黒板アートで全国に!会津学鳳高校・美術部
- 2024年04月01日
驚くような才能や技術を持つ県内の若い世代を紹介する「うわさのミラクルジュニア」。
今回は、県立会津学鳳高等学校の美術部です。
黒板アートで全国にその名が知られています。
会津学鳳高校美術部にはどのようなミラクルがあるのか?取材しました!
(キャスター・石井双葉)
おいしそうな“おせち料理”
これも・・・
立派な鯛!その横にはおいしそうなだて巻きが並んでいます。
このおせち料理、教室の黒板にチョークで描かれたものなんです!
黒板をキャンバスにして、チョークなどを使って作品を描くことを黒板アートと言います。
黒板アートの世界には、
全国の高校生たちが競う黒板アートの甲子園があります。
この作品は、5年前に全国1位にあたる「最優秀賞」に輝きました。
先輩の技術を受け継ぐ現役部員たち
先輩の技術を受け継ぐ現役部員たち。
2019年から本格的に作品を応募し始めた黒板アートの甲子園で、5年連続で入賞し続けています。
私がこの絵を初めて見たのは中学1年生の時です。
そのときから会津学鳳の黒板アートが憧れの対象になりました。
黒板アートでは、どのようなチョークを使用しているのですか?
アートチョークを使っています。
色の種類が多く、緑でも明るい緑、暗い緑など、細かい違いがあります。
絵に合う色はどれか、いつも色を確認しながら描いています。
必見!黒板アートテクニック
こだわりPOINT:画面の強さ
チョークの色をはっきりと乗せ、コントラストをつける!
美術部顧問の丸山先生によると、色をはっきり乗せることは全国でも珍しいそうです。
そのために欠かせない、黒板アートの3つの技法を、2人の部員が教えてくれました。
①下地を塗る
粉にしたチョークを水に溶かし、
ブラシで黒板に塗ります。
〈効果〉
チョークで塗るときに色の塗りムラがなくなる
(特に広い範囲を塗るとき)
②色を線で塗る
一般的にチョークの横側を使って塗ることが多いです。
しかし、私たちは、色を強く出すため、チョークを立てて網目状に線を重ねて塗っていきます。
〈効果〉
遠くから見ても、力強く・わかりやすくなる
③消しゴムでチョークの色を消す
輪郭になるところを消しゴムで消すことで黒板の地の黒い色を出します。
顔も消しゴムで消して描きます。
紙に絵を描くときは、鉛筆で黒く描きますが、黒板アートの場合、消しゴムで黒を作ります。
逆になるのがおもしろいところです。
〈効果〉
絵が際立って見え、コントラストが出る
チョークとは思えないほどはっきりとした色の見事な絵が完成しました!
2023年度は「優秀賞」受賞!
現役部員のアート
作品名:『駆け出す!』
女子高生が突き刺した剣は地面を裂き、その裂け目から2頭の馬が勢いよく駆けだしています。
去年の黒板アートの甲子園で、127点の応募の中から、全国2位にあたる「優秀賞」を受賞しました。
馬のたてがみは複数の色を使用し、1本1本線で描かれています。
馬の筋肉も明るい色や暗い色を使用し、筋肉の盛り上がりが見事に表現されています。
1番こだわり、時間をかけた部分が「馬」だそうです。
優秀賞という結果を知ったとき、どのような気持ちでしたか?
夏の暑い中、みんなで描いてこだわり続けたものがこのような結果になってとてもうれしかったです。
どのような想いを作品に込めたのですか?
会津学鳳の黒板アートは、毎年「復興」をテーマに描いています。
馬は相馬野馬追を、花は葛尾村の復興のシンボル・クリムゾンクローバーを描きました。
傷ついた土地でも、勇気を持って切り拓いて希望を持って欲しいという思いを、この作品から感じ取ってもらいたいです。
近くで見ると、何色もの色を細かく重ねていることが分かります。
その分制作に時間もかかりました。
制作時間は121時間。
去年6月からの3か月間、夏休みも毎日のように学校に来て応募の締め切りギリギリまで制作に取り組んでいたそうです。
使っている黒板も1つだけではないのですね!?
馬が飛び出す構図のため、縦の幅が足りませんでした。
顧問の丸山先生からのアドバイスで黒板を追加し、計4つの黒板に描いています。
馬がいまにも飛び出してきそうなほど迫力が生まれていますね。
消すまでがアート!?
黒板アートは完成した絵を見るだけで終わりではないそう。
黒板アートは、“消す”(黒板を元の状態に戻す)ことも含めたアートだと考えています。
なので、今回この絵を消します。
え!!??
もったいないような気もしてしまいますが…黒板をきれいにし、後輩たちに黒板アートをつなげていくのですね。
後輩へメッセージはありますか?
みんなで納得のいく作品をつくるのは難しいと思います。私たちもいつでもアドバイスするので、みなさんのすてきな作品を待っています。
毎年、年度末までには黒板アート作品を消して、
新しい学年で作品作りをしているそうです。
技を受け継いだ、これからのミラクルな作品も楽しみです。
あとがき
作品を消す前は「消すときに泣く人はいないです」と話していた部員のみなさんですが、撮影後には「消しちゃったね」「写真撮っておこう」などと名残惜しそうにしていました。
また、「やりきった」というような笑顔もみなさんから見られました。
黒板アートは消してしまう儚さがあるから心により残るのかもしれません。