網走市に“冬の使者”到来！

冬のオホーツク海と言って思い浮かべるものといえば・・・そう、流氷ですよね。ことしもその季節がやってきました。１月１９日、網走地方気象台は沖合に流氷があることを確認できたとして「流氷初日」を発表しました。平年より３日、去年より１４日も早い観測でした。（網走支局・佐藤公哉）

網走市に冬の使者がやってきたのは１月１９日。この日の市内は朝から断続的に雪が降り、遠くが見えにくい状況でした。流氷初日を発表するには、海に流氷があるのを気象台から“目視で”確認する必要があります。“目視で”です。つまり、いくら海に流氷があっても、気象台から見えなければ発表はないのです。
この日の天気を見て、私は「流氷初日の発表はないな」と思っていました。しかし気がかりなことが１つありました。網走市の隣町・北見市常呂町の海岸に流氷が接岸している、という情報が入ったのです。「まぁ一応行ってみるか…」。空振りでも翌日以降の取材の参考になると思い、市街地の北側に位置し、市街地より早く流氷訪れることが多い能取岬へ行ってみることにしました。

雪が弱まってきた午後、能取岬に到着すると…なんと！流氷が接岸しているではありませんか！能取岬の北側は流氷でいっぱいで心が躍るのと同時に、市街地方面の南側はほとんど流氷がありませんでした。市街地にある気象台からは見えない可能性が高いだろうなと思いつつ、念のためにカメラを回すことにしました。
撮影後、市内に戻った私は一時的に雪がやんでいたことから、気象台がある地区に向かいました。そして水平線を眺めてみると、遠くにぼんやりと白いものが見えました。それはまさしく流氷帯でした。一時的に雪がやんだのが幸いでした。
まもなく気象台が「流氷初日」を発表。私は慌てて、先ほど撮った能取岬の流氷の映像を札幌放送局に送りました。この時、すでに午後４時半すぎ。すでに周囲は暗くなっていました。空振り覚悟で能取岬に行き、念のために撮影したことが吉と出ました。テレビは映像がなければニュースの価値は下がってしまうため、私は正直、ホッとしました。例年、いつ流氷初日が発表になるか、やきもきしながら見ているのですが、今回は発表の時に撮影が終わっていたため、心穏やかに過ごすことができました。

しかし、心穏やかに過ごせたのはわずかな期間だけでした。その３日後の午前１０時前。のんびり過ごしていたところに「流氷接岸初日」の一報が入りました。前の日にどこに流氷があるのかを調べ、「もしかしたら発表されるかもな」と心の準備はしていたので慌てはしませんでした。ただ平年よりも２週間近くも早い接岸だったため、インタビューを撮ろうにも観光客がいません。例年、接岸の時期ともなると、観光施設「オホーツク流氷館」の展望台は多くの人でにぎわっているのですが、この日は１人も観光客はいませんでした。
困った私が向かったのは流氷観光船「おーろら」の乗り場。２日前に今シーズンの運航が始まったばかりなので、観光客がいるとふんだのです。しかし聞く人聞く人、皆さん外国の方。インタビューのハードルが高すぎます。何人に声をかけたでしょうか。東京から訪れたご夫婦をようやく見つけ、インタビューをお願いすることができました。まさかこんなところで、新型コロナが明けて外国人観光客が戻ってきたことを痛感するとは思いませんでした。

そして「おーろら」の乗り場付近には見たことがない景色が広がっていました。網走川にある乗り場付近にまで、流氷が流れ込んできていたのです。それも少しではなく、大量に。中には大きさが１０メートル近い、海で見る流氷と変わらないものもたくさん浮かんでいます。網走川で「おーろら」が流氷に囲まれているのは、網走で生まれ育った私も初めて見る光景。驚きながら撮影しました。
この流氷は１月２６日、網走湖の湖口まで到達。網走川を管理する北見河川事務所に聞いたところ、公式の記録はないものの網走川にこれだけ大量の流氷が流れ込むのはとても珍しいのではないか、とのことです。

自然というのは私たちの想像を超えるものを見せてくれます。去年は藻琴湖の氷が“しけ”で海に流れ出して海岸に打ち上げられ、豊頃町のジュエリーアイスのように輝いていました。これも網走では初めて見る美しい光景でした。そしてことしは流氷が網走川に流れ込んで川面を埋め尽くしました。
網走の冬は寒いですが、心をワクワクさせてくれます。次はどんな光景を見せてくれるのでしょうか。皆さんも外に出て、驚きの冬を探してみませんか？

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北海道 網走市で「流氷接岸初日」発表 去年より19日早い観測

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