放送現場の疑問・視聴者の疑問

「数日」や「数人」の「数~」はどの程度を意味する?

「復旧までに数日かかる見通しです」などの「数日」や「数人」と言う場合の「数~」は、どの程度の日数や人数を意味するのでしょうか。

「数~」の「数」については、一般に2~10まで幅があります。「数日」「数人」と言う場合、人によって日数や人数についての受け止め方に差があるので、放送ではできるだけ具体的に言うように努めています。

解説

この場合の「数(すう)」は、「物が幾つあるかを表す観念」(『広辞苑』岩波書店)のことです。「観念」とは「個人が頭にえがくかたち」(『角川必携国語辞典』)ですので、人によってそれぞれ受け止め方が違ってきます。「数日」「数人」と言う場合の「数~」について、主な国語辞書も「3,4」「5,6」を中心に2~10までさまざまな意味でとらえており、NHKの平成14年度「ことばのゆれ」全国調査でも、個個人(ひとりひとり)や年齢・世代によって日数や人数の受け止め方に差があるという結果が出ました。

このため、ニュースや一般番組では、このような場合の「数」がどれくらいの数値を指すのか具体的に示すなどの工夫が必要です。このようなケースで放送の現場から用語・表現班へ問い合わせがあった時には、(「人によって数の受け止め方に差があるので」)なるべく「数~」という言い方は避けて「できるだけ具体的に言うようにしたほうがよい」と答えています。

「数日」「数人」など「数~」についての詳しい調査結果は、『放送研究と調査』2003年6月号の「短くなる『数日』~平成14年度『ことばのゆれ』全国調査から(2)~」に掲載されています。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)