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「その気持ち ひとりだけじゃない」生きるためのテレビ2・プレマップ(PR動画)について

2015年03月04日(水)

ハートネットTV「生きるためのテレビ2」、では、「その気持ち ひとりだけじゃない」というプレマップ(動画)を放送しています。ご覧になられましたか?
こちらのブログでも公開させていただきますので、是非感想をお寄せいただければと思います。
 


あれはちょうど二十歳くらいだったと思う。
せっかく入った大学で居場所を見つけることができず、
あてもなく辞めてしまった僕は、自分でも何がしたいのか、
何をすればいいのかわからないまま、
古いアパートの小さな部屋で毎日悶々としていた。
紹介されたアルバイトに行って1日汗をかいた後、
手渡された現金で、数日をやり過ごすだけの日々。

大学の近くにアパートを借りていたせいで、
うっかりすると同じクラスにいた学生たちの姿を見かけてしまう。
だから、アルバイトはできるだけ家から遠いところを選んだ。

夜中にふと目がさめると、こんな生活でいいのだろうかという
疑問ばかりが頭に浮かんで、もう朝まで眠れない。
大学を辞めたことも、やりたいことが見つからないのも、
その日をやり過ごすだけの生活も、みんな自分のせいなのだ。
どうして僕は、みんなと同じようになれないのだろう。
彼らと僕は何が違っているのだろう。
いくら考えても答えは出ない。

そんなとき、僕はよく深夜の繁華街を歩いた。
何があるというわけじゃない。
歩いていれば何も考えずに済む。
目に入る光景をそのまま見ていればいい。
それだけが救いだった。
どうせ僕なんて、いてもいなくても誰も困らないのだ。
だから、最初から誰も僕のことを気にしない場所にいたかった。
消えそうになる自分をごまかすために、
最初から消えていられる場所にいたかった。

本当に、どうすればいいのかわからなかったし、
誰も教えてはくれなかった。

死にたい。
本気でそう思ったかどうかは、はっきりとは覚えていない。
でも、もう全てを捨ててしまいたい、
この場からいなくなってしまいたいという気持ちは
どこかにずっとあったように思う。

なりたいと思っていた自分になれる人は少ない。
それでも、人は何かになりたいと願う。
だから、僕たちはいつも満たされないまま深夜の街を歩く。
きっと今日もたくさんの僕が夜中の街を歩いているだろう。
それをいいことだとも悪いことだとも僕には言えない。
でも、少なくともその気持ちを僕は知っている。
それだけは、伝えたいと思った。


浅生鴨



Cast:小林涼子/平田貴之

Planner,Scriptwriter:浅生鴨
Creative Director:松宏彰

Music:huenica

Director:北村拓司
Cinematographer:安田光
Lighting Director:野口マスト
Sound Operator:小牧将人
Stylist:宇都宮春男
Hair & Make-up:大島美保
Offline Operator:木村和亮
EED Editor:高橋賢次
MAV Mixer:山賀勉
Assistant Director:後藤雅人/池田飛鳥
Production Manager:安貴雄
Producer:矢吹孝之

 


2014年9月に実施した「20代の自殺」プレマップはこちらをクリック


[Eテレ・ハートネットTV]
 本放送:夜8時00分~8時29分
 再放送:翌週午後1時5分~1時34分
2015年3月24日(水)  
生きるためのテレビ2 第1夜
2015年3月25日(木)  生きるためのテレビ2 第2夜

コメント

人と同じようにできない。
仕事では、つまづいてばかり。

なんで生まれてきたのか、わからない
死にたい、というよりは生まれてこなかった
方が良かったのかもしれない。

自傷もしたしODもした。
なぜ、生まれてきたのだらろう

投稿:ねこまる 2017年07月10日(月曜日) 21時27分

いつのまにか社会人6年目。
期待と不安にまみれた社会人1年目。精一杯仕事に取り組んでいた所に、気に入らないという理由で上司から理不尽な仕事の押し付け等いやがらせを受けた。ストレスの発散法も力の配分もわからず、遠距離通勤に加え常に全力疾走だったため限界はすぐにきた。もうしにたいと思って爆発したのが思えば9月だったなぁ。。

とにかく遠くに離れたくて、なぜか滝を見に行こうと思い立ち一人旅をした。土地を離れても嫌なことは頭から離れなかった。でも道中出会った人達に恵まれ話を聞いてくれたり、滝を見て感動したり、違う場所に身を置いてみたことで何かが変わったことははっきりとわかった。その「何か」は未だにうまく言えないんだけど、”自分はここにいていいんだよ”って”このままの自分でいいんだよ”って感じた。

世間一般とか常識って私からみたら本当に理想が高くて、そんなのできないよ…できない自分が悪いんだって思いこんでいたけど意外とそうでもない。言うほど世間の「当たり前」って全然「当たり前じゃない」ことにようやく最近になって気付いた。

人はできることしかできない。
どうしてもダメなら、いったん問題から離れるのも方法のひとつ。3年ガマンするべきなんてことも聞くけど、その前に崩壊してしまったらどうするのか。きっと「根性が~。忍耐力が足りない」とか言うだけで、誰もあなたのことは助けてくれないでしょう?ただ上から目線で言いたいだけの人がどんなに多いことか。そんな環境なんて捨ててしまった方がいいと私は思う。

やっぱり罪悪感はあると思うけど、逃げるのも立派な戦術。ポケモンだって、ドラクエだって「にげる」のコマンドがあるんだもの。冷静になって一旦その場から離れてみることで、意外と全然冷静じゃなかったことに気付いたりもする。

いろいろ思い出しちゃってめちゃくちゃになっちゃったけど、イチバン伝えたいのは「無理して自分を偽らなくていい。そのままのあなたでいいんだよ」ってこと。

今あなたのまわりがそれを許さない人ばかりだったとしても、そのままのあなたでいいという人は必ずいます。
行き詰ってしまったらどうか、何か新しいことを始めてみてください。あなたの何かが変わるきっかけになるかもしれません。

長文失礼しました

投稿:りり 2016年08月31日(水曜日) 03時14分

なりたかった自分になれなかった、というフレーズがとても印象的で胸に刺さりました。自分も大学に馴染めず、もっと楽しくエンジョイするはずだったのにどうして俺はこうなんだ?と深く落ち込んだ時期がありました?辞めてはいないけれど、何の為に通っているのか分からず、なんとなく虚しさと寂しさを抱えてボンヤリ通っていました。高校生活も似たようなものでした。このままずーっとこのままなのかな、と暗い気持ちでずっと過ごしていましたが、ある時フト思ったのは、まだ生まれてきてたかたが20年じゃないか。もっと自分のことを長い長い目で見てやろう。例えば20年後、30年後に愛するパートナーでも出来て幸せに過ごせていたらどんなに素敵だろう。ずーっと先が今より少しだけ良くなっていたらいい。良く出来るように少しだけ動いてみよう。そんな風に考えるようになりました。今思い詰めている人が少しでもそんな風に考えられたらな、と思いました。

投稿:ゆうすけ 2015年03月26日(木曜日) 01時57分

暇潰しで入る本屋と喫茶店だけが心の拠り所です。

投稿:ミカン男 2015年03月23日(月曜日) 23時17分

「 なりたかった自分に、なれなかった。」その言葉が胸をしめつけました。自分の心のどこかに閉ざして、隠した痛みが溢れ出しました。忙しい日々の中では決して許されない弱音を吐いていいような気がしました。辛い痛みを無かったことにするのも一つの解決方法かもしれないけれど、その痛み、傷と共に生きていきたいという思いを思い出しました。また、明日への勇気も与えてくれる動画でした。ありがとうございます。

投稿:ゆり佳 2015年03月07日(土曜日) 21時31分

少し前に自死を選んだ高校生に、この動画と浅生鴨さんの文章を読んでもらいたかった…

投稿:ふくろう 2015年03月05日(木曜日) 03時17分