放送に関する世論調査

広がる“カスタマイズ視聴”と“つながり視聴”

~「テレビ60年調査」から(1)~

2012年11月に行った「テレビ60年調査」の結果から、現在の視聴者像を報告する。

インターネットのサービスの広がりやデジタル録画機の普及から、テレビを自分本位に見る“カスタマイズ視聴”が浸透しつつある。日常的に(週に1日以上)テレビ番組をタイムシフト視聴する人は全体の40%で、自分の都合に合わせて見る“時間効率”を重視していた。また、日常的にインターネットでテレビ番組動画を見る人は全体の12%で、“検索”機能で自分の見たい番組を容易に探せる利便性を重視していた。タイムシフト視聴とテレビ番組動画視聴のいずれかを日常的に行う“カスタマイズ視聴者”は、国民全体の45%に達している。

SNSでテレビに関する情報や感想を読み書きする行動(テレビSNS)は、16~29歳では4割が日常的に行っており、テレビ番組を話題にコミュニケーションすること自体に楽しみを見出している人が多かった。また、テレビを家族と見ることが多い家族視聴派は、長期的に続いていた減少傾向が止まり、女性30・40代を中心に家族優先の視聴を行っていた。テレビSNSも家族視聴も、友人や家族とのコミュニケーションを楽しむツールとしてテレビを見ている“つながり視聴”といった共通の特徴が見出せる。

現在の視聴者は、“カスタマイズ視聴”と“つながり視聴”を上手に使い分け、自分の生活にあわせて見る“自分流視聴”をしているといえる。

世論調査部 平田明裕、執行文子