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アンケートで明らかに!道南の防災意識

  • 2023年3月27日

いつもの年よりちょっと早めに雪が解けた北海道。これからまた雨の季節がやってきます。雨と言えば、2022年8月は道南各地で大雨の被害が出ました。今回の「道南DEぼうさい」はその大雨の時の道南の人々の行動や日頃の備えについて、渡島総合振興局と北海道防災士会が行ったアンケート調査の結果から見えてきたことについてお伝えします。解説は気象予報士で防災士、渡島総合振興局で地域防災を担当する國田博之(くにた・ひろゆき)さんです。(現:北海道危機対策課)

函館で歴史的な大雨
まず、2022年の大雨を振り返ってみましょう。8月8日、函館では1時間降水量の記録を83年ぶりに塗り替える記録的な大雨が降りました。市内の道路はあちらこちらで冠水。湯川方面を中心に60軒を越える浸水被害が出ました。

そして函館の大雨から8日後の8月16日。今度は桧山北部を中心に激しい雨が降りました。特に今金町では24時間に200ミリを超える記録的な大雨となりました。この影響で住宅が浸水する被害があったほか、収穫期を迎えたジャガイモなど多くの農作物や農業施設が浸水被害を受けました。
2022年の8月、道南は前線と湿った空気の影響で繰り返しこのような大雨に見舞われ、一か月の間に11の自治体に「避難指示」などが出されました。道南に住む多くの人に危険が迫っていたのです。

迫る危機 その時どう行動しましたか?
そこで、北海道防災士会と解説の國田博之さんら渡島総合振興局が協力して、この時の避難行動や普段の防災意識についてアンケート調査を行いました。
まず、「日頃の備え」についてです。「避難場所を知っている」と答えた方はおよそ半数。「非常用持ち出し袋を準備している」、「家庭内で水や食料を備蓄している」という質問に対する答えは半数に届きませんでした。

國田さん
備えをしていないことが普通だと言う人が多くて、このままだとまさかの災害の時に「着の身着のままで右往左往する方」が大勢出る恐れがあります

次に、避難指示が出て実際に「避難行動をとったか?」についてです。函館市、北斗市、松前町の人々の回答によると、避難所に行った人が5%、知人・親せきの家などに行った人が4%、自宅の中で高いところへ移動したという人は14%ということで、避難率は2割あまりにとどまりました。

國田さん
2割というのは低いと言わざるを得ません。日本海溝・千島海溝の大津波の場合、避難率2割の場合は数万人の方が亡くなりかねず、7割まで高めないと被害を大きく減らせないとされているんです。

では、道南の人々は「何をきっかけに避難しようとしていた」のでしょうか?
アンケート調査の結果によると、「避難指示」や「災害が起きそうだと感じたら」が1位2位ですが、「緊急安全確保」や「災害が起きたら逃げる」という回答も上位に来ています。この結果に國田さんは警戒感を強めています。

國田さん
避難情報に関する警戒レベルは5段階ありますが、「緊急安全確保」は最高のレベル5で、既に災害が発生して避難所へ逃げる時間がないような状況の時に出される情報です。レベル4の避難指示で「危険な場所から全員退避」をする必要があるのです。ここを変えないと、まさかの災害の時に逃げ遅れる人がたくさん出てしまう恐れがあります。

今すぐできることから
渡島総合振興局ではアンケート調査の結果を実際の防災対応に活かすため、渡島管内の防災担当者と学習会を開催し、「確実な避難につながる情報発信のあり方」や「安心して逃げられる避難所の環境整備」などの検討が始まっています。國田さんはそうした活動に取り組む一方で、道南で生活する私たちに向けても「すぐにできる備えから始めましょう」と呼び掛けています。

國田さん
大雨だけでなく、日本海溝・千島海溝の地震津波もいつ起きてもおかしくありません。道南の皆さんには、「避難指示が出た時に逃げる場所を決めておく」、「持ち出すものを用意する」、「在宅避難に備えて備蓄する」、まずはこの3つから備えを始めて欲しいと思います。

向井一弘が書いた記事はこちら
まさかは必ずやって来る ~道南の災害記憶を次世代へ~ 
これって何?“後発地震注意情報”について 
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