浦河町 馬産地に増えるインドからの人々 その支援は?
- 2024年3月7日
日高の浦河町である国の出身者が増えています。それはインドからの人たちです。馬産地にとって欠かせない存在となる一方で、家族連れも多くなる中でどのように支えていくかが課題となっています。そこで、町では都市部の若者などが地方に滞在する制度を活用し、必要な人材の確保につなげようと取り組みを始めました。(浦河支局 井坂美保子)
馬産地に欠かせない存在に
現在、浦河町にはおよそ320人のインド人がいて、町内に暮らしている外国人のおよそ8割を占めています。インドの人が浦河町を訪れる背景にあるのが牧場の人手不足です。イギリスの植民地時代に競馬が始まったインドから牧場のスタッフとしての受け入れが進んでいるのです。
馬産地にとって欠かせない存在となっているインドの人たちをサポートしようと、町でも取り組みを本格化させています。町役場には、英語やヒンディー語表記の看板を設置したほか、外国人と接する機会の多い関係者が集まって、それぞれが直面した課題を共有し、対応について話し合うワークショップも開かれています。
力強い”助っ人”
ただ、コミュニケーションを取る際に、どうしても立ちはだかるのがことばの壁です。最近では家族連れでやってくる人も増えており、支援のニーズがいっそう多様になっています。
そこで、町が2023年度から始めたのが「ふるさとワーキングホリデー」を活用したヒンディー語を話す人材の確保です。2024年2月には、この制度を利用して2人の若者が浦河町に滞在し、10日間にわたって業務にあたりました。
その1人が東京の大学院でヒンディー語を専攻している髙松夢香さんです。インドの人とふれあいながら語学力をいかして力になりたいと応募しました。
髙松夢香さん
「現在、生活されているインドの方々のニーズをくみ取って、それを還元していくような業務、そういったことにチャレンジしていきたいなと考えています」
現場では難しさも感じながら
髙松さんはさまざまな現場に足を運び、通訳として地元の人とインドの人をつないできました。その1つが保育所開放。子育て世代の孤立を防ぐとともに、日本の子どもたちの遊びなど、文化を学ぶ場にもなっています。参加した母親の話を聞きながら、髙松さんは文化が異なる国で暮らすうえでの苦労を感じたといいます。
髙松さん
「宗教の関係で牛肉が食べられないってことがあると思いますが、例えばお菓子のパッケージとかに牛肉と書かれていても、それが全部日本語になっているとわからないとか、なかなか大変だなと感じました」
髙松さんは赤ちゃんの健康診断にも同行。町の保健師や歯科衛生士とのやりとりも通訳しました。ただでさえ心配が絶えない子育てを慣れない土地でする母親にとっては、専門家からのアドバイスを聞くことは安心材料になったようです。このほか、行政手続きのサポートにもあたったほか、学校で使う調査票など書類の翻訳にも携わりました。
10日間の業務を終え、髙松さんは現場での仕事の難しさを感じながらも、みずからの成長にもつながると笑顔で振り返っていました。
髙松さん
「日本人でも難しい行政手続きの内容などを、わかりやすく優しいヒンディー語で伝えることに苦労しました。今後はヒンディー語の勉強はもちろんですが、インドの文化だったり歴史だったり、外国人に日本の制度を伝えるにはどうしたらいいのかを考えつつ、知識を身につけていきたいです。浦河に来て毎日が楽しくて帰りたくないですし、またこの町に遊びに来たいです」
人材確保の模索は続く
浦河町では、今後も「ふるさとワーキングホリデー」を使って人材の確保を続ける方針で、受け入れ期間を延ばすことも検討しているということです。ヒンディー語を話せる人のネットワークを拡大しながら、インドの人たちを支える体制の充実を図っていきたいとしています。
浦河町企画課 若林寛之 係長
「やっぱり町内でヒンディー語の通訳というのが不足しています。また機会があれば浦河町に来ていただきたい。ヒンディー語に携わる方が浦河町で増えるので、そういったところを期待しているところです」
2024年3月7日
浦河支局・井坂記者の取材です👇
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