社会や政治に関する世論調査

政権交代1年の評価

~「政治と社会に関する意識・2010」調査から~

2010年7月の参議院選挙で民主党は敗北し、1年前の衆院選とは一転した政治状況となった。参院選2か月後に世論調査を行ない、有権者の参院選での投票行動、政権交代についての評価、政党支持、政治観など、政治や社会に対する意識、関心を調査した。

参院選での投票行動を、1年前の衆院選と比べてみると、ふだんは民主党支持だが、比例代表で別の政党に投票したという人が増えていた。支持なし層でも民主党に投票したという人の割合が減っている。民主党のマニフェストの実現の可能性については厳しい見方が多い。一般的にマニフェストをどう考えるかを聞くと、「国民の支持がなければ、実現にこだわる必要はない」と柔軟に考える人が多数だが、1年前と比べると「マニフェストは守るべき」と考える人が増えている。

政権が交代したこと自体については評価する人が多いが、政治が良くなったかどうかを尋ねると、半数以上が「変わらない」と答えている。1年前には『良くなった(どちらかといえばも含む)』という人が33%いたが、今回は22%にとどまった。政権交代1年の評価は厳しい。

こうした中で、政治への不満が高まっている。「不満だ」が増加し、「どちらかと言えば不満だ」という人をあわせた割合は、1年前の83%から91%に達した。政治に対する関心も低下している。多くの人が政治が変わってほしいと考えている。

自己の政治的立場について、「保守」か「革新」か、という言葉で聞いたところ、『保守的(どちらかといえばも含む)』が60%、『革新的(どちらかといえばも含む)』が38%であった。ふだんの支持政党ごとに見ていくと、みんなの党、民主党、公明党、自民党の順に『革新的』な人の割合が減っていく。支持なし層の保革の割合は、民主党と公明党の間に位置する。

さらにこの調査での回答傾向から、政党の支持を分ける要因を分析した。自民党を支持するか、民主党を支持するかは、当然のことながら、政権交代自体の評価、自己の政治的立場との回答と大きく関わっている。あわせて、社会との関わりについての回答との関連が見られた。また、支持政党なしか、支持政党ありかは、年層とともに、政党への信頼感と大きく関わっていることが注目される。

世論調査部(社会調査)河野 啓 関谷道雄