「工芸家を目指している一人ではあるんですけど、アイヌ文化の伝承するいち人間として、こういったイベントなどに積極的に参加して、アイヌ文化を盛り上げていけたらと思っています。学べば学ぶほどアイヌ文化は奥深さとか豊かさがあると思うので、そういったものをいろんな人に知ってもらいたいですし、ぜひ二風谷に遊びに来てほしいなと思っています。」

岡本さんの工芸や古式舞踊、もちろん放送でも詳しくご紹介しますので、きょう18:40からの「ほっとニュース道央いぶりDAYひだか」をぜひご覧ください!それでは(^ ^)

私が前回取材を担当した、「安平町に初夏が来た!広大な菜の花畑!」についての記事も併せてご覧ください♪もしかしたら菜の花の見ごろは終わってしまっているかもしれませんが、菜の花グルメはまだまだ楽しめますよ!

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