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データで独自分析 帯広中心部の空洞化

  • 2023年8月2日

藤丸、そして長崎屋。帯広市中心部の大型店が相次いで閉店し市街地の空洞化が懸念されます。データで分析するとその深刻な状況が見えてきました。(NHK帯広 前嶋紗月) 

閉店の前後で通行量がほぼ半分に

NHKは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータをもとにことし6月までの1年間、土日・祝日の午後2時台の藤丸の周辺の通行量を分析しました。

その結果です。藤丸がことし1月末に閉店する前はおおむね1日1000人台で推移し、閉店直前の1月29日には2000人近くまで増加していました。

しかし、藤丸が閉店した後は大きく人数が減少し、1000人を超えた日は1日もありませんでした。そして、6月最後の日曜日だった先月25日は581人にまで落ち込み、去年の6月最後の日曜日と比べると500人以上減少して半分近くに落ち込んでいました。藤丸閉店が周辺の人の流れに多く影響を与えたことが浮き彫りとなりました。

(帯広市に住む女性)
「本当にこんなに減っているんですね。歩けるうちにたて直してくれればいいのだけど」

(商店街で飲食店経営)
「藤丸がなくなったのでこれからの帯広市中心市街地への考え方は変わらなきゃいけないと思うし変わってくれなきゃまずいと思っている」

商工会議所も

さらに、帯広商工会議所も通行量の減少を示すデータを発表しています。6月上旬と7月上旬に調査したところ、藤丸の正面入り口に面した通りでは、平日の歩行者数が去年に比べて7割余り減少していたということです。帯広商工会議所の三井真 専務理事は「人の流れが点になり、街なか全体の滞留時間と人の流れが失われている」と話しています。

多様な価値をつくり出す場に

都市と経済の関係に詳しい釧路公立大学の神野照敏教授は、中心市街地に多様な機能を持たせることが重要だと考えています。

(釧路公立大学 神野照敏教授)
「消費の場としてはネット通販や郊外の大型店のほうが、商品の種類も豊富で店舗の規模も大きく、中心市街地の店が対抗していくことは難しい。その上で機能が単一にならないことが重要だと思う。中心市街地には『昼の顔』、『夜の顔』といったさまざまな姿がある。また、学びや交流など多くの機能が展開している場になれば魅力も高まると考えている」

取材後記

大型店の撤退やネット通販の拡大などで中心市街地の役割は変化しています。今求められる中心市街地とはなんなのか。いま一度考え直す好機だと思います。商店街や行政、それにまちを利用する人も巻き込んで議論を進めていくことが大切だと感じました。

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