放送に関する世論調査

変わらず高いテレビの役割

~2009年6月「小中学生のテレビ・メディア利用実態調査」から~

子どもたちが携帯電話やインターネットといったデジタル・メディアを日常的に利用する中で、現在の小学生(4~6年生)・中学生のテレビ視聴やメディア利用の実態について、世論調査を実施しました。

携帯電話は、小学生の19%、中学生の40%が所有しています。携帯電話の利用は中学生女子で多く、「ほとんど毎日」利用する人は40%にのぼります。一方、パソコンは、利用頻度で最も多いのは「週に1~3日」(22%)、「月に数回」(23%)で、携帯電話とは使われ方が異なるようです。

携帯電話やパソコンを使い始めている小中学生ですが、なくてはならないメディアを3つまで選んでもらうと、1番目に選んだメディアは「テレビ」(39%)が最も多く、続いて「携帯電話(ケータイ)」(16%)、「ゲーム機」(15%)の順となりました。学年別にみると、「携帯電話」を選ぶ人は中学2年生以降急増しますが、「テレビ」はどの学年でもほぼ30~40%台となっており、成長にともなって重要度が増すメディアがある中、テレビの重要度は低下しないといえます。

それでは小中学生はどのようなテレビライフを送っているのでしょうか。視聴時間は「1時間以下、テレビは見ない」、「2時間くらい」という人がそれぞれ 3割程度で、2001年の同様の調査結果と比べ、全体的に短くなっています。しかし、テレビを見る理由は「笑ったり楽しんだりしたいから」(90%)が圧倒的に多く、気軽に気分転換できるメディアとして評価されています。好きなジャンルも「お笑いやコントなどのバラエティー」(77%)、「アニメ・マンガ」(74%)、「ドラマ」(70%)といった娯楽番組が多く、小学生から中学生への成長とともに、「アニメ・マンガ」から「ドラマ」や「バラエティー」に移る傾向があります。

このようにテレビを楽しんでいる小中学生ですが、テレビは「絶対になくてはならない」という人が2001年調査の33%から18%と減少しています。テレビの位置づけが下がってみえる要因として、テレビの見方の質的な変化や他メディアとのかかわりの中でテレビに対するこだわりが減ってきていることなどが、仮説として考えられます。こうした意味では、現代の小中学生にとっての「テレビ」の位置づけは、過去のそれとは必ずしも同質ではないのかもしれません。

(編成局編成センター)  白石信子・中野佐知子