浅草

東京都
2012年6月22日 放送

江戸一番のワンダーランド「浅草」。浅草寺の観音さまを中心に、浅草神社、雷門、それから、連なる赤提灯、演芸場に成人向けの映画館…。聖と俗、信仰と娯楽が混ざり合って共存し、威勢の良い江戸っ子がかっ歩する。
その浅草の熱気が一年で一番高まるのが「三社祭」。その昔隅田川から観音さま(仏)を引き上げたという三社さま(神)をまつる、神さまと仏さま一緒になった浅草らしいお祭りだ。特に今年は祭りが始まって700年という記念の年。昨年は震災の影響で中止になったこともあって、江戸っ子たちの盛り上がりはかつてない。
ストリップ小屋でお笑い芸をみがいた芸人さんや、人情あふれる飲み屋のおかみさん、70代の野球小僧たち、それぞれが人生を謳歌する浅草。春先から5月の三社祭りまで、祭り囃子に血が騒ぐ江戸っ子の心意気を描く。

<オムニバス項目(抜粋)>
●浅草の原点「舟渡御」復活!
浅草の観音さまは、628年隅田川の漁師の網の中に一体の尊像として現れたことに始まる。三社祭はこれにまつわる三人(漁師の浜成(はまなり)・竹成(たけなり)、土地の有力者土師中知(はじのなかとも))を三社さまとして崇める祭り。もともとは神輿を舟に載せ、隅田川を渡御(とぎょ)する「舟祭り」だった。氏子たちの強い思いから、斉行700年にあたる今年、舟渡御が復活。

●浅草の中心「観音さま」
浅草寺は24の支院が支える聖観音宗の総本山。観音とは「音を観る」仏のこと。「音」とは人々の声なき声のこと。苦しみや願いをすべて受け入れる、それが浅草の観音さま。

●「お笑いの東大」
かつて浅草のストリップ小屋からは、伴淳三郎、渥美清、萩本欽一、ビートたけしなど、きら星のようなお笑いスターが誕生した。今は演芸場として、その伝統を受け継ぐ舞台で、腕を磨く芸人魂がいきづいている。

●仲見世の町御輿
老舗が並ぶ仲見世は、今年の三社祭を特別な想いで迎える。斎行700年を機に、浅草寺の表参道にふさわしい立派な町神輿を作ろうというのだ。この重責を任されたのは、20代から30代の若旦那たち。一体どんな町神輿が出来るのか。

●藤棚の下の小さな飲食街・初音小路。
浅草の人情が詰まった昭和の香りのする小路。店の主人たちは家族のように仲がいい。その結束を強めているのは、毎日の売り上げを少しづつ貯めていく、共同貯金箱のような「日掛け箱」。この箱を通して人が集い、会話が生まれる。おかずを分け合い、健康を気遣い合い、孤独とは程遠い、おせっかいな人情も浅草ならでは。

旅のとっておき

浅草は誘惑の多い街です。路地を歩けば出汁の匂いにソースの香り。天麩羅、どじょう、洋食など下町グルメの正統派から、コロッケ、メンチなどの買い食い系まで、名店をあげたらキリがありません。また、大道芸人のマジックについつい見入ってしまい、「あ、取材の時間だ」と慌ててしまうこともしばしば。続きを読む

ポスター
浅草
写真:鈴木俊介 協力:金龍山 浅草寺/仲見世 助六
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