今月1日から、中国政府は30年以上続けてきた「一人っ子政策」を廃止し、2人の子どもを産むことを認めた。大きな政策転換の背景には、急速に進む少子高齢化や労働力人口の減少がある。一人っ子政策の「模範県」では、子どもが減少し、この10年で小学校が半減。製造現場などでは労働力不足が深刻になるなど、経済への影響が懸念されている。そうした中での政策転換に、期待が集まる一方で、その効果を疑問視する見方も出ている。中国では都市部を中心に、教育費の高騰などで子育ての負担は大きく、2人目を望まない夫婦も多いのだ。さらに、一人っ子政策が産んだ“負の遺産”にも、改めて注目が集まっている。“2人目”として生まれたものの戸籍がない、いわゆる「ヘイハイズ(無戸籍児)」の問題だ。中国全土で少なくとも1300万人にのぼると見られ、その存在を認めてほしいと、いま各地で声を上げ始めている。様々な矛盾を抱えながらも、歴史的な政策転換に踏み切った中国。今後少子高齢化を緩和させ、安定した経済成長を続けていけるのか。「一人っ子政策」廃止後の大国の行方を展望する。
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