放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米HDTV所有世帯,増加傾向の一方で受信は44%

アメリカの家電業界の団体CEA はこのほど,米国内のHDTV所有世帯が2007年内に36%に達するとの予測を発表,同時に所有世帯のうちHDTV 放送を受信しているのは44%に留まっているとの調査結果も明らかにした。現在,HDTV所有世帯は全米の世帯のうち30% で,2007年には1,600万台のHDTV が販売される見通しである。しかし実際にはHDTV を所有していてもHDTV 放送を視聴しない世帯が少なくない。背景にはHDTV 放送の高価な料金や,放送よりも映画視聴やゲーム利用のニーズが根強いことが指摘されている。

米ブロードバンド普及率に鈍化の兆しか

アメリカの成人の半数近くが,自宅でブロードバンド(BB)にアクセスしていることが,調査機関ピュー・インターネットが7月3日発表した調査結果で明らかになった。インターネット接続のうちBB接続が70%,ダイヤルアップ接続は23%だった。ただ,BB接続は2005~ 06年には40%の増加だったのに対して2006~ 07年には12%増加に留まっている。ピュー・インターネットのジョン・ホリガン氏は,BB 接続に切り替えない人たちを取り込んでいくのは「BB で得られる動画などのコンテンツ内容が大幅に改善されない限り難しいのではないか」と述べている。

米ニールセン,ウェブの閲覧基準を変更

ニールセン・ネットレイティングス社は7月10日,閲覧したページ数でサイトの人気度を決めていた基準を,閲覧した「時間の長さ」に変更すると発表した。ページが自動更新されるソフトが普及して,ユーザーが新たなページに移動しなくても情報が手に入るようになったり,ユーチューブに代表されるオンラインビデオを見る人が多くなったことなどが理由とされる。新基準では検索サイトのグーグルは3位から5位に落ちてしまう。リンク先をすばやく示し,利用者をそこに誘導するという検索エンジンの特性のためだ。

米PBS,新チャンネル“PBS WORLD”を開始へ

アメリカの公共放送PBSは7月11日,24時間放送の新チャンネル“PBS WORLD”の配信を8月15日から開始すると発表した。同チャンネルは,American Experience, NOVA, Nature,などPBSの代表的なドキュメンタリーや報道番組などを編成するもので,配信を受けるPBS加盟のローカル局がその中から取捨選択し,ローカル番組なども加えたうえで放送される。当面,ニューヨークやボストン,ロサンゼルスなどを含む20の市場で放送される予定で,制作や配信にはボストンの WGBHやニューヨークのWNETなどの局も協力する。

米TiVo社,CM視聴率の測定結果を公表

アメリカのDVR(デジタル録画機)業界最大手のTiVo社は7月16日,同社のDVRサービス加入者のCM視聴状況に関する調査結果を発表した。これは加入者の視聴状況(リアルタイム及びタイムシフト視聴)を秒単位で測定した結果を広告代理店などにレポートの形で提供するサービスで「TiVoストップウォッチ」と呼ばれる。注目されているのは良く見られるCMと人気番組との間に殆ど相関がなく,視聴率ベスト5のCMのうち,視聴率ベスト10番組で放送されたものがわずか1本だったことで,高視聴率番組のCM枠が高額に設定される現行のビジネスモデルが動揺する可能性がある。

ベネズエラ政府,電波の強制使用権をケーブルテレビ,衛星へ拡大か

今年5月に免許更新を認められず放送を停止していた地上商業放送RCTVは7月16日,ケーブルテレビと衛星放送で放送を再開した。RCTVはチャベス大統領に批判的な報道で政府と対立を続けてきており,5月の放送停止後はアメリカに本部を置いてRCTVインターナショナルと改名した。一方,ベネズエラ政府は「政府広報」などを行う際に地上放送に対して持っている強制的な利用権をケーブルテレビや衛星放送にも拡大すると発表しており,対立と混乱は今後も続くと見られる。