放送現場の疑問・視聴者の疑問

「依存」の読みを[イゾン]に変更

NHKの放送では「依存」「依存症」を「イソン」「イソンショウ」と読むようにしている、と聞きましたが、最近、放送で「イゾン」「イゾンショウ」と読んでいるのを聞くことが多くなったように思います。現在のルールはどうなっていますか。

現在は、「①イゾン ②イソン」で、「イゾン」を優先させています。「依存症」についても同様で「イゾンショウ」を優先させるようになりました。
平成26(2014)年2月の第1379回放送用語委員会で話し合った結果、放送で優先させる読みを変更しました。

解説

「依存」という語の読みは「イソン」が伝統的な読み方であると言われていています。国語辞典でも「イソン」を主な読みにしているものがほとんどです。

しかし、国語辞典の掲載をよく見ると、「イソン」の項目に「イゾンとも読む」ことを情報に入れるものが多くなっています。
また、平成22(2010)年にNHKが行った調査で「薬物に依存する」の読みを聞いたところ、「イゾン」が92%、「イソン」が6%という結果になりました。

20歳代から60歳以上まで、年代差も見られませんでした。こうした実態を踏まえ、NHKの放送では「イゾン」の読みを優先させることにしました。

「依存」のほかにも「ゾン」の読みを優先させた語がいくつかあります。また、「既存」は両方の読みを同等に認めることにしました。

 

読みを変更した語

①~ゾン②~ソン(①が放送で優先させる読み)  ・・・依存、共存、現存、残存、併存

◯~ソン◯~ゾン(どちらの読みも同等に認める)・・・既存

 

「依存」を始めとして「共存」「現存」「残存」「併存」「既存」などの読みを変更した経緯は、当研究所発行の月刊誌『放送研究と調査』2014年3月号の放送用語委員会報告に掲載されています。

(メディア研究部・放送用語 山下洋子)