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【出演者インタビュー】後藤千恵解説委員「地域の連携で安心して働ける場を」

2015年04月09日(木)

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3月31日放送(4月7日再放送)
スタート“新”セーフティーネット
第1回 生活困窮者をどう救う?
に出演した後藤千恵解説委員に話を聞きました。



――4月から生活困窮者支援の新しい制度「生活困窮者自立支援法」が施行されます。番組ではこの新たなセーフティーネットによってどんな人たちが救われるのか、生活困窮者が自立につながる道のりを見ていきました。収録を通してどのようなことが伝わってほしいと思いますか。

この制度の新しい点は、「生活困窮者というのはどのような人たちなのか」、対象をあえて定義しなかったところです。困っている人は“すべて”受け止めますという、これまでにない制度、新たな挑戦なんですね。でも、本当にそれが機能していくかどうかは、それぞれの自治体に新たに作られる相談窓口の力量にかかっています。すべての人の相談や困りごとにきちんと向き合い、寄り添い、それぞれに合った支援メニューをそろえていけるかが問われることになります。
 

 

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――となりますと、自治体によって、充実した支援メニューをそろえられる自治体、そうでない自治体が出てくるかもしれないということですか?
残念ながら、自治体間の格差が生じる可能性は指摘されています。といいますのも、今回の制度では、ワンストップの相談窓口を作ることは義務付けられたのですが、そこで具体的にどんな支援のメニューを整えていくのかはそれぞれの自治体に任されました。相談窓口という“入口”ができても、生活に困窮している人たちが必要としている生活支援や就労支援という”出口“が十分整っていなければ、この制度を本当の意味で生かすことはできません。VTRに出てきた川崎市でも、相談窓口を作った当初は、支援のメニューが充実していなかったので、だんだん相談件数が減ってきてしまった。そこで出口の支援の重要性に気付いて、独自に就労先の開拓に乗り出すなど、積極的に力を入れ始めたところ、相談がまた増えてきたというんです。新たな制度は作られたけれど、「結局、新しい相談窓口が一つ増えただけ」ということになってはならないと思います。それぞれの自治体の覚悟を決めた取組みが求められています。


――具体的にどんな支援のメニューが必要になってくるのでしょうか?

生活に困っている方の中にはすぐに一般の企業では働けないという方も多くいらっしゃいます。ご高齢だったり、ひとり親だったり、何らかの障がいがあったり、色んな理由でなかなか思うように働けない。「ハローワークにいけばパートの仕事がいくらでもあるんだから仕事をみつけてください」と言われても、実際には難しい人も多いんです。そこで、必要となるのが、そうした人たちが自分のペースで安心して働ける場を独自に開拓していく取組みです。川崎市や大阪・豊中市など先進的な自治体では、一般企業を回って、こんな仕事、こんな働き方ならできる人がいますよと売り込むとともに、企業側のニーズも聞き出して、うまくマッチングをしてオーダーメイドの求人をたくさん作りだしています。それぞれの地域ごとに、中小零細事業者、農業や介護の現場など、担い手を必要としている事業者に理解を求め、うまく連携して、たとえば仕事の一部を切り出して、誰もが働きやすい仕事を新たに作り出していくなど、色んな工夫を重ねていってほしいと思いますね。行政と民間事業者、社会福祉法人、NPOなど、地域の様々な事業体がともに連携して、誰もが安心して働ける場を地域に網の目のように広げていけるかどうかがカギだと思います。


 

◆2015年4月特集「スタート“新”セーフティーネット」
本放送:夜8時00分~8時29分
再放送:午後1時5分~1時34分

2015年3月31日(火) 第1回 生活困窮者をどう救う?
2015年4月1日(水) 第2回 声を上げられない困窮者たち
2015年4月2日(木) 第3回 私たちにできる 地域づくり(生放送)


◆WEB連載
インタビュールポ「貧困の現場から」


◆関連情報
相談窓口や過去番組のダイジェストなど、貧困に関する情報があります:貧困

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