社会や政治に関する世論調査

被災者の意識とメディアの役割

~「新潟・福島豪雨」に関する被災者調査から~

活発な梅雨前線の影響で、7月13日、新潟県中部が豪雨に見舞われ、15人が死亡、8200棟を超える住宅が水につかるという大きな災害となりました。こうした状況での被災者の意識や行動、それにメディアが果たした役割などを検証するために、特に被害の大きかった新潟県三条市、見附市、中之島町の合わせて1000人を対象に意識調査を実施しました。

今回の水害は、河川の破堤によって被害が広がりましたが、自治体の中には、「避難勧告・指示」が他の市町に比べて遅かったり、その伝達に不手際があったところがありました。そこで、自治体別に「避難勧告・指示」の認知状況や実際に避難した時間を聞いたところ、「勧告・指示」が早くて伝達も比較的うまくいった自治体に比べて、「勧告・指示」が遅かったり、その伝達に不手際があった自治体では、認知度が低いことがわかりました。また、避難した時間も遅めでした。自治体の対応の違いが、住民の情報認知度や避難行動に影響していることがわかります。

今回の水害において、メディアがどう利用されたのかを知るために、「大雨洪水・警報」や「避難勧告・指示」の入手媒体を複数回答で聞きました。その結果、「大雨洪水・警報」などの気象情報については「NHK テレビ」67%「民放テレビ」33%と「テレビ」で知ったという人が多く、「避難勧告・指示」については「自治会役員の連絡」や「消防署員、市町の職員の連絡」などで知ったという人が多くなっていることがわかりました。また、13日の朝から夕方までの間に最も役に立った情報伝達媒体は何かと聞いたところ、「NHKテレビ」が30%と一番多くなっていて、文字スーパーや逆L字放送での情報提供もおおむね評価されています。しかし、自由記述による回答の中には、「文字スーパーの文字が小さく、消えるのが早い」、「逆L字の流れが早すぎる」といった指摘もありました。

世論調査 小林利行、報道局 気象・災害センター 松本浩司