放送に関する世論調査

メディア観の変化と“カスタマイズ視聴”“つながり視聴”

~「テレビ60年調査」から(2)~

「テレビ60年調査」(2012年11月実施)の2回目の報告では、メディア環境が大きく変わる中、人々のメディア観の変化を時系列で分析し、そうした変化と6月号で考察した“カスタマイズ視聴”“つながり視聴”との関係を探った。

メディア間の効用比較では、多くの機能でインターネットの存在感が増していたが、<報道>や<共通の話題>などの機能では、テレビの高い評価が維持されていた。特に  <共有の話題>がテレビならではの機能として評価されていることが、テレビを媒介としてコミュニケーションを楽しむ“つながり視聴”につながっていると考えられる。

一方、リアルタイムを中心としたテレビ視聴は、全体では長時間視聴が続いているものの「漠然視聴」が増加、テレビ視聴の「希薄化」が進んでいる。また、テレビへの興味な ども低下しており、その背景には、高年層を中心としたテレビ番組自体への不満と、若年層を中心としたネットとの比較の中での相対的なテレビへの不満がみてとれた。

日常生活に浸透したインターネットによって、情報を自分で効率的に取得できることが当たり前となり、そうした意識がテレビ視聴にも反映され“カスタマイズ視聴”につながっているのではないか。国民の約半数となった“カスタマイズ視聴”者は、ネットもテレビも積極的に利用し、それぞれを効率的に生活の中に組み込み享受している人たちであり、若年層ほどこうした視聴が広がっていることから、さらに他の世代への広がりが考えられる。

世論調査部 木村義子