最近気になる放送用語

「おそろいになりましたでしょうか」?

「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」という言い方は、おかしいのでしょうか。

「おそろいになりましたでしょうか」という文自体は、別に間違っていません。ですが、これを「ご注文の品は…」という文脈で使うと、違和感を覚える人が少なくありません。

解説

「おそろいになる」は、動詞「そろう」を「お~になる」で挟んだ形で、全体として動作の主体を高める尊敬表現になっています。「みなさん、おそろいになりましたか」という言い方は、動作の主体である「みなさん」を高めているので、何も問題はありません。

一方、「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」はどうでしょうか。店の側から提供する「ご注文の品」というものを高めた言い方になってしまっていますね。

また、「~になる」のない形で「ご注文の品はおそろいでしょうか」という言い方もありますが、これについても「いい」という人と「だめだ」という人がいます。「そろうこと」を「おそろい」と表現するのは美化語だと言えますが、「品」が「そろっている」のは店が意識的に「そろえた」からなのであって、こうしたことに美化語を使うのはよくないと考える立場もあるからです。

たとえば「ご注文の品はそろっておりますでしょうか」という言い方であれば、まず問題ありません。これは、「~ておる」という謙譲表現を用いて、店側の「そろえる」という動作を低めた言い方です。謙譲語ではおおげさすぎるというのであれば、「ご注文の品はそろいましたでしょうか」でもかまわないかもしれません。

「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」について調査をおこなったところ、若い人になるほど、この言い方を「聞いたことがある」という人が多く、また「問題ない」と考える人も多くなっていることがわかりました。また地域差も見られ、関西および中国・四国では、この言い方を「問題がある」と考える人が多くあらわれました。

そもそもこのようなことばづかいは、ファミリーレストランなどの従業員が「注文された品をきちんと確認しなさい」と指導されるようになってから耳にしはじめたもので、むかしはいちいち確認の声掛けをしたりはしなかったものと思います。私も「原稿はそろいましたか」と確認されなかったのをいいことに、今月も締め切りを過ぎてしまいました。編集部のみなさん、いつもすみません。

「ご注文の品はおそろいになりましたでしょうか」は…:(NHK放送文化研究所調査、2007年3月実施、1307人回答)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)