クローズアップ現代

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2021年6月23日(水)
最新研究で迫る 変異ウイルス感染防止策

最新研究で迫る
変異ウイルス感染防止策

変異した新型コロナウイルスへの感染が、今も世界で、そして日本で拡大している。そうした中、世界中から集められた200万件の新型コロナウイルスの遺伝情報から、いつ、どのような経路で変異ウイルスが拡大してきたかを分析する研究が進められている。浮かび上がったのは、変異ウイルスが検疫をすり抜けるように国内に入り、さらに感染を広げた可能性だ。 一方、WHOは4月下旬、「エアロゾル」と呼ばれる空気中の細かな粒子からも感染が広がる可能性を指摘。注意すべき感染ルートとして警鐘を鳴らし始めた。 従来よりも感染力が強いとされる「デルタ株」の拡大が懸念される中、どう新型ウイルスの感染を抑え込んでいくべきか、最新研究からその対策を探る。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 和田耕治さん (国際医療福祉大学大学院教授)
  • 林基哉さん (北海道大学教授)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

遺伝情報から追跡! 変異ウイルスの感染経路 意外な事実

インドで確認されたデルタ株が、どのように日本へ入ってきたのか。

慶應義塾大学の小崎健次郎さんは、ビッグデータを使って分析を行っています。小崎さんが利用しているのが、GISAID(ギーセイド)と呼ばれるデータベースです。ここには、世界中の研究機関などから集められた新型コロナウイルスの遺伝情報200万件が登録されています。

まずウイルスの見つかった場所、一つ一つを時間の経過に沿って地図上に落とし込みます。この地図では、画面の手前から奥へ向かって時間が進んでいます。

次に、似た遺伝情報を持つウイルスどうしを線でつなぐと…。ほかの人に感染が広がったと見られる経路が浮かび上がります。

この地図では、変異ウイルスを色分けして表現。新たな変異ウイルスが広がっていく様子を見ることができます。

ことし1月、ヨーロッパに赤い点が現れました。イギリスで確認された変異ウイルス、「アルファ株」です。

この変異ウイルスは感染力が強く、瞬く間に世界に拡大。4月には全体の4割を占めるまでになりました。

一方アジアでは、別の変異ウイルスが出現しています。インドで確認された「デルタ株」です。さらに感染力が強く、今、最も警戒されている変異ウイルスです。

この変異ウイルスが、どのような経路で日本に入ってきたのか。小崎さんは分析しました。

これは、インドで確認された変異ウイルスが日本に入ってきた感染経路だけを取り出した図です。黄色い線が、インド付近から日本へ向かってのびてきました。変異ウイルスが何度も日本に入ってきたことを表しています。

ところが、思いもよらない場所からの流入があることも分かりました。流入がアメリカとイギリスからも起きていたのです。

研究から、変異ウイルスの日本への流入は、流行地以外の国などから9回にわたり繰り返し起きていました。

慶應義塾大学 小崎健次郎教授
「9つのルートを伝って日本に入ってきたと考えられますが、比較的早い段階から英国、あるいは米国を介して日本に入ってきているということがデータとしてわかったことは驚きを感じたところです。われわれが想像する以上の速さで世界に拡散、まん延する、そういう潜在的な脅威があると今回強く感じております」

国外からのウイルスの流入を食い止めるとりでの役目を果たすのが、検疫です。ことし1月から、国は検疫の強化を進めてきました。原則すべての入国者に対し、出発前の陰性証明書の提出や入国時の検査、さらに入国後14日間の自宅や宿泊施設での待機などを要請しています。

にもかかわらず、なぜ変異ウイルスの流入を防げないのか。小崎さんは、検疫で陽性となった人のウイルスの遺伝情報も調べることにしました。

小崎さんが注目したのは、このオレンジ色の点です。ことし1月、検疫で陽性と判定された中東からの入国者の変異ウイルスです。

陽性となった入国者は、病院や宿泊施設に隔離されるため、その後感染を広げることはありません。

このとき、陽性者の周りにいた人が感染し、潜伏期間などで検査が陰性と判定された場合があったと想定しました。

その人が自宅などでの待機中に感染を広げたとしたら、検疫の陽性者とほとんど同じ遺伝情報のウイルスが広がるはずです。

分析すると、検疫で陽性と判定されたものとほとんど同じ変異ウイルスが、150件以上国内で感染を広げたことが分かりました。

小崎健次郎教授
「検疫で陽性となった方と同行された方、あるいは接触された方が国内で発症し、感染の源になった可能性があると考えます。入国後、十分な観察(期間)を置くことで、発症を未然に防ぐということが今後も非常に重要だと考えます」

検疫の現場に赴き、調査を行っている和田耕治さんです。和田さんは、新しい変異ウイルスへの警戒を怠るべきではないといいます。これまで南アフリカで確認された「ベータ株」。そしてブラジルで確認された「ガンマ株」。変異ウイルスは感染の拡大とともに、次々と生まれてきたからです。

国際医療福祉大学 和田耕治教授
「今後オリンピックといったものがあれば、今までは分かっていないような変異株が入ってくるといったことは可能性としてはありえます。今でいうと、アフリカの特に南半球、そして南米は(感染者が)今非常に増加しているので、特にこういった国々に対しては、今は警戒をする必要があります」

世界で変異し続ける新型コロナ 問われる検疫体制

井上:変異ウイルスの感染拡大をどう防ぐか。そして番組後半では、空気の流れに着目した感染防止策も取り上げていきます。

保里:まずは、変異ウイルスの遺伝情報を表すビッグデータから見ていきます。一つ一つの色が異なる、変異ウイルスを表しています。ことしに入ってから世界各地で新たな変異ウイルスが生まれて広がっていったことがデータから分かるわけですが、宮田さん、このビッグデータからどんなことが読み取れるのでしょうか。

宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)

宮田さん:ウイルスの変異が起こっていくことによって、有効な対策もどんどん変わっていくということに注意しなくてはいけません。ちょうど1年前は、実効再生産数をある程度コントロールして、感染を許容して、病床がひっ迫しなければいいという戦略は世界中で取られていたのですが、アルファ株の登場で特に欧州でコントロールが難しくなったと。今度は検疫を閉じるというやり方だったのですが、これも潜伏期間が難しいデルタ株で、今、有効な戦略というのがどんどん変わっていく中で、今度はいわゆるワクチンが効きづらくなる。そういうようなウイルスが登場することも想定し、このデータで現実を見ながら最善を探り続けるということが必要になるかと思います。

井上:検疫の在り方を研究し、検疫業務にも従事されている和田さん。先ほどもVTRにもありましたが、変異ウイルスが検疫をすり抜けて国内に入ってきた事態というのが分かってきましたが、食い止める難しさというのはどういうことがあるのでしょうか。

和田耕治さん (国際医療福祉大学 教授)

和田さん:難しさとしては、新型コロナに関しては潜伏期間が2日から多くは5日ぐらいですけども、長いときには14日間という非常に長いのが特徴としてあります。14日間ということなので入国された方には自宅待機ということをやっていただくわけですが、この14日間は非常に長くてなかなか言うことを聞いてくださらない方もいたり、同居の家族であったり、同居の友人に感染を広げているような事情があります。14日間ホテルの近くに待機してもらったらいいじゃないかという話もありますが、そういった運用もなかなか入国者全員というのは難しいという現状があります。そして検疫の法律だとか検疫所の権限といったもの、そして機能、これが十分に与えられていないということが今回の有事で分かりました。それは日本で、アジアの多くが経験したSARS、MERSに幸運にも経験がなかったことで、そのツケが回ってきたということがありますので、しっかりとこの段階で検疫について機能を高めていくことが重要だと考えています。

宮田さん:今まで日本は台風だったり、地震だったり、ある程度我慢すれば過ぎ去ってくれるような脅威に対しては対処してきたのですが、今回のコロナウイルスのようにとどまり続けるような脅威、有事に対する備えというのが十分できてこなかったということですよね。こういったことに対して、特に今回検疫でいえば、今後また新たなる脅威が来るかもしれない、未知のウイルスというのが入ってくるかもしれない。和田さん、これに向けての対策を急激に行っていかなければいけないですよね。

和田さん:そうですね。やはり検疫は、特に日本は島国ですので、国を守る国防の一環として考えて、今後の在り方というものをしっかりと省庁横断的に考える機能というものをこの段階で変えていきませんと。また今後、将来的に同じ失敗を繰り返すというふうに危惧しております。

宮田さん:厚労省の権限だけではなくて、韓国、あるいは台湾のように法律を整備して、部局横断で対応をしていく。こういった有事に対応した、いわゆる国のモードチェンジというのがこれから求められるのではないかなと思っています。

保里:まさに求められていることだと思います。そうした中で今、憂慮されているのがインドで確認された変異ウイルスの国内での感染拡大です。これは、変異ウイルスの割合がどのように変化していくか予測したものです。

赤のイギリスで確認されたアルファ株よりも、黄色のインドで確認されたデルタ株のほうが感染力が20%上回ると算出して、デルタ株の広がりをシミュレーションしたところ、7月中旬にはデルタ株がアルファ株を上回るという結果となりました。どのような対策が必要となるか、この計算を行った北海道大学の伊藤公人教授に聞きました。

北海道大学 伊藤公人教授
「まず有効なのは、ワクチン接種を早めるということになりますが、残念ながら今のワクチン接種のペースだと、デルタ株が主流になるのにワクチン接種が間に合わないかもしれないという可能性が危惧されます。そこで対策となるのは、何らかのかたちで人と人との接触を20%程度減らす必要がある」

井上:確かにデルタ株というのは一つポイントになってくると思うのですが、まさにこれからの時期、夏休みとかお盆とか、ちょうど1か月後が東京五輪ということで、人と人の接触をどう減らしていくかというのがポイントになると思うのですが、まず和田さん、どう減らしていけばいいと思いますか。

和田さん:基本的には人と会う機会を減らしていただくというのが、この感染対策として重要になってきます。例えばこの1週間を振り返ってみて、マスクを外して会話をしたり、食事をしたりする頻度がどのくらいあるのかということで、減らしていただく。ただ、やはり人の中にはそういった機会が非常に多い方々がおられますので、そういった方々にはより注意をしていただいて、減らしていただいて、ふだん会わない方とは会わないようにしていただくことがとても重要になってきます。

井上:宮田さんはどう考えていますか。

宮田さん:ことしの第3波と比較して、今回の第4波アルファ株が主流になったことによって、今までの対策が効きづらくなりました。今度このデルタ株になると、より一層対策が効きづらくなることが想定されるので、じゃあどういった対策でより踏み込んだ予防を行っていくか。これもデータを見ながら、われわれ備えていく必要があるのかなと思います。

保里:そうした中で、今まず進めているのがワクチンの接種です。ただ、この接種が行き渡るまで感染対策が鍵となる中、WHOが4月下旬から注意を呼びかけているのがこちらです。

新型コロナウイルスを含んだ、「エアロゾル」による感染なのです。このエアロゾル、日本ではこれまで「マイクロ飛まつ」とも表現してきましたが、これを介した感染の実態がさまざまな調査、そして研究から見えてきました。

空気中に漂う粒子に注意喚起 "空気の流れ"がウイルスを運ぶおそれも

エアロゾルによる感染を、早くから指摘していた医師がいます。ウイルス学が専門の、西村秀一さんです。WHOに対して、その対策の必要性を世界の専門家たちと共に訴え続けてきました。

人がせきをしたり、会話をする中で発生する飛まつは、2メートルほどで地面に落ちると考えられています。一方、飛まつよりも細かく目に見えない粒子となって漂うのが、「エアロゾル」です。

西村さんは実際にクラスターを調査する中で、飛まつや接触だけでは説明しきれない感染のケースがあったといいます。

仙台医療センター ウイルスセンター長 西村秀一さん
「瞬時に落ちるようなもの(飛まつ)で感染するなら目の前の人は感染するかもしれないけど、大勢の人は感染できない。エアロゾル感染が一番考えやすい」

エアロゾルとなったウイルスは空気中でどれだけの時間、感染力を持ち続けるのか。西村さんは、新型コロナと遺伝情報がよく似ている、別のウイルスを使って実験しました。

夏場を想定した湿度50%の条件で、インフルエンザウイルスと比較します。時間の経過とともに感染力は低下。40分を過ぎるとインフルエンザはほとんどがなくなりますが、新型コロナと似たウイルスはさらに長く感染力を持ち続けました。

西村秀一さん
「インフルエンザと比べて、空気中での活性を保つ時間、生きている時間が少し長い。湿度のストレスに対する抵抗力がちょっと強い」

厚生労働省に助言する専門家たちも、早くから飛まつよりも小さい粒子をマイクロ飛まつとして新型コロナの感染経路になると注意を呼びかけています。

では、空気中に漂うウイルスはどのように広がるのか。去年11月、盛岡市の飲食店で起きた集団感染。調査を通して、空気の流れが関わっていることが見えてきました。

店の代表は感染対策の教訓になればと、取材に応じました。

防衛医科大学校 加來浩器(かくこうき)教授
「マスクを交換して、あらためて手指衛生をして」

調査を行った、感染制御学が専門の防衛医科大学の加來浩器さんです。

加來浩器教授
「あそこの窓は開いてた?」

飲食店の代表
「窓は開けています」

もともとこの店は150人まで入ることができましたが、当時はソーシャルディスタンスを保つため座席を3割減らし、店の入り口や窓を開けて換気もしていました。

飲食店の代表
「飲食店向けの事業継続用のガイドラインがありまして、それにのっとった距離のとり方、食器の扱いなどに関してはやっていました」

調査を基にした、集団感染の経緯です。感染源となった利用客から、会話などで吐き出されたウイルスが空気中に漂っていました。

その真上にあったのは、冷暖房の空調設備です。そこから出る温風が、ウイルスを含んだ粒子を四方へと拡散させます。

それが店内に広がり、ほかのテーブルの客を次々と感染させていったのです。ウイルスが広がったと考えられる距離は、感染源の座席からソーシャルディスタンスをはるかに超え、最大で10メートルに達しました。

加來浩器教授
「お酒を飲んでいる時に口角泡を飛ばすではありませんが、同じテーブルの人たちはそういったことはあったとしても、他の人たちはないわけです。私と一緒に調査に行った先生が、空気の流れがどっち方向に行ってるのを確認して、『(空気の流れが)こんなふうになっている』というのを全部突き止めた。『これはもうエアロゾルだね』ということになった」

営業を再開した飲食店では、適切に換気できているか、二酸化炭素の濃度を計測したりアルコール消毒を徹底するなどの感染対策を模索しています。

さらに最新の研究から、空調の設備や設定によっては空気が正しく流れず、感染が広がることも分かってきました。

北海道大学 林基哉(もとや)教授
「ここにいる患者さんから、ウイルスが発生した」

施設における集団感染のメカニズムを研究している、北海道大学の林基哉さんです。新型コロナによるクラスターが起きた9つの病院を調査し、ことし4月、その結果を公表しました。

林さんが注目した、およそ50人が感染した、ある病院のケース。新型コロナに感染し、個室に入院していた患者から出たウイルスが空気中を漂います。この病室の換気は空気を室内に取り入れる給気量と、排気する量が同じ設計でした。しかし、設備の点検が長らく行われなかったため、排気量だけが半分ほどにまで低下。

病室から排気されない空気が、逆に廊下へと流れ出ます。さらにここでは、節電のために30分に一度、給気を止める設定をしていました。すると今度は、ほかの部屋の排気装置によって各部屋へ引き込まれ、隣の病室と休憩室をはじめ、廊下の先のナースステーションや、相談室にいた人を感染させた可能性があると見られています。

林基哉教授
「換気設備は多くの建物についているわけですけれども、それの維持管理については、いろいろな課題が分かってきています。最新の空調、換気設備がついている建物でも、運転をきちんとコントロールしていないということが起きると非常に危険な状況になる」

夏場でも必須の「換気」 ポイントは?

保里:換気をよくするために日常生活でできることについては、関連記事からもご覧いただけます。

では、リモートで林さんにも伺っていきます。林さん、ウイルスを含む空気の流れ、そして換気の設備の問題が感染リスクを高めている実態が浮き彫りとなってきました。どんな対策が必要と考えていますか。

林基哉さん (北海道大学 教授)

林さん:調査によって、日本の建物の換気の状態、空気の流れが多様であるということが分かってきました。改めて、換気設備の点検が必要であると思っています。

保里:宮田さんは、この空気中に漂うウイルス、どのようにご覧になりますか。

宮田さん:ウイルスを含む空気の流れというのは、現在進行形でいろいろな研究が進められています。さらにこのウイルスの変異によって、有効な対策というのも変わっていく中で、非常に難しい部分があるのですが、例えば今回の飲食の対策、一律に自粛だったり休養を求めるのではなくて、適切な営業は何なのかということを考えていくときに、やはりこういったメカニズムをしっかり踏まえて、ガイドラインを決めていくというのはすごく大事だと思います。

井上:酒類提供も再開で、急務ですよね。これからの季節、梅雨ですとか夏場、具体的にどのような換気を心がけていけばいいのか、林さんも所属する空気調和・衛生工学会に具体的な方法を伺いました。
ポイントは拳1個分と、窓に向けた扇風機です。暑いと外気を入れたくないなと思いがちですが、窓を拳1個分開けて、下に扇風機を窓に向けて置くことで、効率よく換気を行うことができるそうです。拳1個分程度の隙間でしたら、窓辺以外の室温、それほど上がらないということなのです。

保里:林さん、この換気の方法、注意すべきポイントはありますか。

林さん:扇風機を使って強制的に空気を外に出すと、新鮮な空気がその分入ってくるということになりますけれども、この部屋の中によどみが発生しないように、そういった窓の位置を工夫するということが必要だと思います。

井上:ほかにも身の回りでできる対策として、空気清浄機を併用することがあります。

家電量販店で一般的に売られているモデルの多くには、「HEPA(ヘパ)フィルター」と呼ばれるウイルスを含んだ粒子を捉えられるぐらいの小さい粒子、これを捉える目の細かなものが採用されています。

こうした空気清浄機を周辺に置くことで空気をかくはんして、かき混ぜてウイルスをこし取ることができるということです。

保里:身近に活用できる1つの方法かなと思いますが、林さんはこれまで私たちがずっと意識してきた「3密」対策に加えて、「時間」、これを意識することが大切だと考えておられるんですね。

林さん:そうですね。換気をよくすることは重要なのですが、換気には限界がありますので、室内空間に長居するということはそれだけ多くエアロゾルを吸い込むことになります。ですので換気をなるべく確保して、さらに換気が悪いかもしれない空間にはなるべく長い時間いないということが重要だと思います。

保里:時間を意識するということに加えて、林さん、長期的にはどんな対策が求められると考えていますか。

林さん:これからさらに、感染力が強いウイルスが登場する可能性もあるわけです。そういったウイルスの感染力に応じた換気の考え方というのを、これから作っていく必要があると思っています。

保里:まさにその必要性を今、実感しているところだと思うのですが、宮田さん、これから大切なことはどんなことになるでしょう。

宮田さん:空気の流れを踏まえた感染対策ということをわれわれ考えるときに、医学的なアプローチだけでは不十分なのです。今、林さんがおっしゃっていただいたような工学的なアプローチを組み合わせることが必要です。さらには前半でお話をした、検疫ですね。これも医学だけではなくて法律的な側面だったり、さまざまな専門家で連携をしていく。そうでないと、ウイルスに対抗していくことはできないのです。さらにわれわれ専門家としては、実際それが運用される人々の間で守られないと効果的にはならないので、生活者の視点に寄り添って何が有効かということを考えながら、気を引き締めて対策を考えていきたいなと考えています。

保里:まさにこれからオリンピック・パラリンピック、そして夏休みなども控えている中で、そうした対策の必要性、私たちが日々意識すべきヒントも見えてきましたね。

宮田さん:オリンピックということは世界に対する影響というものも出てくるので、われわれ日本の中だけではなくて、さまざまな人と連携していければと思います。