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死亡事故増加中! バイク事故から命を守るには

  • 2023年10月25日

県内で起きる交通死亡事故の件数が、ここ5年でもっとも多いペースになっています。特に目立つのが、バイクに乗っている際の事故。50代以上の“シニアライダー”も増える中、バイク事故から命を守るにはどうすればいいのか。その対策を取材しました。

(NHK広島放送局記者 淺津賢吾)

増えるバイクの死亡事故

9月に行われた「秋の全国交通安全運動」。広島県独自の重点項目に掲げられたのが、「二輪車の事故防止」でした。バイクに乗っていて事故で亡くなった人は、ことしに入って8月末までに16人で、去年1年間の15人をすでに上回っています。特に、亡くなった16人の半数は50代以上で、“シニアライダー”にどのように注意してもらうかが課題になっています。

死亡事故相次いだ現場は

廿日市市の国道186号は、広島市内からおよそ1時間の立地にありながら豊かな自然があふれていて、ツーリングを楽しむバイク利用者が多く集まります。この場所で、ことし4月と6月に相次いでバイクの死亡事故が起きました。

死亡したのはいずれも50代の男性。警察によると、カーブを曲がりきれずに転倒し、ガードレールなどに衝突したことが原因でした。同じルートを車で走ってみると、どちらの現場も蛇行した道が続き、急カーブがあって見通しが悪くなっていました。取材したこの日は三連休の初日で、カーブを次々とバイクが走り抜けていきました。

単独事故が相次いだことを受けて、6月には警察や地元の住民でつくる交通安全協会のメンバーが再発防止策の検討会を開きました。スピードを出しすぎないよう、路上に凹凸を設置するなどといった案が出されましたが、まだ具体化はしていません。

事故現場の近くにある道の駅では、年配のライダーたちの姿が目立ちました。

60代男性

私は去年免許を取ったばかりなんです。定年退職してから、何やろうかなってなった時に、じゃあバイク乗ろうかと思って

50代男性

ここに来る人はワインディング(曲がりくねった道)が楽しいんじゃないの。急なカーブが怖くないと言ったらうそになるよね、こける確率が高いから

命を守るには“バイクのプロ”の指導役に聞く

バイクに乗っている際の事故から命を守るには、どうすればいいのか。「バイクのプロ」の白バイ隊員の交通指導にあたっている広島県警交通機動隊・横尾繁樹警部補に、身につけている装備について教えてもらいました。

白バイ隊員は、ヘルメットはもちろん、転倒した際も脱げない厚いブーツやエアバッグを着用していました。このエアバッグは、事故で転倒してライダーの体がバイクから離れると、バイクとエアバックをつないでいるピンが外れ、炭酸ガスの力を使って即座に膨らむ仕組みになっています。胸以外の首や背中を守る効果があるといいます。

そして、横尾警部補が最も強調したのが、胸を守るプロテクターの重要性です。去年県内で起きたバイクの乗車中の死亡事故で死因となった部位をまとめると、「胸部」と「腹部」を合わせると4割で、「頭部」の4割とほぼ同じでした。横尾警部補は、大型バイクに限らず、原付バイクを運転する際も胸部プロテクターは非常に有効だと教えてくれました。

広島県警 交通機動隊 横尾繁樹警部補
「バイク事故でのライダーの死因をみると、胸に衝撃を受けて内臓破裂などで亡くなる方が非常に多い。胸部のプロテクターを装着してもらうところから、防衛運転・安全運転という気持ちが出てくると思います。年配のライダーは体力や判断力、反射神経が若い頃と比べて低下してきているところがあるので、自分の技量以上の速度を出さないとかしっかり安全確認をすることを意識してほしいと思います」

「ちょっとの距離だから」でなくプロテクターの活用を!

今回、取材を通してバイクに乗る30人に話を聞きましたが、プロテクターを着用しない人が理由として挙げたのが、「近距離を移動するだけだから」、「安全運転でゆっくり走っているから大丈夫」、そして「暑いから」といったものでした。もちろん安全に運転していれば転倒するリスクは低いかもしれませんが、ほかの車が関係する事故に巻き込まれる可能性もゼロではありません。胸部や腹部を守るプロテクターの着用は、ヘルメットの着用と同様に大切だと思いました。

  • 淺津賢吾

    広島放送局 記者

    淺津賢吾

    2023年入局。島根県出雲市出身、記者1年目。警察や司法を担当しています。

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