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「テレビでラジオの話。」~0755DDチャンネル

  • 2024年2月22日

札幌ススキノにオープンラジオスタジオが開設された。民放ラジオ4局が公開生放送を開始、さらに大学生が表現の場として使い始めた。SNS時代にラジオが果たす役割とは何か。

再放送 :3月  9日(土)午前11:31-総合
初回放送:2月24日(土)午前7:55- 総合 / NHKプラス見逃し配信中

“見える”ラジオスタジオ誕生を追いました

デジタル・戦略G(広報)の福島です。私はラジオが好きです。夜ベッドに入ったら、スマホ内のradikoで聴きながら眠ります。朝起きたら、radikoを付けて顔を洗い歯を磨きます。ながら聴きができて、知らない音楽との出会いもあり、目に見えないけどスタジオとの距離感の近いラジオが好きです。

2023年11月末、札幌のススキノに新たにオープンした商業施設の中に、ガラス張りの、“目に見える”オープンラジオスタジオがオープンしました。このスタジオは、従来のような特定のラジオ局に属するものではなく、全国的にも珍しい“共創型”の、みんなで使うラジオスタジオです。

北海道の民放ラジオ4局が生放送するほか、TV局、コミュニティFM、大学生などがこのスタジオで情報発信中。ポッドキャストの収録や、DJプレイなども行われています。そして、キッズや、人気ライバー(ライブ配信する人)も!まさに、“オープン”なスタジオなんです。

今は、スマホ・SNSの時代ですが、来年2025年3月は、ラジオ放送開始100年の節目の年。今回、商業施設運営会社、スタジオ運営会社、民放ラジオ局、大学生に、オープンラジオスタジオについてのそれぞれの狙いや想いを取材しました。

この記事では本放送(5分)からこぼれた部分も加えてお伝えします。Stay tune! 

ススキノにラジオスタジオ

2023年11月30日、よくテレビでも見る札幌ススキノ交差点の一角に、新たな商業施設がオープン。その中に、オープンラジオスタジオができた、ということで、NHKでラジオ、といえば神門光太朗アナウンサーが現地に向いました。そのスタジオは、国道36号線のバス停前の入口から入ってすぐ、バスの待合スペースに隣接しています。スタジオを見た神門アナは、「洗練されている~」と興奮気味。

神門光太朗アナ
「いちラジオファンとしてもうれしい、いちラジオパーソナリティとしてもうれしい」

11月30日のオープニングセレモニーには、「AIR-G‘」「FM NORTH WAVE」「STVラジオ」「HBCラジオ」と、ラジオ各局のラジオパーソナリティが集合。このスタジオは複数のラジオ局がかわるがわる公開生放送を行っています。

目の前にいる人と新しいラジオ

このオープンスタジオから番組を放送する民放ラジオ各局の担当者と出演者に、その狙いや手ごたえを聞きました。


【FM NORTH WAVE】毎週金曜日 午後5時00分~「札駅前バンガーズ」

編成部の竹島智之さんは、20代のリスナーとの接点を持ちたいと、昨年4月に、番組「札駅前バンガーズ」を立ち上げたものの、ターゲットに聴いてもらうには、いつものスタジオで放送しているだけでは足りないと感じ、20代の生活圏に出ていく必要があったと狙いを話しました。

編成部 竹島智之さん
「われわれのほうから20代のいる場所に飛び込んでいこうじゃないかと」「ラジオってカッコイイな、カッコイイのかも、と20代の人たちに感じとってもらえたら嬉しい」

”見える”スタジオによって、20代のリスナーも増やしたいが、20代の人たちに、ラジオDJ やラジオディレクターになりたい、番組を作ってみたいと思ってもらい、優秀な人材や可能性ある人材ががこの業界に入ってきてくれることも期待しているとのこと。

【AIR-G’】毎週月曜日 午後7時30分~「にーはち.スポーツ」

スタジオの外にいるお客さんと積極的にコミュニケーションをはかっているのが、この番組です。取材した日も、パーソナリティが、曲を流している合間にスタジオを飛び出し、スタジオ前のお客さんとおしゃべりが始まりました。ディレクターの中家佑太さんが、「あと10秒です!」と呼びもどすシーンも。その中家さんは—。

編成制作部 中家佑太さん
「パーソナリティの二人は、人とコミュニケーションするのが好き。オープンラジオスタジオで番組をやりたいと彼らに相談したとき、リスナーさんが遊びに来てくれたら僕らも絡むことができるし、今まで会ったことがない人に会えるのはとてもいいので、とスタートしました」

【HBCラジオ】毎週月・木曜日 午後4時00分~「After Beat」(火曜・水曜はHBCから放送)

編成制作部 横山佳菜絵さん
「このラジオスタジオと、目の前をたまたま通りかかって立ち止まってくれた人と、今までのリスナーさんと、この3点をつなげるのが面白いなと。うまくつなげられたらいいなと思っています」

横山さんは、スタジオ外側に付いているマイクでお客さんとおしゃべりできるこのスタジオの特徴を活かしたいと話します。また、アーティストをゲストに迎えた際に、そのファンの方々の顔が見えるのも、通常のスタジオにはない双方向性が、制作者としてたいへん勉強になるとのこと。

番組パーソナリティの金子智也さんにもインタビュー。

シンガーソングライター・金子智也さん
「ほとんど知らない人が通ってくれると思うんですけど、1か月たって徐々に思ったのが、街歩いてたら、『あれ~、あそこでしゃべってたの、お前じゃん!』」みたいに声かけてくれるようになったんですよね」

スタジオ前を通る人が手をふってくれるのがうれしいと言う金子さん。このスタジオで放送するようになってから、『初めてメッセージを送ります』というメールが増えてきており、認知度アップも感じているとのこと。

「基本は、ラジオを聞いてくれているラジオの前のひとに伝えようと思ってますが、やはり見られてるとテンション感が変わってきます。よりライブ感が加わるというか。それを楽しんでますね。月・木曜日はこのスタジオで、火・水曜日とはまたちょっと違った感じというか。同じ番組でもちょっと違うのが面白いなと」と、このスタジオでの放送を楽しんでいる様子でした。

ススキノの一等地の商業施設にラジオスタジオを置く意味とは?商業施設運営会社の志村敦史さんに聞きました。

志村さんは、昼間のススキノにどうやって人を集めようか、来てもらった人にどうやって昼の時間帯を楽しんでもらおうかと考えたときに、何か発見できる場所だったり、なにか体験・体験できるエンタメ要素をしっかり充実させようと社内で議論した結果、ラジオスタジオ設置を決めたと、施設の中心エリアにスタジオを設置した理由を話しました。

商業施設運営会社 志村敦史さん
「高齢者も、お子さまも、高校生も学生も、普段体験できない、体感できないものを、ここに来れば感じ取れるような場所になれれば」

今後、いろんな活動をしている人が、自らここで情報発信したい、このスタジオを使いたい!という場所になっていけば、と期待しています。

来たれ!次代のクリエーター

スタジオは次の時代のクリエーターを育てる場でもあります。いま、札幌の2つの大学、藤女子大学放送研究会と、北海学園大学放送研究会の学生たちが、施設内向け放送にチャレンジ中です。

※(写真左)藤女子大学放送研究会
ススキノのスタジオとコミュニティFM「三角山放送局」で月に1回ラジオ番組を担当。NHK全国大学放送コンテスト等の大会への出場や、司会のボランティアなども積極的に行っている。2023年のNHK全国大学放送コンテストでは、創部以来初となる本選大会に進出した。

※(写真右)北海学園大学放送研究会
映像・音声作品の制作やアナウンス・朗読など幅広い分野で活動している。部員は現在34名で、経験者も未経験者もいるサークル。2023年のNHK全国大学放送コンテストでは3つの作品が3位を受賞。*このススキノのスタジオで収録した番組をYouTubeで配信中。

藤女子大学放送研究会の番組は、授業やゼミの話から学食やサークルの話まで、キャンパスライフについて女子大生の視点から、幅広く自由にトークする番組。

この日は、4年生の中村優依さんをメインパーソナリティに、後輩や同期10人の学生が、次々にゲスト風に出演。十人十色の大学生活をおしゃべりした3時間!でした。

学生たちをサポートしているのは、スタジオ運営会社の松澤悠太さんです。
松澤さん自身もラジオが大好きで大手ガス会社から転職しました。

松澤さんは、重大な仕事を任されている責任を感じながら、この共創型スタジオをどう大きくしていけばいいか初めてのチャレンジを楽しんでいます、と話します。

スタジオ運営会社 松澤悠太さん
(学生たちの番組を見て・聴いて)「年を重ねてから作れる番組ではなくて、いましかできない番組にチャレンジできる環境だと思うので、まずはチャレンジしてくれれば、ぼくたちは嬉しい」

両大学の放送研究会に所属する嶋崎まどかさん(写真手前)は、

いちから番組を立ち上げるのは初めてだったので大変だったが、みんなで支えあいながらできたのはいい経験だった。コンセプト作り、デジタルサイネージの作り方、番組構成の仕方も自分たちでやったが、やったことないことが山積みだったので、プロの力も借りて準備した、と振り返りました。

藤女子大学4年生・嶋崎まどかさん
「いま、SNSでも発信できる場はあると思うが、ラジオに声を乗せることによって自分たちの素の姿をいつもとは違う視点でお届けすることができるので、魅力と感じています」

神門アナもこのスタジオから公開生放送にチャレンジ

放送予定:「北海道のなにか」3/9(土)午後2:05~ ラジオ第1

神門光太朗アナ
「ここを行き交う人たちは知らない人たちばかりですよ。そこと私との、初めての接点という場所になるのかなというのが嬉しいですね。ちょっといつもと違う、ちょっと楽しみな放送になると思いますんで、よろしくお願いします」

何かオープンラジオスタジオのエピソードはないかと聞いたところ、神門アナから、「小学生のとき、岡山に住んでいたころ、百貨店の前にサテライトスタジオがあり、とあるラジオ局が毎日公開放送していた。通りががったときに、あ、ラジオで聞こえてくる人の声と同じ声がしゃべってるぞ、あのお兄さんこんな顔なんだ~と。実際にしゃべってる人が目の前にいるがすごくうれしかった。それから、そのパーソナリティの人と親近感が生まれて、その人のことをもっと知りたいもっと知りたいとなり、もともとラジオ少年でしたが熱心に聴くようになりました。電波、ハガキ、メールを通した関係が、リスナーとぐっと近づくのがオープンスタジオの良さでは」と、アナウンサーを目指すことになった原体験を話してくれました。

取材を終えて

取材にご協力いただいた皆さんのあふれ出るラジオ愛に感動しました。そして、普段は見えないラジオが”見える”ことで生まれるラジオメディアの新たな可能性も感じました。”共創型”のみんなで使うこのスタジオを起点に、北海道のエンタメがいっそう盛り上がりそうな予感がしています。そして、この取材を通じてもっとラジオが好きになりました。

書いた人

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