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広島 皆実高校 柔道部 全国高校柔道選手権に挑む

  • 2023年03月17日
広島皆実高校 柔道部

今月20日と21日に高校柔道の春の日本一をかけた、「全国高校柔道選手権」が東京・日本武道館で行われます。NHKでは男女の個人と団体の決勝をBS1で中継し、私は女子の全階級と団体の決勝の実況を担当します。去年、女子団体で3位に入り、今年は初優勝をねらう広島皆実高校を取材しました。

(広島放送局 アナウンサー 武本大樹)

春の日本一に挑む 広島皆実高校

広島皆実高校 柔道場

地元では「みなみ」の愛称で親しまれている、広島皆実高校。サッカー部は、全国高校サッカー選手権優勝の経験があり、陸上部は為末大さん(五輪3大会出場)を輩出するなど、スポーツが盛んな学校です。柔道部は女子が所属し、全国高校総体や国体で優勝や上位入賞者を多数輩出してきた強豪です。高校柔道には、3月の「全国高校柔道選手権」、7月の「金鷲旗高校柔道大会」、8月の「全国高校総体(インターハイ)」と3つの大きな全国大会があります。中でも、「全国高校柔道選手権」は東京オリンピックも行われた東京・日本武道館で行われます。柔道家にとっての憧れの舞台で、高校生たちが「春の日本一」を争います。今大会、広島から最多の個人戦に5人、団体にも出場するのが広島皆実高校です。

“ひらり”と相手を背負う~52キロ級・鈴木 ひらり選手(1年)

名前の由来は、「ヒラリー・クリントンさん」と「紅葉がひらひら落ちる」から来ているという鈴木ひらり選手。1年生ながら県大会優勝し、高校では初の全国大会出場をつかみました。男子の強豪、崇徳高校柔道部だったお父さんの影響で、小学1年生の時に柔道を始めました。得意技は、足技で相手を崩してからの「背負い投げ」です。鈴木選手は「まずは思い切って自分の柔道をしたい。個人戦は小学校と中学校で全国ベスト8だったのでそれ以上の順位を目指したい。団体メンバーにも絶対に入りたい」と意気込んでいます。

阿部 詩選手が憧れ~52キロ級・堀田 梨花選手(2年)

東京オリンピック金メダル、世界チャンピオンの阿部詩選手の階級でもある、52キロ級。その阿部選手に憧れているのが、堀田梨花選手です。県大会では、後輩の鈴木選手に決勝で惜しくも敗れましたが、去年のこの大会で広島県の高校生が優勝しているため、2枚目の切符をつかみました。初の全国大会に向けて堀田選手は、自宅でも体幹や腕立て伏せなどのトレーニングに励んできました。「ひとつずつ丁寧に勝ち進みたい。焦らず、落ち着いた柔道をしたい」と引き締まった表情の堀田選手。憧れの阿部選手が金メダルを決めた日本武道館の畳に上がります。

長身の選手を担ぐ!~57キロ級・堂中 陽香里選手(2年)~

“ひかり”という名前のごとく、笑顔が光る堂中選手。柔道経験者のお母さんの影響で柔道を始めましたが、小学生の時は痛いのが嫌で、楽しいと思うようになるのに時間がかかったと振り返ります。57キロ級は、スピードに加え、相手をつかまえて投げるパワーも必要になってくる階級です。相手を前に崩して自分の体に引き付け、足を払いあげて前方に投げる「払い腰」を得意とする堂中選手。「長身の選手を担ぐことができるのは自分の強み」と語ります。ベスト8以上を目標に初の全国の舞台に挑みます。

信頼厚いキャプテン~63キロ級・城 美月選手(2年)~

2年生7人、1年生5人の部員をまとめるのが、城美月選手です。「全国高校柔道選手権」には2年連続の出場となり、全国高校総体でもベスト8に入るなど、実績十分です。「今年は必ず全国大会決勝まで行きたい」と目標を語りました。城選手にとってこの大会は特別な大会です。前田秀樹監督が3月末で勇退することが決まっているからです。城選手は「前田先生には“おまえは大丈夫。練習通りやれば勝てる”といつも声をかけてもらった。たくさんお世話になったので、結果で恩返ししたい」と意気込んでいます。

将来は世界を目指す~無差別・本田 万智選手(2年)~

城選手と同じく、2年連続の出場となる本田選手。最も重い選手たちも出場する「無差別」で戦います。体重70キロ台の選手はスピードを、100キロに迫る選手はパワーをと、それぞれの強みが幅広い階級です。比較的軽い本田選手は、スピードを生かし、相手十分の組み手を許さない戦いに勝機を見出そうとしています。3人制の団体戦では最後の「大将」としての起用が予想される本田選手。「去年3位の悔しさを生かし、今年は優勝したい」と目標を掲げます。「将来は世界大会に出場したい」という本田選手の柔道に注目です。

最後の大会に挑む名将~前田 秀樹監督(63)~

数多くの卒業生を送り出してきた前田監督。通算で18年、広島皆実高校の柔道部を指導してきました。選手たちの細かな動きをじっくり観察し、言葉をかける姿が印象的です。遠方に自宅のある選手のための寮でも“寮長”を務め、選手たちを見守ってきました。キャプテンの城選手は「厳しく叱られることもあるけど、自分たちのことを一番に考えてくれる」と存在の大きさを語ります。前田監督は、その年の最初の全国大会となる「全国高校柔道選手権」について、「1年の始まり。まだ体も心もできあがっていない子どもたちがこの大会を経て成長する」と語ります。皆実の監督として最後の、武道館での戦いが始まります。

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