放送現場の疑問・視聴者の疑問

「逆手」の読み方を変更

「相手の出方を逆手に取る」という表現を放送で使う場合、「サカテ」という読み方と、「ギャクテ」という読み方の、両方を耳にします。放送ではどのように使い分けているのでしょうか。

「相手の出方を逆手に取る」という比喩的な表現の場合は、「①サカテ ②ギャクテ」と、「サカテ」を優先的な読みにしています。
NHKの放送では、平成26(2014)年4月から、この語の読み方の順番が変更されました。

解説

「逆手」には、「ギャクテ」「サカテ」2つの読み方があります。放送では、この2つの読み方を、使う場面によって使い分けています。

柔道などで使われる「逆手」は、「ギャクテ」と読みます。腕の関節を逆にとるようなことを指します。

また、体操などで使われる「逆手車輪」は、「サカテ」と読みます。鉄棒を逆に持つことで、そのほかに、「短刀を逆手に持つ」という場合も「サカテ」と読みます。

「相手の出方を逆手に取る」という表現は、柔道の「逆手」からできた比喩表現のため、「ギャクテ」と読むのが伝統的とされています。NHKでも、これまでは、「ギャクテ」を優先させたうえで、「サカテ」のという読み方も許容として認めていました。

NHKでおこなった世論調査(平成23年1月)で、「相手の出方を逆手に取る」の「逆手」をどう読むかについて聞いたところ、「サカテ」と読むという人が81%にのぼりました。国語辞典でも、比喩的な用例の「逆手」の読み方として「サカテ」をのせるものが増えてきています。

こうしたことから、NHK放送用語委員会で議論・検討し、NHKの放送での規定を「①サカテ ②ギャクテ」と変更しました。

当研究所発行の『放送研究と調査』平成25年10月号「放送用語委員会報告」でもくわしい説明があります。

(メディア研究部・放送用語 山下洋子)