NHK杯全国高校放送コンテスト

第69回 大会リポート

アナウンス部門・優勝

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福岡県立福岡高等学校(福岡県)
中原陽花さん(3年)

ずっと目標にしていたNHKホールのステージでアナウンスができたことが本当にうれしかったです。このチャンスを与えてもらったので、取材に応えてくれた田代さんの想いを全国の人に届けたいという一心でアナウンスをしました。優勝者の名前が呼ばれたときは信じられませんでしたが、NHK杯のトロフィーを受け取って、「本当に優勝したんだ」という実感が湧きました。3年間ご指導下さった顧問の先生や、地元のテレビ局のアナウンサーの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。
田代さんの取材の中で原稿にして伝えたいと思う内容がたくさんあり、1分30秒で何を伝えるかを絞るのが大変でした。同世代の高校生が自ら情報を発信し、将来を変えようとする、彼女の取り組みを全国の高校生にわかりやすく伝えられるように工夫しました。 本校の放送室の日頃の活動は、学校行事や番組制作が中心なので、日々の読みの練習は各自で行います。そんな中私が大切にしてきたのは、経験です。学校行事のアナウンスや司会をしたり、地元のテレビ局が開催して下さったアナウンスコンクールに参加したりしました。コロナの影響で録音審査に慣れてしまわないように、人前でアナウンスや司会をするという一つひとつの場を大切にしました。
録音審査が多い中、NHKホールに3年ぶりに生徒を集めてNコンが開催され、実際にマイクに声を乗せて、生でアナウンスができることの喜びを改めて感じ、とても貴重な経験となりました。日頃は、裏方としての活動が多い私たち放送部員が、主役としてステージに立てるのがNHK杯です。私たちにとっての夢の舞台が3年ぶりに開催されたことをとてもうれしく思いました。このような状況の中で、たくさんの準備を重ね、NHK杯開催のためにご尽力いただいた関係者の方々に感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。
今後は、アナウンサーになるという夢に向かって、様々なことに挑戦したいです。わかりやすく情報を伝えることができるアナウンスを目指して、今後も練習を続けていきたいです。

朗読部門・優勝

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石川県立金沢泉丘高等学校(石川県)
奥田開斗さん(3年)

優勝発表で名前が呼ばれた瞬間は「えっ?」という驚きが先でした。もちろんその後にうれしさがこみ上げてきたのですが。決勝のステージでは他校の朗読を聞きながら、やはり全国大会まで来る人たちはみんな上手だな、すごいライバルばかりだなという思いでいたので、自分が優勝するという手ごたえはありませんでした。
ただ、この日までにやってきたことは全部出し切れたなということ。それから直前に前顧問の山本先生に気になることなどを相談したうえで、それを踏まえて読むことが出来たのは良かったなと思っています。
僕が朗読で大事にしているのは、作品に込められた心情や登場人物のセリフに秘められた本当の意味などをいかに伝えるかということです。考えて工夫して表現する。そこが大事にしてきたところであり、その分すごく苦労しましたが結果が出せてうれしいです。
何より今年の大会は実際に全国からみんなが集まれたので、本当に楽しんで参加することができました。

ラジオドキュメント部門・優勝

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佐賀清和高等学校(佐賀県) 作品「心をはこぶ」
代表 北島羽矢さん(2年)

NHKホールのステージから見える客席の景色は圧巻で、本当に感動しました。また、会場にいるみなさんが私の番組を聞いてくださっていると考えると胸がいっぱいになりました。
作品を聞いている方にバスに乗っているような臨場感を味わってもらうことを1番大切にしていたので、実際にバスに乗り込み、車内アナウンスを録音。どのアナウンスを入れたらいいのか最後まですごく悩みました。
録音は4、5人体制で行ったり、編集も1人ではいっぱいいっぱいになってしまうので、みんなで意見交換をしたり。顧問の先生に何度も作品を提出して、悩みを聞いてもらいました。たくさんの方の助けがあって、この番組ができたと改めて思っています。
今回の題材は、もともと先輩が取り上げようとしていました。コロナの影響でなかなか取材に行けず制作が進められなかったようなのですが、温かい心を伝えられるテーマだと思い、先輩の意思を引き継いで番組を作ろうと決意しました。なので、先輩の思いをできるだけいっぱい込めようと、頑張って制作しました。これからも、人の温かさを伝えられるような番組を作りたいと思います。

テレビドキュメント部門・優勝

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北海道帯広三条高等学校(北海道) 作品「Say」
代表 鈴木沙有理さん(3年)

作品に出演、協力してくださった方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。『Say』という作品には協力してくださったみなさんの思いが詰まっているので、全国大会で発表することができて本当にうれしいです。
取材のきっかけは、地元の新聞で、ALSという治療法のない難病を患っている佐藤仁美さんが、日本でも珍しい人工音声化に取り組んでいるという記事を見つけたこと。そこに、難病の方を支援している団体の水口迅代表の連絡先が載っていたので、連絡をしました。どんな映像を撮りたいかなどの計画を入念に行って、さまざまな場面に立ち会わせていただいて作品を作ることができました。
コロナ禍での取材だったので、仁美さんの体調を見て、取材日を臨機応変に変更するなど、負担をかけないように心がけました。取材中、仁美さんや息子の謙太郎さんの想いに触れて、胸がいっぱいになる瞬間があって、取材のたびに泣いていました。優勝報告は泣かないように笑顔で、感謝の気持ちとともに伝えたいです。
Nコンの素晴らしさは、他校の方と過去の作品を交換したり、お互いに激励し合ったり、交流が持てること。来年は70回大会という節目の年。ぜひ後輩にも、全国に出場されるみなさんにも、本当に楽しんでほしいなと思いました。
放送局に入ったことで、普段の生活では出会えなかったような方々に出会うことができました。たくさんの縁に感謝しながら、将来はメディアの伝い手として、社会に少しでも貢献できるような自分になれるように成長していきたいと思っています。

創作ラジオドラマ部門・優勝

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兵庫県立東播磨高等学校(兵庫県) 作品「兵庫県立オンライン高等学校」
代表 冨士原陽詩さん(2年)、山本祐実さん(3年)、福田圭芳さん(3年)

冨士原陽詩さん:開会式で司会の方が、「コロナ禍で苦労もあったけれど、今日は精一杯楽しみましょう」と、お話をされていました。僕たちもこの2年間、思うように制作ができないこともありましたが、それを乗り越えての優勝という結果になって、とてもうれしいです。次の作品は、脚本をもっと練り直して、精度をあげて、余裕で優勝できるぐらいのいい作品をNコンに持ってきたいです。

山本祐実さん:高校最後の年にNHKホールに初めて来ることができました。作品が流れたとき、私たちの声がホールいっぱいに響いて、これまで何度も聞いてきた作品が、全然違って聞こえて、本当に感動しました。
コロナ禍で、なんでもオンライン化していくことが当たり前になってきて、それが時代の最先端のような雰囲気があると思います。やっぱりリアルに会っていろんなことを経験する大切さ、貴重さを改めて実感したいという思いを1番に伝えたかったので、この作品を制作しました。昨年はオンラインでの参加でしたので、作品に込めた思いと同様に、対面での大会の良さを改めて気付かされました。
決勝に進出した作品を見ると、どの部門も何を伝えたいのかがしっかり届く作品ばかりでした。大会に出場するならやっぱりいい結果をとりたいので、賞を狙う事ばかりを考えてしまうこともあると思います。でも、後輩たちには、そこに縛られずに、本当に自分たちが伝えたいものを最後まで守りきって、貫き通してほしいですね。

福田圭芳さん:緊急事態宣言などで部活動が停止になることもあり、切羽詰まった状態で収録をして、録り直しを繰り返す状況が続きました。「これで大丈夫なのか」と不安も感じながら制作をしていましたが、県大会などで発表を重ねるごとに、ちゃんと形になっているという思いがどんどん湧いてきて。いい作品を発表できて、本当にうれしいです。 大会前日に部員のみんなで決意発表をしました。後輩のみんなも作品に込める思いをしっかりと持っていたので、それをずっと持ち続けて、3年生の最後までやり遂げてほしいなと思います。

創作テレビドラマ部門・優勝

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埼玉県立松山高等学校(埼玉県) 作品「聞いて。」
代表 上村将大さん(3年)、若野智也さん(3年)

今年は実際に全国大会が開かれて、そこに参加できたことが本当によかったと思っています。他校の作品の完成度や会場の雰囲気はこの場でしか味わえないことを実感、そんな中でこれまでの努力が優勝という形で報われたことがすごくうれしいです。
1年生の時は大会が中止でしたし、その後もコロナ禍ということで撮影を断念せざるを得ない場面も多くありました。それでも仲間とよりよい方法を探る話し合いを続け、工夫して撮影することができたのは、ある意味コロナ禍のたまものでもあったような気がします。
今回、作品を作るにあたっては先輩方のカメラワークを参考にした部分もあり、先輩たちがいなければ完成しなかったとも思っています。感謝を伝えたいと思うし、大会に出場できずに卒業した先輩たちの思いをはらすことにもなったのではないかと感じています。
また後輩たちには前年度優勝というのが重い枷になってしまうかもしれないけれど、むしろこれを励みにしてほしいです。優勝がすべてではなく、僕らのやってきたことを目指してもらい、それが結果に結びつくなら良い影響を与えられることになるのかなと思っています。今から楽しみながら仲良く作品作りを頑張ってほしいです。