NHK杯全国高校放送コンテスト

第70回 コンテストリポート

アナウンス部門・優勝

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長崎県立諫早高等学校(長崎県)
古賀美希さん(2年)

去年、全国大会「アナウンス部門」の決勝に進んでいたので、「今年は絶対に優勝する!」と周囲に宣言していました。それが有言実行できて本当にうれしいです。それに、中学1年生の時から今まで約5年間、放送部でずっと練習してきたので、いつも見守ってくださった顧問の先生に感謝の気持ちでいっぱいです。
今年は、3階席まで満員となった会場での発表となりました。オンラインも含めて5000人ぐらいの方が見ている中での発表は、純粋に楽しかったです。思いを込めて作った原稿だったので、たくさんの方に届けることができて、緊張よりも感動が大きかったです。
私が一番苦労したのは原稿作りです。発表内容は、諫早高校の生徒が参加している環境活動グループについてでした。その団体の代表者にインタビューをしたのですが、今年度から私が代表を務めることになったので、原稿を書くときに自分の思いを詰め込みすぎてしまいました。アナウンス部門の発表は、第三者目線で伝えることが重要なので、原稿を書くのはすごく大変でした。
また、人に伝わるアナウンスを意識して練習をしました。アナウンスというのは原稿をただ読むだけでなく、聞き手に伝えなければ意味がないので、原稿を極力目で追わないようにして、伝えるという気持ちを大事にしました。
今後の目標は、次の大きな大会である「九州高校放送コンテスト」で優勝することです。
今回優勝したことで、1位だからこそ味わえる気持ちというものを知りました。賞をいただくということは、皆さんに届くアナウンスができたということでもありますし、数ヶ月かけて作成した原稿が評価されたということだと思います。出場するからには優勝を目指して頑張ります!

朗読部門・優勝

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岐阜県立岐阜北高等学校(岐阜県)
朗読作品「金の角持つ子どもたち」藤岡陽子著
古田桃香さん(2年)

全国大会の3日間は信じられないことの連続でした。昨年はオンラインで見ていた決勝大会に出場すると知ったときは本当にびっくりしました。緊張はしましたが、こんなに素晴らしい方たちと一緒に評価していただけたということなのだから自信を持って臨もう、この原稿を読むのも最後だから思い切り楽しんでこようと頑張りました。
練習を重ねてきた中で思い出深いのは、朗読の表現について顧問の先生に相談させていただいたことです。塾講師と少年が会話をするシーンがあったのですが、大人である講師の先生がどんな気持ちを込めて話しているのか、先生の目線などについて聞いてみたのです。そこから見えてきたことがたくさんあったので、あの相談がなければこの場所まで来られなかったのではないかと思っています。
私は表現することが大好きですし、作品の中にはすてきなシーンがたくさんあって、それを自分で読めるということに喜びを感じています。最初のころは間のとり方や声の高低などを考えることが多かったのですが、全国大会の練習を積む中で、大事なのは読み方ではなく感情をつかむこと。登場人物に寄り添い精一杯その人として生きること。そんなふうに考えるようになりました。
大会での原稿はすべて暗記しています。私は弱視なので中学校までは盲学校で過ごしていました。今、晴眼者の中で学校生活を送ることはハンディがあったり、劣等感を感じることもあるのですが、放送は暗記をする以外はみんなと同じようにできる。そして一律に審査して評価していただき、輝くことができる。それがうれしくて熱中しています。障害を忘れられる瞬間でもあり、部活は本当に楽しいです。

ラジオドキュメント部門・優勝

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北海道札幌丘珠高等学校(北海道)
作品「枠をはずして」
代表 藤原理華さん(2年)、下嶽大登さん(2年)

藤原理華さん:まさか優勝するとは思っていなかったので、結果発表で「札幌〜」と聞こえた瞬間に声が出るほどびっくりしました!
作品を制作している時は、一つ一つの取材を大事にしました。「取材ができるチャンスは、この一度きり」という思いでのぞみましたし、テーマもシビアな内容でしたので、言葉遣いに気をつけて取材をしました。
取材音源にノイズが入ってしまったことがありました。パソコンからヘッドホンを使って聞いた時はノイズがわかりづらかったのですが、大会会場のスピーカーで聞いたら違和感があり、全国大会に向けて急きょ編集をし直しました。次回からは、大きな会場で流れることを意識して制作していきたいです。
秋にまた大会があるので、この勢いのまま制作を頑張ります!

下嶽大登さん:何ヶ月もしっかり準備してきた作品だったので、優勝できて感無量です。
人にスポットを当てたドキュメントだったので、なるべく取材する方の人生を深く掘るようにしました。制作の中で大変だったことは、インタビューは撮り終えた後に、もう少し違うものがほしいということになり、スケジュール的に厳しい状況で追加インタビューを行ったことです。この経験から、扱う題材について深く知り、どういう意図で作るかをしっかり考えることは、とても重要だと感じました。
秋の大会でもラジオ作品を発表するので、今回のような聞いている人に伝わる番組を制作できるよう頑張りたいです。

テレビドキュメント部門・優勝

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宮崎県立延岡星雲高等学校(宮崎県)
作品「私の家族」
代表 倉本小雪さん(3年)

決勝に上がれた時点ですごくうれしかったのに、自分が作ったものが優勝するなんて予想もしていなかったので、結果を聞いた時は信じられなかったです。でも大会から数日経ち、友達や先生から「おめでとう」と言われて、少しずつ実感が湧いてきました。
今回、取材から編集まで制作の全てを初めて一人で行いました。これまでは、必ず誰かと一緒に作ってきたので、制作途中で「このまま進めて大丈夫か」と悩むことが多かったです。そんな時は、他の部員たちや先生にアドバイスをもらいました。作品がどんどんよくなっていったのは、みんなのおかげだと思っています。
この作品は、顧問の先生から薦めていただいたナレーションのないドキュメンタリー『ノーナレ』(NHK総合・BS4K)をヒントに制作しています。この番組を見た時、ナレーションがないと、こんなにも音や映像の力を活かせるのかと衝撃を受けました。普段はナレーションで補う部分を映像で伝えなければならないので、取材をたくさんして、常にカメラを回して映像を撮り溜めるようにしました。
高校から放送部に入り、映像作品を作るのはゼロからのスタートでしたが、この2年半で制作活動の楽しさを学びました。私は話すことも好きなので、将来は声を使って表現をしたり、自分の好きなものを発信していけたらいいなと思っています。

創作ラジオドラマ部門・優勝

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北海道札幌西高等学校(北海道)
作品「残り1センチの希望」
代表 田部恵太郎さん(3年)、木村はなさん(2年)

田部恵太郎さん:「残り1センチの希望」の他にも出来上がっていた脚本がありました。そこから1本に絞り、収録と編集を何度も繰り返して作っていきました。後輩たちに伝えたいことは、クオリティーを上げるためにSE(効果音)やBGM、息遣いや空気感まで全部にこだわってこそ、臨場感あふれるドラマになるということ。やりすぎも良くないと思うので、そこは自分たちで楽しみながら判断していくと良いと思います。
僕は今回の大会が最後でしたが、この作品の制作を通して作品作りに興味が一層湧いたので、いろんな音響作りや編集をしていきたいです。

木村はなさん:自分がこれまで書いた脚本の中でも、今回の尺で書いたのは初めてでした。そんな中で書き上げた脚本を、編集の方が信じられないクオリティーに仕上げてくれました。このような結果を残すことが出来て、驚きとうれしい気持ちでいっぱいです!
地区大会から道大会に出場する時に、オチの表現の仕方を大きく変更することになりました。物語全体を見た時にどうすればいい終わり方ができるか、笑いが取れているかをすごく考えて制作し直しました。最後まで、こだわって作ることができて本当によかったです。
これからも自分が楽しんで作れるようなものを書いていきたいと思っているので、来年も頑張ります!

創作テレビドラマ部門・優勝

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独立行政法人国立高等専門学校機構 米子工業高等専門学校(鳥取県)
作品「果歩は覚えられない」
代表 福留莉玖さん(2年)、上阪彩子さん(1年)、森灘結さん(2年)

福留莉玖さん:優勝校発表の瞬間は「米子工業高等専門学校」と校名が読み上げられると思っていたのですが、予想に反して「国立」が付いた形で呼ばれたので、一瞬反応が遅れました。でもすぐに「優勝したんだ!うわぁ、やったー」と喜びが湧いてきました。
僕は撮影と脚本を担当したのですが、脚本ではテーマをハッキリさせつつ、いい感じにラストにつながるようにとギリギリまで時間を使って考えました。また撮影では、編集のことも考えて何度も撮影を重ねました。脚本会議に毎回出席して、意見をくださった皆さんには感謝です。来年は力を入れていたラジオドラマ部門でも決勝を目指します!

上阪彩子さん:優勝したことがまだ信じられないような気持ちです。私は演技を担当したのですが、米子高専はノリと勢いで制作を進めてきたので(笑)、アドリブを入れたりして臨機応変にお芝居をしました。作中、他人の髪のことを「ソースやきそば」呼ばわりするシーンがあったのですが、私はまだ1年生なのに対し相手役は2年生の先輩だったので演技とはいえ申し訳なく、なかなか勇気が要りました。
今年は優勝というすばらしい結果を出すことができたので、来年の新入生には敷居が高いと思わず入部して欲しいです。

森灘結さん:純粋にうれしい気持ちでいっぱいです。私は福留さんと同じで脚本と撮影を担当していました。編集を先輩に任せっぱなしだったので、感謝を伝えたいですね。
4月頃からは大会に向けて活動が活発になり大変ですが、ふだんはゆるゆるとおしゃべりをして過ごしているような部活でみんな仲よくやっています。私は主にテレビドキュメント部門に取り組んでいたのですが、唯一準決勝に行けなかったので、来年こそは準決勝を目指したいと思います。