放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

ABCダイアン・ソイヤー氏,人気1位

アメリカの世論調査会社大手,ハリス社の2月27日の発表によると,全米の成人テレビ視聴者2,016人へのアンケートで,最も人気のあるニュースキャスターはABCの夕方のニュース担当のダイアン・ソイヤー氏で23%,2位がCNNのアンダーソン・クーパー氏とNBCのブライアン・ウィリアムズ氏でともに19%だった。一方,最も嫌いなキャスターは,ラジオのトーク番組司会者で,過激な発言でしばしば物議を醸すラッシュ・リンボー氏で46%,続いてFOXのビル・オライリー氏の31%,CNNのナンシー・グレイス氏が23%だった。

米NBC, YouTubeと提携しロンドン五輪をネット配信

アメリカ国内でのロンドンオリンピックの放送権を持つNBCは,Google傘下のYouTubeと提携し,ロンドンオリンピックのすべての競技をインターネットでライブ配信することになった。アメリカ国内の複数のメディアが3月7日,報じた。動画の配信時間は3,000時間に達し,携帯端末でも受信が可能になる。動画では,テレビのすべての番組のほか,ウェブ独自の内容,選手たちとのインタビュー,さらに毎日のハイライト番組も配信される。

メキシコの富豪,アメリカのインターネットテレビに参入

ラテンアメリカ最大の携帯電話会社América Móvilの大株主で,世界一の富豪とも言われるメキシコ人の実業家カルロス・スリム氏が,アメリカでインターネットテレビ局のOra.TVを開局することが3月12日,同局のウェブサイトで発表された。同局の司会者としては,CNNで25年間トークショーの司会を務めたラリー・キング氏が就任し,同局の最高経営責任者には,ニューズ・コープ社でデジタル・ジャーナリズムの最高責任者だったジョン・ハウスマン氏が就任する。開局は今年中だが,日程は未発表。

ブリタニカ百科事典,書籍版の発行を中止

244年の歴史を持つ英語で最古の百科事典,ブリタニカの書籍版の発行が中止されることになった。シカゴにある発行元が3月13日に明らかにした。同事典はアメリカの多くの家庭の書棚に置かれ,ピーク時の1990年にはアメリカ国内で12万セットが売れた。しかし,最近ではWikipediaに代表されるネット上の事典に押され,最新の2010年版32巻は8,000セットしか売れず,購入者の多くは図書館や学校だった。発行元では,映像やデータベースを充実させた年間70ドルの有料オンライン版は継続することにしている。

カリフォルニアの非営利メディア2つが合併

新聞社や放送局がニュース要員を削減する中で,アメリカでは非営利メディアの設立が相次いでいるが,カリフォルニア州で1977年から活動を続けるCIR(調査報道センター)は,2010年に創設されたBay Citizenと合併すると3月27日,発表した。スタッフ数70人の米国最大の非営利の調査報道機関として活動していくとしている。CIRは合併の理由は明らかにしていないが,ニューヨークタイムズなどによると,Bay Citizen幹部の離任が相次いだため,有能なBay Citizenの記者やプロデューサーをCIRが戦力として雇用したという見方が強い。アメリカでは地域のニュースや調査報道を担う非営利メディアへの期待は大きいが,活動資金の確保など課題も多い。

米スマートフォン,モバイルユーザーの半数に

ニールセンの3月29日の発表によると,アメリカ国内で2月時点の携帯電話利用者の半数(49.7%)をスマートフォンのユーザーが占め,従来型のフィーチャーフォン利用者と並んだ。スマートフォンの前年同期(2011年2月)の普及率は36%で, この1年で急激な伸びを示した。新規購入・機種変更の3分の2はスマートフォンが占めている。OSでは,Androidが48%でトップ,AppleのiPhoneが32.1%,BlackBerryが11.6%となっている。しかし直近の3か月でみると,Androidの48%に対して,Appleが43%と人気が高く,BlackBerryは5%と落ち込んでいる。