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【特集】震度6強地震から1年 のしかかる「多重被災」

福島 シリーズ震災・原発事故12年「再建悩む被災地の旅館はいま」
  • 2023年03月30日

福島県と宮城県で最大震度6強の揺れを観測した地震から、3月16日で1年。

福島県と宮城県ではあわせておよそ6万3000棟の建物が被災しましたが、特に被害が大きかった福島県相馬市では、半壊以上と判定された建物の公費での解体の進捗率が4割あまりにとどまっています。

相次ぐ大地震による「多重被災」

この地震で大きな被害を受けた地域は、12年前の東日本大震災とおととし2月の地震でも最大震度6強の揺れに襲われていて、相次ぐ大地震による「多重被災」が生活や事業の再建に影を落としています。

相馬市の観光名所、松川浦の近くにある客室数16の旅館。

天井や壁が至る所で剥がれ落ち、建物全体が歪んで、窓も閉まりません。

管野英信専務
「建物の内部外部の損傷と地盤沈下ですね。ちょっと建物が曲がってしまったというか、大規模半壊と言う結果になりました」

度重なる被災 乗り越えてきたのに

公費での解体の対象となってしまったこの旅館は、この12年、相次ぐ地震の被害を乗り越えてきました。

管野英信専務
「まず東日本大震災、3.11ですね、それが一番最初の大きな被害で、うちは高台にあるので、津波の被害はなかったのですが、地震による被害がありました」

営業再開前日 またしても震度6強

建物を修理し、東日本大震災の時の借金を3分の2ほど返済したところで、おととし2月の地震が発生。

休業を余儀なくされつつも、再び建物を修理して営業再開にこぎつける前日、またしても震度6強の地震に襲われたのです。

管野英信専務
「全くお客様も受け入れられない状態で地震の被害にあったと。地震被害だけではなくてコロナの状況もあって、旅館業大変な状況だったので、今後どうなっていくか分からないので、その辺はちょっと不安っていうか不明ですね」

それでも 再建目指す

それでもあきらめず、東日本大震災をともに乗り越えてきた12人の従業員と旅館の再建を目指している管野さん。

再建のための補助金を申請するには、2000か所に及ぶ被害の写真をとって提出しなければなりません。

地元の旅館組合加盟24軒のうち、6割近くが地震被害のため休業していて、この旅館のほかにも3軒の旅館が解体される見通しです。

拭えぬ不安

リスクを負って再建しても、また大きな地震に襲われるのではないか。その不安が頭から離れないといいます。

管野英信専務
「早く再開して頑張ってほしいという温かい声も数多く頂いているので、無理矢理にでも自分を鼓舞して生きているのは確かにあると、いろいろなことが不安ですよね。新しい施設ができて再建できればいいけど、ダメだったらどうしようかなとか」

  • 髙野茜

    NHK福島放送局 記者

    髙野茜

    栃木県出身。2019年入局。警察担当を経て南相馬支局。趣味は浪江町でのバスケットボール。

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