クローズアップ現代

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2020年6月17日(水)
第2波への備えとなるか“精密抗体検査”

第2波への備えとなるか“精密抗体検査”

緊急事態宣言が解除されるなど、いったん落ち着いたかのような新型コロナウイルスの感染拡大。しかしウイルスに感染しても症状が出ない例も多く、感染が実際どの程度広がったのか、その全貌は明らかになっていない。今後、社会を動かしながら第2波以降に対処するにはどうすればいいのか。期待を集めているのが「抗体検査」だ。
体内に存在する抗体を調べることで過去に新型コロナに感染していたかどうかが分かる抗体検査。最新の検査装置を使って多くの人から精密なデータを集めれば、この先の感染リスクを予測し、ターゲットを絞った効果的な対策を打てるのではないか。国、民間企業、そして大学の研究者たちが、それぞれ可能性を探る取り組みを始めている。
さらに、抗体の特性を詳しく調べることで重症化しやすい人の傾向をつかむなどの研究も進む一方で、今も未知の部分が多いのも現実だ。抗体検査の研究は今どこまで進み、第2波を防ぐためにどう活用できるのか。研究の最前線を取材した。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから ⇒https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/

出演者

  • 田坂広志さん (多摩大学大学院名誉教授)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学医学部教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

第2波への備えとなるか “精密抗体検査”

東京大学の先端科学技術研究センター。訪ねてきたのは、これまで多くの感染者が出ている東京・世田谷区の区長です。感染の実態を把握する方法はないかと、さまざまな研究機関を回っています。

世田谷区長 保坂展人さん
「(自粛を)今度もう一回2か月とかっていうのは、かなり難しいなと。仕事とか経済、ぎりぎりまできちゃってる状態ですよね。少し見通しというか、我々はどんなところに置かれているのか知りたいというのはありますね。」

東京大学 先端科学技術研究センター システム生物医学者 児玉龍彦さん
「抗体検査で過去にどの程度(感染が)あったかとか、そういう情報はかなり分かってきますね。」

遺伝子情報を活用し薬を開発する分野の第一人者、児玉龍彦さんです。
児玉さんはこの3月、抗体検査を活用して新型コロナウイルスの実態を明らかにするプロジェクトを立ち上げました。感染症の学者だけでなく、計測機器を扱う専門家やビッグデータを解析するエキスパートなど、分野を越えて研究者が集まりました。

プロジェクトの目的の一つが、大規模な抗体検査を通じて、症状のなかった人も含めた感染の実態を正確につかむこと。それが今後の対策を考えるうえで重要なカギになると児玉さんは考えています。

児玉龍彦さん
「第1の波がどこに感染を起こしたか、よく分析できる時間的余裕があるんで、いま一気にやるべきじゃないかと思ってます。」

趣旨に賛同する製薬会社や財団法人などから資金を集め、最新鋭の自動測定器を6台導入。全国の大学病院などに設置しました。1台で検査できる人数は1日500人。4月から試験的に測定を始めています。

プロジェクトのもとに、調査に協力する福島の医療グループの職員が訪ねてきました。

医療グループ 誠励会 職員
「なるべく急いで結果をいただけると、うちの職員もすごく安心して院内感染対策もできてますので、今後ともよろしくお願いしたいと思ってます。」

届けられたのは、医師や看護師など全スタッフ680人の血液の成分。プロジェクトが行うのは、自動測定器を使った“精密抗体検査”です。
抗体は、ウイルスに感染した際体の免疫細胞が作り出すたんぱく質です。精密抗体検査では、その有無だけでなく、どれだけあるのか量まで測ることができます。
2時間後、結果が出てきました。

東京大学アイソトープ総合センター 准教授 川村猛さん
「これがIgGが12.73で陽性です。この値が10を超えた場合、陽性になります。」

IgGは体の中にできる抗体の一種。これは、その量の変化を表した模式図です。

一般的に発症1週間ほどあとから増え始め、体からウイルスがなくなったあとも残ります。このIgGの量が一定の数値を超えていれば、現在新型コロナウイルスに感染中、もしくは過去に感染していた可能性が高いと推測できるのです。
今回の検査では、医療グループで働く680人のうち6人が陽性と判定されました。医療グループが6人にPCR検査を行ったところ、現在の感染は確認されず、しかも、これまでも新型コロナを疑う症状はなかったと言います。つまり、この6人は過去に感染したものの、症状のないままウイルスがなくなったと考えられるのです。

東京大学アイソトープ総合センター 准教授 川村猛さん
「今回の新型コロナウイルスは症状が出ないで感染している方がかなり多いので、こういう(無症状の)方が一番(感染を)拡散してしまう可能性がある。」

検査を依頼した福島の医療グループ。気づかないうちに職員が感染していた可能性が高いという検査結果を重く受け止めています。

医師 坪倉正治さん
「第1波でバッと院内に広がったりしなかったものは、おそらくラッキーだったと捉えて前に進もうと。どこかでうちの病院にも感染者が入ってくる可能性があった。」

検査の結果から陽性と判定された人の多くは、病院ではなく介護や福祉関係の職員だったことも判明。幸い、感染が広がった形跡はありませんでしたが、医療グループは今後の対策のためすぐに動きだしました。

介護施設の担当者
「職員と業者の出入りがあるような正面玄関とか通用口に関しては、すべて『汚染エリア』という形で…。」

感染リスクを細かく分析し、施設内のゾーニングなどの具体的な対策を徹底していく考えです。

坪倉正治さん
「そこは第1波での弱点だったかもしれないポイントなので、そういう方々の個別の事情をよくお聞きして、どういう対応ができるかを1例1例見つけていくと。」

感染のリスクがどこにあるかを早めにつかみ、対策を事前に打っておけるか。新型コロナ患者を受け入れ、常に職員が感染リスクにさらされる医療現場にとっては切実な課題です。

東京・世田谷区にある総合病院です。

関東中央病院 院長 新家眞さん
「専用の入り口を、新型コロナ隔離病棟を作るために、突貫工事で。」

この病院では、新型コロナの検査・診察を行う専門外来を設けています。これまで100人以上の患者の感染が、ここで判明しています。
徹底した感染対策をとってきたこちらの病院。820人いる職員からは、1人の感染も確認されていません。

しかし今後、流行の第2波が押し寄せれば、新型コロナの患者だけでなく症状のない感染者が病院のさまざまな場所を訪れる可能性が高まります。思わぬルートで感染が広がる危険もあります。
今回、この病院は、職員の感染状況を把握するため精密抗体検査を行うことを検討しています。もし無症状で感染していた職員がいたことが分かれば、その原因を分析し、さらなる対策を打てると考えているからです。

関東中央病院 院長 新家眞さん
「現時点までは(対策は)成功しているのかなと思いますけども、実は非常に弾(ウイルス)がいっぱい、かすってたということが分かるかもしれないんで。我々として一番期待するのは、どのような部署ないしは、どのような患者さんの接し方をしている人に無症候の感染者だった人がいるのかなあということ。それに尽きますね。」



感染すると重症化するリスクが高い、高齢者を抱える施設でも抗体検査に期待を寄せています。

家族
「お母さん、来ましたよ。」

この施設では国の方針のもと、感染防止のため家族が中に入ることを2月以降禁止。外からしか面会できない状況が続いています。

家族
「もしもし、お母さん。今週かぜ気味とか言ってたけど、きょう元気そう。安心した。お母さんが大好きだったバラね、塀の横で咲いたのよ。」

「じゃあね、元気でね。」

今月(6月)、施設は精密抗体検査のプロジェクトに参加。職員と入所者だけでなく、入所者の家族の抗体も調べます。抗体の有無が分かっても、現在の感染リスクがゼロになるとは言えません。それでも、面会の禁止を解除する糸口を探るため、実態を把握することから始めたいのだと言います。

芦花ホーム 医師 石飛幸三さん
「ただ未知だ未知だなんておびえて、薬もない状態で。まずは実態を知りたいよね。あなたたちは会わせてあげましょうと、引き裂かれ状態を工夫して解消できるような可能性があるじゃない。」

第2波への対策で期待が高まる精密抗体検査。そのメリットと課題をスタジオで深掘りします。

精密抗体検査 メリットと課題は?

武田:きのう(16日)、国も東京・大阪・宮城が行った抗体検査の結果を発表しました。それによりますと抗体の保有率は東京0.1%、大阪0.17%、流行が比較的小さかった宮城では0.03%でした。
大半の人が抗体を持っていないということが分かったということです。

危機管理が専門の田坂広志さん。危機管理の観点からは、この抗体検査によって感染実態の解明が進むということは、どんな意義があるというふうにお考えですか?

ゲスト田坂広志さん (多摩大学大学院 名誉教授)

田坂さん:抗体検査というのは、大きく2つの目的があると思うんですね。1つは集団の評価。人間集団の中でどれくらい感染しているかこれを調べるという目的があります。もう1つは、これは非常に興味があることなんですけれども、個人がかかっているかどうかの診断。この2つをしっかり分けて考える必要があると思います。
まず、前者の集団評価という点では、これは非常におもしろい方法が生まれてきたと思うんです。今までは「サイレントキャリア=無症状」の感染者が分からないということがコロナ対策の一番の大きな問題で、これが分からないからうまい対策が考えられない面もあった。ところがこれを使うと分かるようになる。もともと、ご存じのように医療崩壊を防ぐという意味でPCR検査を抑えてきましたので、これは1つの大きなカードになると思いますね。
ただ、個人の診断という点で見ると、まだいろいろ問題がある。例えば、抗体があるということは免疫があるということを必ずしも意味しないなど、いろいろな問題がまだあるということも考えておく必要があると思いますね。

栗原:田坂さんがおっしゃったように、抗体検査は期待が集まる一方で気をつけなければならない点もあるんです。
まずは1つ目、「免疫パスポートにはならない」ということ。
「免疫パスポート」というのは、一度抗体が作られたら今後、感染しない証明になるという考え方なんですけれども、そうではないということなんです。厚生労働省では、「抗体の体内での持続時間や2回目の感染から守る機能があるかということは、まだ明らかになっていない」としています。また、WHOも検査に過剰な期待をして感染対策が緩むことを危惧しています。

そしてもう1つの注意点が、「検査の精度に課題あり」。
今、さまざまな検査キットが流通していますけれども、これは簡易検査と呼ばれるものなんです。これは厚生労働省が独自に検査キットの性能評価を行いましたが、精度にばらつきがあったということだったんです。

武田:今回宮田さんも参加されているプロジェクトは、簡易検査ではなくて、抗体の量まで詳しく調べることができる精密な方法によるものだということなんですけれども。
私たちは今、社会経済活動を回しながら第2波に備えるという、非常に難しい局面にありますよね。その精密な検査を活用して、どういうふうに防いでいけるというふうにイメージしてらっしゃるんでしょうか?

ゲスト宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:先ほどからおっしゃっていただいたように、無症状や軽症者の方が非常に多く、感染実態を世界中で完全に把握できている国はないんですね。この抗体検査を通じて全容の一部を明らかにすることによって、どういう働き方がリスクが高いのか、どういう働き方が大丈夫なのか。例えば医療職の働き方の中でも、このセクションは特に実は無症状で感染してしまった、そうしたらガードを上げる。その人たちを守るとか、あるいは働き方そのものを工夫していくということで、第2波が来たときに感染を抑えていく戦略を立てることができるというのが、この中でのまず大きな目的になります。

栗原:宮田さんが今回、抗体検査とコラボを考えているのが、LINEを使った健康調査です。8,300万人いるLINEのユーザーたちに、「熱はあるか」「せきは出るか」などの質問を送り、集まったビッグデータを分析しました。職種によるリスクの違いなどを割り出してきたわけなんですけれども、このLINEを使ったプロジェクトと抗体検査を組み合わせることで、どういうことが分かるのでしょうか?

宮田さん:LINEは都道府県ごとのパーソナルサポートというのがあって、例えば神奈川県は70万人以上の方が3月から参加していただいています。振り返って、例えば3月、4月に熱が出ていた方、あるいは息苦しさを感じていた方、だるさがあった方。熱も1日なのか、あるいは4日続いていたのか。こういった違いがある中で、その背景にどれぐらい実際コロナウイルスにかかっていたかどうかということを明らかにすることですね。
今度、次に第2波が来たときに、実はもしかしたら熱よりも息苦しさのほうが大事なのかもしれないとか、あるいはこの条件が重なったら非常に確率が上がってくるので直ちに受診してくださいと。今までは、こういったデータがあまりない状態で判断をしていたんですが、より確実性の高い情報をもとに人々をサポートするということができるようになる。そういう形でプロジェクトを進めています。

武田:症状がある人を後で抗体検査で詳しく調べることによって、その人たちがこの病気の初期症状は本当はどうだったのかということも、だんだん分かってくるということですね。

宮田さん:どういう経過で症状が表れたということも把握することができますし、より早い段階でサポートできればというふうに考えているので、こういったアプローチができるのかなと思います。

武田:それにしても国の調査でもほとんどの人が免疫がない、抗体がないということが分かってきたわけですけれども、これによってやはり国や私たちがとるべき戦略というのも考えていかないといけないですよね。

田坂さん:例えば東京の0.1%を考えてみれば、99.9%の方はまだかかっていない可能性が強いわけですよね。ある意味では、すばらしいことなんですけれども、実は集団免疫という考え方があって、大体こういうパンデミックが収束するときは6割ぐらいの方が感染したときに収束するだろうと言われているわけです。そうすると、今99.9%の方がまだかかってないところから、6割が感染するまでどうするのか。ここに国の戦略が問われるわけです。
スウェーデンは自由に経済活動をやることを許してどんどんやっていくことを許容したわけですけれども、これはかなりの大失敗という状態になったわけです。
では日本はどうするか。恐らくはワクチンができるまで何とかしのいで、ワクチンという形で安全な形で免疫を広げていくという方法になるんだろうと思うんですが。ではそこまでの間、どうやってこの感染を抑えていくか、感染者と非感染者を分けていくか、これが大きなテーマになると思います。

武田:抗体検査のプロジェクトには、今あらゆる分野の科学者が垣根を越えて協力しています。未知のウイルスの解明につながる可能性を取材しました。

新型コロナ 進む“抗体”の研究

精密抗体検査のプロジェクトに参加している、東京大学医学部附属病院の蔵野信准教授です。大学病院に入院している新型コロナウイルスの感染者の抗体の量が、発症後にどう変化するかを調べました。その結果、将来の治療につながるある手がかりが見えてきたと言います。

東京大学医学部附属病院 臨床検査医学 准教授 蔵野信さん
「例えば抗体が早く上がる人もいれば、あまり上がらない、遅く上がってくる人もいて。抗体価が早く上がるような方は重症化しやすいことが分かってきました。」

注目したのは、IgMと呼ばれる抗体です。軽症の患者の場合、IgMは発症後あまり増えませんでした。しかし、重症化した患者のIgMは急激に増える傾向にあったのです。

抗体検査でIgMの値を測り、重症化しそうな患者をあらかじめ調べられれば、症状の軽いうちに先手の治療ができる可能性が広がります。
蔵野さんは今後さらに計測を進め、重症化を確実に予測できるようにしていきたいと考えています。

東京大学医学部付属病院 臨床検査医学 准教授 蔵野信さん
「一番重要なのが、いろいろプロジェクトをしても、それを社会に還元させなくちゃいけない。社会に還元するというのは、抗体検査の場合は広く臨床で使える検査に発展させること。我々もそれを目指してやっています。」

第2波への備えとなるか “精密抗体検査”

栗原:今回取材した、東京大学の研究者を中心としたこの抗体検査のプロジェクトには、実にさまざまな科学者が集結しているんです。例えば、免疫の専門家ですとかワクチンを開発する研究者、そして遺伝子を研究するゲノムの専門家もいらっしゃいます。メンバーの1人として宮田さんも加わっていらっしゃいますが、実際この議論がかなり進んでいると思うんですけれども、どんな可能性があると思いますか?

宮田さん:1つは、新型コロナウイルスで重症化した患者さんの場合でも、ECMO(エクモ・人工心肺装置)を割り当てることができれば救命率はかなり上がるということは分かってきました。ただ、それがやっぱり足りなくなると途端に亡くなってしまうんですよね。この診断の初期の段階で、抗体検査を組み合わせて重症化リスクを予測できれば、今度は医療政策的にも患者さんを十分に足りるように病床を割り当てる。こういうことができれば、全体として救える命を上げていくことができるかもしれないというのが1つ。
あとはやはりワクチンですよね。いわゆる抗体が残るかどうか。先行している中国の研究だと、3分の1の人が消失してしまうかもしれない。そうなってくると、ワクチンはひょっとしたら毎年インフルエンザのように打つようなものになるかもしれないですし、そうじゃないかもしれない。
こういったメカニズムを解析した上で、これからワクチンができてきた場合にどのような形で人々に配れば効果的に感染拡大を抑えることができるか。こういったシミュレーションとワクチンメカニズムを組み合わせながら考えていくということも必要になるかなと思います。

武田:抗体検査を切り口に、いろいろな専門性がやっぱり必要になってきて、その総体として新型コロナウイルス対策と新しい対策が何かとれるかもしれないということですね。

宮田さん:そういうことです。

武田:感染拡大は少し落ち着いた状態にあるわけですけれども、第2波に備えていくためにどんなことが必要なのでしょうか?

宮田さん:この1か月の中でも、世界の常識というのはアップデートされてきました。1か月前はフェーズを決めて、いわゆる感染者が少なくなってくればできることがあるんじゃないかということだったんですが、この間に韓国で、ほとんど感染者がいないと思われていたのに感染拡大が起こった。おととい(15日)の中国も同じです。そういう意味では、ガードは一定以上は上げ続けなければいけないということが1つ。
一方で光明も見えてきて、ドイツをはじめとした欧州諸国はロックダウンを抜けて、まだ感染者は結構いるんですが、適切な予防行動、マスクをしていわゆる社会的距離をとることによって、感染拡大はこの1か月以上経過しても起きていない。
そういう意味では、これからリスク予防行動を我々が個々のライフスタイル、働き方、過ごし方に応じてとっていくことができれば、第2波が来たとしても小さい波で抑えることができる。こういった光明が今、見えているということが考えることができますね。

田坂さん:1つは、今、経済社会活動と感染拡大防止をどう両立させるか非常に苦労されています。これは分かりやすく言えば、サイエンスと政治的な判断をどう結びつけるかです。その意味では、この役割を果たすサポートとして、リスクマネジメントの専門家をぜひ専門家会議にも政府にも入れていただきたい。
2点目は、先ほど抗体検査はある意味では限界がまだあるとありましたけれども、実は抗原検査とPCR検査をうまく結びつけることによって、それなりには判断ができる。個人が感染しているかどうか、ここはやはり希望を持って進めていくべきだと思います。
3点目は、きょうのテーマから少し外れますけれども、検査というものをしっかりやるのは当然ですが、第2波が来るときに恐らく我々の想像を超えた状態でやってくる可能性が大いにあります。そうすると、むしろ大切なのは、検査体制はもとよりですが、万一感染が広がったときの隔離施設の問題。さらには重症化した方々の病床を確保する問題。ここまでしっかり視野に入れて準備をしておかないと、今、検査だけいくら頑張ってみても、現実の問題は、ひとたび感染拡大になるとこの後者の隔離施設、病床の問題が大きな問題になる。今、政府としてはかなり厳しめにそこを予測して準備を進められるべきだろうと思うんですね。そのことが私から申し上げたい第2波に対する備えだと思います。

武田:予測しない形、例えば秋以降、新型ウイルスだけではなくてインフルエンザとまた一緒に来るかもしれないですね。

田坂さん:インフルエンザとダブルで来たとき、医療崩壊になる可能性が大いにあると思います。この危機感はしっかり持たれるべきです。危機管理の第一原則は最悪の事態を想定するということです。