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青春18きっぷが使えない!? どうなる北陸の鉄道旅行

  • 2024年03月30日

全国の鉄道ファンに魅力的な旅を提供してきた「青春18きっぷ」。
ところが、北陸のほとんどのエリアでもう使えなくなってしまうというのです。

北陸の鉄道旅行は、いったいどうなってしまうのか…!?

(福井放送局 記者 林秀雄)

青春18きっぷ 厳しくも優しいその魅力

はじめに、簡単にですが「青春18きっぷ」について解説しましょう。すでにご存じの方は、ちょっと下にスクロールして先に読み進んでいただいてかまいません、読んでいただき「あるある!」と相づちを打っていただけるとうれしいです。

青春18きっぷはJR全線の普通列車の普通車自由席などが乗り放題となるきっぷです。毎年春・夏・年末年始の期間限定で発売され、現在は5日分で1万2050円。単純計算で2410円で丸一日好き放題に在来線の旅を楽しめます。

JRがまだ「国鉄」と呼ばれていた40年ほど前から発売が始まりました

響きから若者向け?と思われるかもしれませんが、年齢制限はありません。JR各社をまたいで利用できる、途中下車も可能…ということで、YouTubeにもこのきっぷを使った“乗り鉄動画”が数多くあげられています。最北端の稚内駅(北海道稚内市)から最南端の西大山駅(鹿児島県指宿市)までこれだけで行くなんて動画もあります。

かくいう筆者も、ウン十年前には「18キッパー」としてこのきっぷにお世話になっていました。新幹線や特急列車のふかふかとは違い、硬めの座席も多い在来線。それを丸一日乗り通すのですから、若かった当時でも決して楽な旅ではありません。

青春18きっぷで旅をしていた頃の筆者

それでも、列車の中で地元の人たちが交わす方言に耳を傾けたり、ふと降り立った見ず知らずの駅でご当地の文化や郷土料理に触れたりと、高速で駆け抜けるものとは違う旅の魅力を感じられたものです。

青春18きっぷが もう使えない…!?

ところが、そんな魅力的な青春18きっぷがだんだんと使えなくなっているのです。

北陸線、九頭竜線(越美北線)、小浜線のJR3線が走る福井県。そこにことし3月16日、北陸新幹線が開業しました。地元にとっては50年来の悲願…ですが、それにともなって北陸線の敦賀から石川県境までの区間が「並行在来線」としてJRから第三セクターに経営移管される…つまり「JRの在来線」で使える青春18きっぷの対象から外れてしまうのです。

こうした動きは新幹線ネットワーク網が充実していくウラで、全国で進んでいます。格安で旅をできた人たちにとっては、大きな痛手です。

北陸の鉄道会社が、動いた

そんな中、ちょっと画期的な動きがありました。北陸で鉄道を運行する第三セクター各社がタッグを組み、新たに「北陸3県2Dayパス」を売り始めたのです。

  • 使用期限:3月16日~31日、4月下旬~5月初めの大型連休、夏休みなど
  • 使用区間:敦賀駅(福井県)~越中宮崎駅(富山県朝日町)
  • 販売価格:2800円

福井から石川、富山までの約250キロが2日間乗り放題。青春18きっぷの利用終了で離れかねない乗客をつなぎとめ、北陸の鉄道旅行を引き続き楽しんでもらおうというねらいです。

 

地方鉄道に詳しい 富山大学 中川大 特別研究教授

富山大学 中川大 特別研究教授
隣接する新潟県や長野県、それに北陸3県のえちぜん鉄道、福井鉄道、北陸鉄道、のと鉄道、富山地方鉄道なども入れば、JRにしか乗れない「青春18きっぷ」を超えるものになるかもしれない。今後はきっぷだけでなくダイヤの面でも協力して、関西のJR新快速のように敦賀から富山県の東端まで3県を貫く「北陸新快速」のような列車をぜひ走らせてほしい

いま福井は新幹線開業を「100年に一度のチャンス」だと受け止めています。特急が県内の広い区間で廃止されることで大阪・名古屋方面とのアクセスをどうするかは課題ですが、首都圏へのアクセスが大きく改善され、観光客の増加やビジネスチャンスにつながる…官民挙げて新幹線の高速性のメリットが強調されています。

それ自体に異を唱えるつもりはありません。ですが18キッパー(まだ現役のつもりです!)としては、各駅停車で、時間がかかって、だからこそゆっくりと移り変わる車窓から外の風景を眺める旅も、決して捨てたもんじゃないと思うのです。

今回、3つの会社が協力して売り出した「北陸3県2Dayパス」は全国的にも珍しい取り組みなのだそうです。鉄道ファンのみなさま、あるいはそうでないみなさまも。いかがでしょう、このパスを使って北陸を旅してみませんか?
 

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