クローズアップ現代 メニューへ移動 メインコンテンツへ移動
2023年7月19日(水)

独占告白 B'z 時代を鼓舞する音楽のチカラ

独占告白 B'z 時代を鼓舞する音楽のチカラ

シングル50作連続初登場1位、CDの売り上げ総数8300万枚以上と、数々の記録を更新し続けるB'z。デビュー35周年の節目に、これまで語ることのなかった心の内を明かしました。バブル崩壊、長引く景気の低迷、コロナ禍の自粛要請…変化し続ける時代の中で「役割がある」と語る2人。音楽で人々を鼓舞しつづけてきたB'zはどんな思いで時代と向き合ってきたのか?大ヒット曲「ultra soul」の制作秘話も。

出演者

  • B'z
  • YOSHIKIさん (X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS)
  • 中村 正人さん (DREAMS COME TRUE)
  • 桑子 真帆 (キャスター)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

独占告白 B'z 時代を鼓舞する音楽

桑子 真帆キャスター:
「クローズアップ現代」はご覧いただいたことありますか。

松本孝弘さん(B'z):
すいません。僕はないです。

桑子:
そうですか。稲葉さんは、いかがですか。

稲葉浩志さん(B'z):
結構見てますね。

桑子:
あっ、本当ですか?ありがとうございます。

稲葉さん:
ニュースからの流れで。

桑子:
巨大ツアー「Pleasure」の最中にお越しいただいて、ちょうど走り出したという段階ですが、今の率直な実感っていかがですか。

稲葉さん:
体がツアーの流れとか、ボリュームに慣れてこようとしている段階ですね。

松本さん:
これからまた少しずつ回を重ねる度に内容も少しずつ変わっていって、さらによくしていきたいなとは思っています。

桑子:
広島の回を見させていただいて、お二人がステージぎりぎりのところまで出てきてくださって、それに呼応するように観客の皆さんが声を上げて手を振り上げてっていう。まさに一体感というのを全身で感じることができたなと思って。

5年ぶりの巨大ツアー 2人にとってのライブとは

B'zが5年ぶりに開催中の巨大ツアー「Pleasure」。これまでで最多となる70万人の動員を予定しています。

圧倒的な演奏、そして見る人の度肝を抜く演出。B'zは多くのファンをライブで魅了してきました。

中でも、ヒット曲満載の「Pleasure」ツアーは集大成ともいえるステージです。およそ3年ぶりにマスクの着用や声出しの制限が求められない今回のライブ。観客との息のあった掛け合いが戻ってきていました。

桑子:
本当に制限がないコンサートが3年ぶりになっているわけですよね。このあたり、松本さんはどのように感じていますか。

松本さん:
やっぱり、またこういう形に戻ると「これがいいよな」と思いますよね、本当に。すごくお互いに「久しぶり、元気?」みたいな感じもあるしね。本当、愛おしいですよね、見ているとね。

稲葉さん:
声援をまたもらうっていうのは、その前に戻ったというよりも、空白のというかその時代を経てからの声援なので、戻ったというよりも新しい声のパワーみたいなのを再認識できたなという感じはしますよね。

桑子:
お二人にとって、ライブというのはどういうものなんですか。

稲葉さん:
ライブという生の現場で聞いてくださる方と面と向かって曲の熱量というか、そういうのをじかに確認できる場所なので。僕らの場合は、やっぱりそれをやることで、また次の作品を作るエネルギーにもなってきたし、そのサイクルでずっとやってきていますね。

松本さん:
僕もね、3世代で来られている方とか、ステージからも見えるんですよ。すごくうれしいですよね。これってやっぱり続けてきたからだなっていうふうに思いますよね。

変化し続ける時代の中で“役割”がある

B'zがデビューしたのは、バブル景気さなかの1988年。松本さんがギターと作曲、稲葉さんがボーカルと作詞を担当。当時としては珍しい二人だけのロックバンドでした。

デビューからまもなく平成に入ると、バブルが崩壊。日本は長い不況に突入します。そんな日本にB'zが放ったのが、時代を鼓舞する数々のヒット曲でした。

このころ、経済の低迷だけでなく未曽有の大災害が相次ぎ、人々の心に暗い影を落としました。1995年、阪神・淡路大震災が発生。その4か月後にリリースされた曲があります。

♪ねがい/1995年

誰のためでもない 流れ落ちそうなこの熱い涙は
願いよかなえ いつの日か そうなるように生きてゆけ
僕は僕に 君は君に 拝みたおして 泣けばいい

ねがい(1995年)

二人がつむぐ歌詞とメロディーは、混迷の時代と共に走り続けたのです。

♪ミエナイチカラ/1996年

ミエナイチカラが僕を今動かしている
その気になればいいよ 未来はそんなには暗くない

ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~(1996年)

桑子 真帆キャスター:
いろんな時代の波がある中に常にB'zの曲があって、この瞬間、この社会に、音楽を届けるという自分たちの意味というか、意義というのはやはり強く感じてこられましたか。

稲葉さん:
どんな時代であれ、同じ時代を生きている方と音楽を共有したりとか、世の中の出来事を共有するわけですから。その中でわれわれも作品を作っているので、当然世の中の出来事の影響を全く受けないっていうことはあり得ない。
バブルがあって、バブルが崩壊してみたいな形でいろいろ時代が変わっていますけど、われわれはわれわれなりの役割があると思ってやるのが一番いいかなと。

桑子:
B'zの役割。

稲葉さん:
その時に心に響いたりだとか勇気が出たと言ってくださる方もいらっしゃいますが、何かしらよい意味での心の変化とか揺らぎとかね、そういうのが起これば「あぁ、曲を作って良かったな」というふうに思えるのかなと思いますけど。

松本さん:
なにか大変なことがあると、まずは“音楽じゃない”じゃないですか。例えば、まずは食べることだとか、住むところだとか、やっぱりそういうところじゃないですか。だけど、僕たちの順番が回ってきた時のためにね、ちゃんと皆さんが応援できるような音楽は準備してましたけどね、そういう時にね。

桑子:
求められた時のために、何かしないといけないという。

松本さん:
僕らにできるのは音楽を創ることだけだから。

桑子:
時代と音楽の関係性というんですか、このあたり、お二人はどのように考えていますか。

松本さん:
35年も同じメンバーでやっていますからね、そうそう形は変わらないと思うんですよね、うん。それに無理に“はやり”を取り入れてもね、多分いい結果にならないと思うんで。

桑子:
変わっていないですか。

松本さん:
ある意味変わってないんじゃないかね、僕らは。

稲葉さん:
僕ら自身はめちゃくちゃ器用なわけじゃないので。自分のね、ルーツだとかそういうものからスタートして、お互いに好きな感じのスタイルを模索しながら作っているんですけど。
例えば音楽を聴く形態が変わったりとか、時代によって。そこを食い込むというか、そういうことよりもわれわれだけができるようなことみたいなものに。むしろ自信を持ってやっていった方がいいかなというふうには思います。

中村正人さん・YOSHIKIさんが語る B'zの魅力とは

今回、B'zに大きな影響を受けてきたというアーティストが取材に応じました。

DREAMS COME TRUEのリーダー 中村正人さん。B'zの半年後にデビューし、共に日本の音楽シーンをけん引してきました。

DREAMS COME TRUE 中村正人さん
「大前提として言わなきゃならないのは、B'zとドリカムは全然レベルが違いますから。セールスに置いてもこれは全く違いますし、その持続性とトップで走り続けているのと、ドリカムのように上がったり下がったり、下がったり下がったりというのが大前提。これは絶対流してください、お願いします。僕らにとっては巨大な山のようなアーティスト」

中村さんは、B'zが長く支持されるのは時代の変化を受け止めながら普遍的な音楽を追求してきたからだと言います。

中村正人さん
「確実に時代を読んでますね、B'zは。これはもう2人が持っているベーシック・インスティンクト(本能)。そういうものを持たれた上で、創作に集中しているので、ヒット曲を生むというDNAを持っている。やはり音楽を創る者の究極の意味と言いますか、それが1000年後に役に立つかもしれないし、あす、役に立つかもしれないし。そのときのために自分たちが信じる音楽を作り続け、届け続ける」

B'zが時代の心を捉え続ける理由はどこにあるのか。アーティストのYOSHIKIさんは、その神髄を、こう表現しました。

X JAPAN/THE LAST ROCKSTARS YOSHIKIさん
「安定して良い曲を作ってきている。パフォーマンスできているっていう、そういうことに対して影響を受けたというか、僕らもちゃんとやらなきゃいけないんだろうっていう。なんか、Xって本当に不安定。何が起こるかわからない。自分でもわからないんですけど、それはファンの人たちを不安にさせてしまうっていう、安定感、安心感が大事なんだっていう。バンドを続けようという努力もされている。それは音楽を作ろうという努力と同じくらい大事なんだと思います。爪のあかを煎じて、X JAPANに少しでも入れてくれれば僕らも安定するんじゃないかな。ね、本当に」

松本さん:
安定ね、安定。

桑子:
笑っていらっしゃいましたね。

松本さん:
いやいや、いやーね、ありがとうございます。

桑子:
稲葉さんは、今のYOSHIKIさんの言葉を聞いていかがでしたか。

稲葉さん:
そうですね。「バンドを続ける努力もされていると思います」なんていうお話ありましたけども、確かにバンドを続けるのってどうなんだろう。とっても難しいことなのかもしれないですけども、続けてたらなんか「あ、こんなことが見えてきた」っていうこともあるので、それがまあ、その時々の新しい原動力みたいな感じにはなっていますね。

桑子:
「いや、ここは譲れないよ」とか、そういう部分はやっぱりあるんじゃないですか。

松本さん:
僕たちはずっとやってきたんですけども、試しもしないで「いや、それはよくないよ」とかっていうのは絶対ないんですよ。とにかくお互いの意見を必ず形にして試して。そうすると、どっちがいいかって一目瞭然になるじゃない。

桑子:
一致してるんですね、そこは。

松本さん:
必ずお互いのアイデアは試して、形にしてから決めますね。

大ヒット曲「ultra soul」制作秘話

二人が互いのアイデアを尊重することで生み出した、大ヒット曲「ultra soul」。今回、その秘話を明かしました。

松本さん:
あれね、僕よく覚えてるんだけれども、いつもの感じでスタジオ入っていたんですけども、彼が途中でね、僕に「『ultra soul』ってどう思う?」って言うから、「いや、それは素晴らしいタイトルだな」と思って。正直最後の“ウルトラソウル”ってところ、なかったんですよ。

桑子:
あ、そうなんですか。

松本さん:
で、そのタイトルを聞いていろいろ音符にはめてみて、最後に“ウルトラソウル”っていうパートを創ったんですよ。

桑子:
あれで終わるから気持ちがいいんですよね。

松本さん:
そうですね。

音楽活動を続ける原動力=好き

B'zが第一線で活躍し続ける理由。それは、音楽に向き合うひたむきさです。

15年前、ライブツアーに挑む二人を取材したNHKのドキュメンタリー番組では、松本さんはひとりホテルにこもり、8時間にわたって練習を重ねていました。稲葉さんはパフォーマンスを維持するため、体作りに励んでいました。番組では、体を冷やさないように夏でも鍋を食べる姿も伝えていました。

桑子:
ライブ前にトレーニングを相当激しく。

稲葉さん:
体のコンディションを保ったりするための努力はもちろんありますけども。

桑子:
その維持は大変だなと思うことはないですか。

稲葉さん:
もちろん大変だと言われれば大変なところもあるんですけども、もちろん好きでやっていることでもあるし、あんまり恥もかきたくないし、みたいなこともあるし。

桑子:
でも「好き」が大前提なんですね。

稲葉さん:
そうですね、やっぱりそこは。

桑子:
夏も鍋を召し上がるという。

稲葉さん:
別に我慢して鍋を食べているわけじゃなくて、好きだから食べてるっていう。

桑子:
そうですか、失礼しました。

稲葉さん:
鍋を食べながらウーロン茶を飲んでたりするんですけども、そのあと普通にツアー以外の時にお店に行ってビールとか頼んだら結構驚かれるというか。「飲むんですか?」っていう、なんかちょっとがっかりしたような感じで。

桑子:
努力っていう言葉はしっくりきますか。

松本さん:
どうなんだろうね、努力?うーん。あんまり大変な思いをしている感じは自分にはないんですけれどもね。とにかく休まずやってきましたよね。本当に月並みですけど「継続は力なり」っていうかね。

桑子:
休まずやるって、とっても大変なことだと思うんですよ。ちょっと人は「ふーっ」て落ち着きたい瞬間ってあると思うのですが、お二人はほとんどないといってもいいと思うんですけど。

松本さん:
そうですね。ほとんど毎年ツアーとアルバムリリースとかシングル、まあ、ソロ活動をお互いにしている時期もありますけれども、互いに音楽活動を35年間休んだことはないですね。

桑子:
その原動力はなんでしょうか。

松本さん:
原動力ね、僕は好きなんだと思います、きっと。

桑子:
シンプルに。

松本さん:
はい。

桑子:
続けてくると体力的な問題も起きてくるのではないかなと思うのですが、それを感じることってありますか?…お二人から笑いが。

松本さん:
なかなか。あの、いや、感じますね。

桑子:
あー、そうですか。

稲葉さん:
感じずにはいられないですよ。

松本さん:
ほんとだよね。

稲葉さん:
僕、のどを診てもらっている先生に言われたんですけど「もうビンテージですから」って言われました。

稲葉さん:
すごく前向きな言葉として捉えてますけど、私。

松本さん:
酷使してますからね、もう35年間。ビンテージですよね。

稲葉さん:
ビンテージね、いい意味でビンテージ、はい。

新曲「STARS」に込めた思い

35年間、休むことなく走り続けてきたB'zに最大の危機が訪れます。

新型コロナの感染が拡大し、あらゆるライブ活動もストップしたのです。かつてない不安に向き合う人々に自分たちは何ができるのか。二人は、それぞれの自宅からリモートでセッションを行い、配信。初めての試みで音楽を届けたのです。

暗く厳しい時代にこそ、やるべきことがある。それがB'zの選択でした。

そして満員で迎えた今回のツアー。二人は、この時のためにある新曲を用意していました。

♪STARS/2023年

燃え上がるStars
空を舞うStars
答えを探しどこに辿り着こう
目も眩むStars
われらみなStars
荒ぶる風にまた吹かれようFly High High

STARS(2023年)

STARS。『観客一人一人が輝く星だ』。B'zが、コロナ禍をへてたどりついた思いが込められています。

稲葉さん:
今までのことを思い浮かべたときに、やっぱりライブをずっとやっていて、いろんな場所でのライブで例えば外だったら日差しを浴びたりだとか、時に雨に打たれたりとか。きれいなライトに当たったりとかそういう会場でのオーディエンスの皆さんの姿が一番最初に思い浮かんだので、それが本当に自然に出てきて。それが皆さん本当にキラキラ輝いていて、本当に星みたいだなというふうに。大げさじゃなくて、普通にただ思った。そういうものに我々は照らされながら35年間やれてこれたという気持ちもありますし、はい。

桑子:
コロナ禍でいろんな挑戦もされて、変化も感じられたと思うのですが、この今の時代に音楽を届けるということをお二人はどういうふうに感じていますか、稲葉さん。

稲葉さん:
やっぱり変化っていつの時代もあるので。致し方ないというか、別にそれに逆らってみたいなふうにはあんまり思っていないし。
自分たちがやれることはライブで、生で同じ時間で同じ空気を共有するというか。われわれの場合は特にライブということになるかもしれないですけど、自分たちができることを精一杯やっている姿を見せるというところかな。

松本さん:
僕たちも一生懸命作って「どうですか、これ」という感じで提示しているんで、より多くの方に聴いていただきたいですよね。

桑子:
この先、例えば5年後10年後のビジョン、今松本さんの中でありますか。

松本さん:
僕らのやれることはほんとに何もないんです、ひとつしかないんで。5年後、同じことやっているんじゃないですかね。

桑子:
またこうやってインタビューさせていただいているかもしれない。稲葉さんはどうですか、この先のことを考えたときに。

稲葉さん:
そうですね、身体が大丈夫であれば。

松本さん:
そこもあるしね。

桑子:
身体が資本ですから。

稲葉さん:
はい。そしてまたここに戻ってこられることを願っています。

桑子:
ありがとうございます。

見逃し配信はこちらから ※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

この記事の注目キーワード
音楽

関連キーワード