社会や政治に関する世論調査

余暇意識から見るワーク・ライフ・バランス

~「余暇とスポーツ2007」調査から~

NHK放送文化研究所は、世界43の国と地域が参加している‘ISSP’(International Social Survey Programme )という国際比較調査グループのメンバーになっていて、毎年、共同で作成した質問をそれぞれの母国語に翻訳して調査を行っています。 2007年度のテーマは「余暇とスポーツ」で、余暇活動の実態や余暇に対する意識、仕事と余暇のバランスなどについて尋ねました。今回は、去年11月に行なった日本の調査結果について報告します。

13の余暇活動について、活動頻度を尋ねたところ、最も多かったのは、「テレビ・DVD・ビデオを見る」で、全ての性年層で90%以上の人が週に数回以上楽しんでいました。「映画を見に行く」と「インターネット」は、16~29歳の若い年代では活動している割合が8割前後と高いものの、50代では半数程度、さらに70歳以上になると2割以下にとどまり、年代によって差が見られました。

余暇に対する意識を尋ねたところ、国民の2人に1人は、余暇の過ごしかたに満足しており、ふだんの生活の中で、好きなことができる時間のゆとりがあると考えていることがわかりました。余暇か仕事か、という質問については、仕事よりも余暇を楽しみたいという“余暇志向”が32%、仕事と余暇の両方に力を入れる“両立派”が28%、そして、余暇よりも仕事に力を注ぐ“仕事志向”が24%という結果になりました。

また、労働時間の長さが、余暇に対する意識に影響を与えているのかという点について分析を行った結果、仕事を持っている人の2割は、1週間の労働時間が 60時間を越える“長時間労働”に従事しており、こうした人たちは余暇の満足度や幸福度が総じて低く、仕事と余暇のバランスが取れているとはいえない状況が浮かび上がりました。

世論調査部(社会調査)  西 久美子