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【出演者インタビュー】宮本太郎さん「地域を支えるためには"お互い様力"が求められる」

2015年04月22日(水)

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4月2日放送(4月9日再放送)
スタート“新”セーフティーネット
第3回 私たちにできる 地域づくり
ご出演の宮本太郎さんにメッセージをいただきました。


《宮本太郎さんプロフィール》
中央大学法学部教授


――3回目は、生活困窮者自立支援法の可能性と課題を改めて整理し、私たち社会に求められることは何か、具体的に何が出来るのか話し合いました。収録を通してどのようなことを考えましたか。

「始まっちゃったな」というのが率直なところですね。思い起こせば2010年の終わりころから生活困窮者自立支制度づくりに加わってきました。実現できればいいなと真剣に話し合ってはきましたけど、当初は難しいだろうなとも思っていたんですね。それがこうして実際に施行されることになった背景には、きっと我々が思っていた以上に社会の中で困窮層が増えてきて、地域の活力が減じてきてしまっているところがあるのだと思います。その他にもいろいろな事情が兼ね合わさって制度がスタートしたということなんですね。
番組ではうまくいっていないところの話もいろいろと出てきましたが、それはやむを得ないところもあります。つまり、全く新しい制度なので、自治体にとっては未体験のことなんです。しかし、雇用と福祉の連携など、その未体験ゾーンをなんとかくぐり抜けてもらわないと元気のいい自治体はできない。回避は許されないゾーンなんですね。もちろん当初から予測されていた通り問題は山積です。しかし、ひとつひとつ構築していく。その第一歩が踏み出されたんじゃないかというふうに思います。そういう意味では手応えを感じたというのが正直なところですね。

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――今回の「私たちにできる 地域づくり」というテーマについてはいかがですか。

地縁、血縁というのがだんだんと薄れてきていると言われます。その分、会社や商店街、業界などの“社縁”で維持していたのですが、長期的雇用慣行が終わってしまい、商店街もさびれてくるということで、それもだんだんと流れ解散みたいなかたちになってきてしまっています。
ですから今度は、困窮者をなんとか支えなきゃいけないとか、子育てをみんなで協力しなければダメだとか、お年寄りに声を掛け合える町づくりといった“必要縁”とも言うべきものが大事になってきているわけなんですね。そういう意味では、これまで当たり前にあった縁がだんだん脆弱になってきているけれども、そのぶん地域が持続していくために取り結ばなければいけない縁というのが見えてきたとも言えます。今日も鈴木さんが「居場所が求められる」とおっしゃっていましたけど、そういった新しい縁を作っていくことがこれからは重要だと思いますね。

それからもうひとつは、番組のアンケートで64%以上の人たちが「困窮は他人事ではない」と回答していました。今は誰でも簡単に困窮に陥ることが不思議でない時代ですから、その通りだと思います。そういう意味では、これから地域を支えるためには“お互い様力”とも言うべき力が大切になるのではないかと思うんです。それは、他人事じゃないということをわかる感覚。そして、困っているときにちゃんと声をあげられること。3つ目は、自分のできる範囲で支える場の中に入っていけるという身軽さ。これらが合わさった“お互い様力”が求められているのかなと。
縁作りを通してお互い様力を育て、そのお互い様力で縁を作っていくといった循環を作ることが大切だと思います。今日のテーマである生活困窮者自立支援というのもそうした“必要縁”の大事な柱なんだと思いますね。

 

◆2015年4月特集「スタート“新”セーフティーネット」
本放送:夜8時00分~8時29分
再放送:午後1時5分~1時34分

2015年3月31日(火) 第1回 生活困窮者をどう救う?
2015年4月1日(水) 第2回 声を上げられない困窮者たち
2015年4月2日(木) 第3回 私たちにできる 地域づくり(生放送)


◆WEB連載
インタビュールポ「貧困の現場から」

◆関連情報
相談窓口や過去番組のダイジェストなど、貧困に関する情報があります:貧困

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