福井 住民みずから災害対策 きっかけは豪雨被害 鯖江市北中山
- 2024年03月29日
福井県鯖江市北中山地区は、道路や堤防沿いにあじさいを植えたり伝統野菜をPRしたりと、地域活動がさかんです。そんな北中山地区は防災にも力を入れていて、住民みずからさまざまな取り組みを行っています。きっかけは20年前の豪雨災害。地域全体で防災力を高めようと活動する皆さんを太田実穂キャスターが取材しました。
地区独自の防災マップ
鯖江市北中山地区の防災活動を最前線で担っているのは「北中山地区防災会議」のメンバーのみなさんです。定期的に地区の防災に関する会議を行ったり、住民向けに防災セミナーを企画したりしています。
地区独自の防災マップも作りました。
特徴はなんと言ってもその細かさ。地区の7つの町内ごとに作られていて、避難支援が必要な人が住んでいる場所や、倒壊の恐れがある建物、また、過去の災害で浸水した場所などを色別に記載しています。
地域に住んでいる人たちが過去の経験とか自分たちが持っている情報を町内地図の中に落としこんで、いざ災害が起きたときに役立てようと。
きっかけは20年前の豪雨災害
防災マップを作るなど防災意識を高めるきっかけになったのは、平成16年の福井豪雨でした。4人が死亡、1人が行方不明となり、およそ1万4000棟の住宅が浸水したこの豪雨、鯖江市ではおよそ1000棟の住宅で被害が出ました。
この公民館の周りも相当な被害を受けました。その後やはり災害に対してなにか取り組んでいくものが必要ではないかということでこのような動きが始まりました。
地区独自の防災計画を作るなど取り組みを進めていくなかで、揚原さんらは、日ごろから地域の細かい状況を把握しておくことが被害を減らすことにつながると考え、防災マップを作りました。区長らにも声かけをして町内ごとに調査をしてもらっています。
ここはコンクリートブロック塀で、われわれの背丈を超えるような高さのところです。地震が起きた場合、倒れる危険性が非常に高いので危険な場所ということでマップにも赤印でチェックをしています。
私よりも高いですから、大人でも危険ですよね。ここは道幅も狭いですし、コンクリートブロック塀で挟まれているので、ここを歩いているときにもし地震が起きたら本当に危険ですよね…。
住民たちの防災意識もアップ
防災マップに記載されているのは、危険な箇所だけではありません。消防ポンプや発電機などが保管されている倉庫も防災マップに記しています。災害発生時、消防などが来るのをただ待つのではなく、地域住民がすぐに対応できるようにしています。
地域の方々がどこに消火栓があるのかわかるよう、このように赤い印をしています。今は冬で雪の降る季節ですので、雪が降った場合には除雪をしてわかるように取り組んでいます。
こうした取り組みによって、地域住民の意識も変わりました。こちらはかつて倒壊の危険があるコンクリートのブロック塀でしたが、持ち主が自主的に金属の塀に改修しました。
地域のみなさんも防災への意識は高まっているのですね!
子どもたちにもわかりやすく
さらに防災会議の皆さんは、子どもたちにも防災の意識を持ってもらおうと努めています。地区の行事にあわせて災害の怖さなどを伝えています。
こちらは、液状化現象を再現することができる装置です。地震と同じように箱が振動すると…
乾いていたはずの地面から水がしみ出してきました。液状化現象の恐ろしさを視覚的に分かりやすく知ることができます。
建物がどんどん沈んでいきますね。
建物も倒れていきますし、電柱も倒れる。
実際に私たちの住んでいるところでこれが本当に起こったと思ったら恐ろしいことですよね。
地域一丸となって 防災に強いまちへ
ほかにも地区では、福井豪雨が起こった7月の第3日曜日を北中山地区独自の「防災の日」と定めて防災訓練を行い、地区をあげて防災意識を高めています。
さまざまな取り組みを通して、地区の防災機能を強化するだけでなく、住民の防災意識の底上げにも貢献している北中山地区防災会議の皆さん。これからも、みんなの命とまちを守るため、一丸となって活動を続けていきます。
災害は突然やってくるので心構えと備え、今の場合ですと季節にあった衣類を入れた非常持ち出し袋を準備しておくとか、備えを十分にしていただくということが大事かなと。
能登半島地震を見ますと、まだまだ防ぎきれない・守りきれるのだろうかという思いがありますので、防災資機材を充実させるとか、避難訓練をより実践的な行動訓練にするというようなことも、これからやっていかないといけないかなと思っています。
★ほやほやみつけ隊とは★
「ニュースザウルスふくい」の名物コーナー。福井放送局のキャスターが、緑のはっぴを着た「みつけ隊員」として県内を地区ごとに訪ね、地元の味覚やすてきな活動、そして元気な皆さんを「みつけ」ます。