放送現場の疑問・視聴者の疑問

「越える・越す」?「超える・超す」?

NHKスペシャル『世紀を越えて』をいつもみていますが、「こえる・こす」の表記について「越」か「超」か迷うことがよくあります。どのように使い分けているのでしょうか。

「越」は「場所・時間などを過ぎて向こうへ行く」、「超」は「ある一定の数量・限度などを上回る」意味を持つことばとして使い分けています。

解説

「越」と「超」は、かなりの部分が意味の重なり合ったことばで、放送現場でも表記を迷うことが多いようです。

それぞれの意味と用例を示しますと・・・

「越える・越す」

(意味)

  • 場所・時間・点などを過ぎて向こうへ行く。移る。

(用例)

  • 国境を越える(越境) 頭上を越す 峠を越える(越す)
  • 年を越す(越年) 冬を越す 権限を越える(越権)
  • 飛び越す 乗り越える 引っ越す 見越す 持ち越す
  • ラインを越える ハードル(バー)を越える
  • 60の坂を越える(越す)

「超える・超す」

(意味)

  • ある一定の数量・基準・限度などを上回る。超越する。
  • 抜きんでる。

(用例)

  • 11万円を超える額 基準を超える 子どもが親を超える
  • 人口が100万を超える 気温が30度を超える 制限重量を超す
  • 半数を超える 定員を超える 予想を超える
  • 党派を超える(超党派) 人間の能力を超える(超能力)

(新用字用語辞典P163ほか参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)