だまされんDO！ラップで特殊詐欺被害を防げ！

2023年7月14日

2023年も相次いでいる特殊詐欺。道内では、上半期の被害額が１億5000万円近くにのぼっています。こうした中、詐欺の手口や注意点を特技のラップで伝えようと奮闘している男性がいます。（浦河支局井坂美保子）

祖母が受けた電話がきっかけで…

「おかしいなおかしいな焦ってしまうようなお話は　
１人で悩まずまず相談＃（シャープ）に9110」

軽快なラップを披露する塩田政行（34）さん。
その勤め先は、新ひだか町にある静内警察署です。塩田さんは生活安全課の警察官です。

警察官を志したきっかけは、祖母にかかってきた１本の特殊詐欺の電話でした。
幸い被害はありませんでしたが、こうした詐欺を防ぎたいと今の仕事につきました。しかし、被害はあとを絶ちません。

塩田政行さん
「特殊詐欺って、親が子どもを思う心を逆手に取った犯罪じゃないですか。それはもう、どうしても許せないなと思って警察官を目指しました。被害にあわれた方も結構自分のこと責めたりもしちゃうんですよ。未然に防げるんだったら防ぎたいですよね」

特技のラップをいかす

もっとできることはないのか。
そんな思いを募らせる中、町内で警察のイベントが開かれることになりました。
かつてヒップホップグループで音楽活動に励んできた塩田さん。
そこで、特技のラップをいかし、詐欺の撲滅を訴える曲を１か月半かけて作りました。

塩田政行さん
「ラップは最大の個性だと思うんで、その経験をいかして広報ができたら１番いいかなと思いました。詐欺にあわないようにどうしたらいいかっていうのを考えて作った曲だったので、歌詞の部分はやっぱり力を入れて作りました」

手口や注意点を軽快なリズムで

そして本番。後輩の警察官とともに、渾身の一曲「STOP詐欺ラップ」を披露しました。

「おかしいなおかしいな焦ってしまうようなお話は　
１人で悩まずまず相談＃（シャープ）に9110
お金は振り込まない、送らない、手渡さないのが鉄則これ約束
詐欺師に騙されないようにまずは大きな深呼吸」
（「#9110」は、特殊詐欺の警察の相談専用窓口）

歌詞には詐欺の誘い文句も盛り込みました。

「まずは人ごとに思っているあなたは要注意
私なら大丈夫って自信なら必要ありません
狙われているあなたの有り金騙されたらやり場ねえ
どの街も悪は隠れてんだほら突然鳴る電話
ATMでお金戻ってきますカードや通帳預かります
お金が戻ってくるなら、それもしょーがないかな
アダルトサイトの料金請求、名義貸しは違法です
買ってきなさい電子マネー行かなきゃ行かなきゃ…だけど」

若者に向けては「闇バイト」の恐ろしさを訴えました。

「SNSで探すよ楽そうなアルバイト
受け、出し、UD（＝受け子出し子の隠語）苦労はせずに
荷物受け取って得られる高収入なバイト
ノーリスク踏み込んだ先なら五里霧中
闇バイトは必ず身を滅ぼす働かせよ想像力
登録するなら『ほくとポリス』
公式防犯アプリ機能満載公式Twitterに防犯メール
あなたを守る武器をインストール」

ラップを聴いた人からの反応は上々でした。

「ノリノリで聞いちゃいました。歌詞もすごいキャッチーで耳に残るっていうか、#9110が頭に叩き込まれたって感じです」

「すごくよかったので、このラップがいろんなところに広がってもらえばいいかなと思いました」

ラップで詐欺被害撲滅を！

このラップは地元ですでに反響を呼んでいて、塩田さんは新ひだか町で行われる音楽フェスティバルなどにも招かれているということです。
塩田さんの名字の「塩」と、一緒に活動している後輩の警察官、近藤一樹さんの「一」の英語から、２人は今後、「Salt one crew」というユニットとして活動していくことにしています。

塩田政行さん
「いろんなイベントだとかで、みんなに歌ってもらえたらなと思っています。私もちょっと気を付けなきゃとか、電話がかかってきたらこうしなきゃなとか、少しでも生活する中で思えてもらえたら曲を作ったかいがあったかなって思います」