ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ほっとニュースweb
  4. 【詳報】函館市長選挙 新人で市の元部長の大泉潤氏が現職を破り初当選

【詳報】函館市長選挙 新人で市の元部長の大泉潤氏が現職を破り初当選

  • 2023年4月24日

現職に新人が挑んだ函館市長選挙は、無所属で立憲民主党が支持した新人の大泉潤氏が自民党と公明党函館総支部が推薦した現職の工藤寿樹氏を破り、初めての当選を果たしました。(NHK北海道選挙取材班)

函館市長選挙の開票結果です。
▼大泉潤(無所属・新)当選、9万8174票。
▼工藤寿樹(無所属・現)、2万3483票。
立憲民主党が支持した市の元部長の新人、大泉氏が、自民党と公明党函館総支部が推薦し4期目を目指した現職の工藤氏を破り、初めての当選を果たしました。
7万票余りの大差をつけての勝利となりました。

大泉氏は江別市出身の57歳。
1995年(平成7年)に函館市役所に入り、秘書課長や観光部長、保健福祉部長などを務めました。

選挙戦で大泉氏は、3期12年にわたるいまの市政からの転換を掲げ、「函館が選ばれるまちになるよう都市としてのステータスを引き上げる」と訴えました。
さらに、子育て支援や教育環境の充実に力を入れるとともに、函館駅への新幹線乗り入れに向けた調査やふるさと納税の寄付額を年間100億円にまで増やす取り組みを進めるなどと訴えました。
そして、支持を受けた立憲民主党の支持層を固めたほか、工藤氏を推薦した自民党や公明党の支持層、それに無党派層からも幅広い支持を集めて、初めての当選を果たしました。
投票率は58.15%と、前回・4年前の選挙の49.32%を8.83ポイント上回りました。


大泉氏「誰ひとり置き去りにしない寄り添う行政を」 工藤氏「まちの活性化を期待」

大泉潤氏は、「函館をあきらめない多くの皆さんに党派を超えて支援していただいた結果、いまの勝利があると思う。市民や地域が分断されることはあってはならず、国籍や年齢、性別、政党を超えて誰もが幸せを感じられる社会を実現する誰ひとり置き去りにしない寄り添う行政に全力を尽くしていく」と述べました。
また、記者団の取材に対し、「函館を変えていく、地域の誇りを取り戻すという考えが伝わった。雇用拡大のほか、子育て・教育といった未来のための投資をするとともに、若い人に選ばれるよう都市ブランドを高めていく。物価高対策を早急に実施する」と話していました。

一方、敗れた現職の工藤寿樹氏は、「3期12年の間、全力を尽くして市政を運営してきた。ここ3年は新型コロナで思うような活動ができず不本意ではあったが、前向きに仕事をさせていただいた。新型コロナで経済と市民生活が圧迫されたが、今後、まちが活性化していくことを期待している」と述べました。


大泉氏の公約 新幹線の函館駅乗り入れは ふるさと納税年間寄付額100億円は

大泉氏はNHKの開票速報番組のインタビューで、公約として掲げた北海道新幹線のJR函館駅への乗り入れに向けた調査について、「技術的な課題やニーズ、ランニングコストを調査することから始めたい。その上でまず、市民の皆さんとも議論をして進めていきたい。地域を活性化するための起爆剤として、北海道新幹線の函館駅への乗り入れが最もふさわしいと思っている」と述べました。
また、ふるさと納税の年間寄付額を100億円に増やすという公約については、「市がプロモーションの予算をしっかり確保することが必要だ。返礼品も『モノ消費』ではなく『コト消費』を誘発すれば、観光客が多い函館なら十分に効果があると思う」と述べました。


大泉氏 一夜明けて

24日朝、大泉氏は函館市松風町にある後援会の事務所を訪れ、みずからの当選を伝える新聞の紙面に目を通しました。
そして、「本当にたくさんの人から支持をいただき、身が引き締まる思いで、あらためてしっかりと市政の改革に取り組まなければならないと感じている」と述べました。
さらに、「待ったなしの政策として物価高の中で苦しむ人たちへの対策をしたい。また、雇用の拡大や子育て支援や教育の充実などしっかり政策のパッケージを示していきたい」と抱負を述べました。

また、弟で俳優の大泉洋さんからお祝いのメッセージが届いたことを明かし、「『よくやったね』などと連絡が来て、大変喜んでくれていてうれしい」と話していました。

大泉氏は午後2時すぎ、市役所を訪れ、函館市選挙管理委員会の田崎竹嗣委員長から当選証書が手渡されました。

当選証書を受け取ったあと、大泉氏は報道陣の取材に応じ、「非常に重たい1枚だと思います。たくさんの方から投票をいただいた期待に応えなければならないという気持ちでいっぱいです」と述べました。
大泉氏は今月27日に新しい市長として初登庁する予定です。

函館市長選挙の結果や新しい市政への思いを函館で街の人に聞きました。
80代の女性は「大泉さんが当選してうれしいです。今後の函館が若い人たちにとって良い街になっていくことを期待しています」と話していました。
また80代の男性は「大泉さんが公約に掲げた北海道新幹線の函館駅への乗り入れに向けた調査が順調に進むことを期待しています」と話していました。
地元の大学に通う女性は「大泉さんが当選したことで若い人が政治に興味を持ちやすくなると思う。函館市は観光地としては魅力があると思うが、市民の幸福度は低いと聞いているので、改善されることを期待しています」と話していました。
また別の大学生は「交通の不便さを感じることがあるので、公共交通網がもっと広がってくれたらうれしいです」と話していました。


【解説】大泉氏の勝因は 今後の市政は

今回の選挙で、大泉氏は現職の4倍以上の得票で、圧勝でした。
「まちの閉塞感を打ち破ってほしい」 そうした市民の期待が得票にあらわれたとみられます。
全国有数の観光地、函館。道内最多ペースで進む人口減少や目立つ空き家、中心市街地の空洞化など、まちの課題は山積しています。新型コロナで打撃を受けた主力の観光産業も回復の途上です。

こうしたなか、「函館を変える」「地域の誇りを取り戻す」と訴えて登場したのが大泉氏でした。
「新しい風」を起こしてほしいという期待感は、市民の間で日に日に高まっていったようにも思えます。選挙期間中、大泉氏の周りには子どもから高齢者までさまざまな人が集まり、運動も盛り上がりを見せていました。前回より大幅に上昇した投票率もそうした期待感のあらわれだとみられます。

大泉氏の公約では、JR函館駅への新幹線乗り入れをめぐる公約が関心を集めています。大泉氏としては、まずは「議論の場に上げたい」という意向です。
函館駅への乗り入れはかつて議論されたものの、経費の面で実現しなかったという経緯があります。

関係者の間には、在来線の線路を改良し、新幹線車両が走れるようにする「ミニ新幹線」方式などでの検討の可能性を指摘する声もありますが、仮に進めるとして、市単独で出来る話では当然、ありません。

国がどう出るか、また、道やJRを含めた経費負担の枠組みをどう考えていくかも、立ちはだかる課題となってきます。
道南では、新幹線の札幌延伸に伴う函館~長万部間の並行在来線の協議も進んでいます。
まずは、大泉氏が主張する乗り入れに向けた調査をどういったタイムスケジュールで、どう関係者を巻き込んで進めていくのか。新市長としての手腕が問われることになります。


大泉氏 NHKのインタビューに

函館市長選挙で初当選した大泉潤氏は24日、NHKのインタビューに応じ、公約に掲げた北海道新幹線の函館駅への乗り入れに向けた調査について、今年度中に調査結果をまとめる意向を明らかにしました。

《初当選について》
この中で大泉氏は、現職に7万票余りの差をつけて当選したことについて、「幅広い世代から支持を得られたかなと思う。党派を超えて応援いただいた」と振り返りました。
また、投票率が前回の市長選挙よりも9ポイント近く上昇したことについて、「これまで政治や選挙に関心がなかった層に投票所に足を運んでいただいたというのは大きな言い方をすれば社会の変化かなと思う。鉄は熱いうちに打てということばもあるが、今が若い人も含めて行政と市民が距離を縮めるチャンスだと思う」と話しました。

《公約「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」》
公約に掲げた北海道新幹線の函館駅への乗り入れに向けた調査について、今年度中に調査結果をまとめる意向を明らかにし、「函館が経済や市街地の発展も含めて一点突破する起爆剤のひとつが新幹線乗り入れだ。それにかける投資と費用対効果がどこまで理解を得られるかだと思っている」と述べました。

《そのほかの政策について》
選挙戦で掲げたおよそ140の政策のうち、優先して取り組むことについて、「まずは物価高に悩む市民への支援をしなければならない。そして子育てと教育では、例えば第2子以降の保育料の無償化や小学1年生への10万円支給などを早くやらなければならない。一方で、高齢者が非常に多い街で、1人暮らしの高齢者がとりわけ多い特徴もあるので高齢者福祉も速やかに着手していきたい」と話しました。
人口減少対策や雇用の創出については、「地元企業の活性化と企業の誘致、スタートアップのような起業の推進が重点的なテーマになってくる。企業誘致もまだまだ本腰を入れられる」と述べました。
ふるさと納税の寄付額を年間100億円に増やすとする取り組みについては、「市でしっかりプロモーションをしていくという明確な態度を打ち出すことで、返礼品を作る企業も稼ぐ知恵を発揮する場ができることになる。官と民で力を合わせた取り組みにしていきたい」と話しました。
また、観光客1人あたりの消費額を倍増させるとしたことについては、「富裕層向けのホテルを誘致することと、富裕層向けのコンテンツを用意することを同時に進めていくことで消費額を増やしていきたい」と述べました。

《選挙戦での政党の支持・推薦について》
今回の選挙で大泉氏は立憲民主党の支持を受け、現職は自民党と公明党函館総支部の推薦を受けていました。
これついて大泉氏は「私は無所属で市民党という立場だ。まちづくりを進めるにあたって、政党にこだわりすぎてはならないのはどこの首長でも同じだ。北海道にしても政府にしても政権与党の国会議員や道議会議員にしっかり要望していきたい」と話していました。

 

前回・2019年(平成31年)までの戦いは👇

函館市長選挙 戦いの歴史 最近の選挙結果は

 

出口調査を詳しく分析すると👇

チョイス北海道 トップページ👇

北海道の選挙を詳しく👇

 

ページトップに戻る