放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.11.01英テレビ受信許可料,年額126.50ポンドへ

イギリスの放送を所管する文化メディアスポーツ相は11月18日,2005年4月1日から,カラーテレビの受信許可料を年額126.50ポンド(約2万 5,300円)へ,白黒テレビ受信許可料を42ポンド(約8,400円)へ,それぞれ値上げすると発表した。この値上げは,BBCによるデジタル放送の経費を賄うため2000年に決定した方式によるもので,受信許可料は小売り物価指数に1.5%プラスした率で2006年まで毎年値上げされる。なお,値上げ幅は,カラー料金が5.50ポンド(約1,100円),白黒料金が1.50ポンド(約300円)。

04.11.01仏地上デジタル放送,予定通り3月に放送開始へ

2005年3月に地上デジタル放送が開始される予定のフランスでは,10月にHDTV導入のため放送開始の延期を勧告する報告書がラファラン首相に提出され,その予定が遅れる可能性が出ていた。しかし首相は11月8日,予定通り3月にMPEG-2を使用して無料チャンネルの放送開始を決定した。2005年9月に開始予定の有料チャンネルの方式は2004年内に決定されることになった。首相決定の約2週間後の24日,TF1のルレイ会長は規制監督機関CSA のボディス委員長と会談し,HDTVが可能なMPEG-4への支持を撤回してMPEG-2を支持すると伝えた。HDTV推進派だったTF1のひょう変の裏には, MPEG-2方式支持を打ち出すことで,この方式による新たな免許公募に応募して地上デジタル放送で有利な立場を確保したいという判断があったものとみられている。

04.11.01独,ドイチェ・ベレ改正法成立

ドイツの国際放送機関ドイチェ・べレ(Deutsche Welle/DW)に関する改正法案が,10月28日連邦議会で可決,11月28日連邦参議院の同意を受けて成立した。発効は2005年1月1日。DW は,ARD加盟の州放送協会やZDFとは異なり,州法や州間協定ではなく連邦法で設立され,連邦政府交付金で運営されている。今回の改正により,DWの任務は,ドイツの実情を世界に伝えることに加え,文化および国民間の交流と相互理解を促進すること,と規定された。またDWは,対象地域,対象視聴者層,送信手段,番組形式などに関する4年間の任務計画を,みずからの責任で立案し遂行することになった。これにより,報道の独立性が強化され,中期的な経営計画が保障された。任務計画立案の際には,連邦政府,連邦議会のほか誰でも意見を表明する機会を与えられる。また現在のラジオとテレビに加えて,インターネットによる情報提供や双方向サービスも法的に保障された。

04.11.01独ProSiebenSat.1 Media社,米で有料放送開始へ

大手商業放送事業者ProSiebenSat.1 Media社は11月16日,ドイツ語による有料の衛星テレビチャンネル「ProSiebenSat.1 Welt」を2005年1月からアメリカで開始すると発表した。同チャンネルは,アメリカの衛星放送事業者EchoStarのプラットホーム上に開設される。番組は,ProSiebenSat.1傘下のSat.1など4放送局から提供され,ドイツ国内のニュース,映画,娯楽番組のほか,プロサッカーのブンデス・リーガの生中継などが24時間放送される。なお同チャンネルは,広告放送も行う。対象は,約100万人いるとみられるアメリカ在住のドイツ語を話す視聴者。ドイツのアメリカ向け有料放送としては,すでに公共放送のARD,ZDF,ドイチェ・ベレが2002年4月に共同で開始したGERMAN TVがあるが,2004年11月時点で,契約者が約1万件と伸び悩んでいる。

04.11.01国境を越えるメディア活動で欧州評議会が報告書

ヨーロッパ46か国が加盟する国際機関の欧州評議会は,一つのメディア企業が複数の国で活動を展開したり,あるいは自国以外の国の視聴者のみを対象とする放送を実施するなど,国境を越えるメディア活動の現状を検証した専門家委員会の報告書を11月29日に公表した。報告書は,少数のメディア企業が強力になり,新規参入や多様な視点が伝えられる機会が妨げられることになれば,文化的・言語的多様性が損なわれる危険性があると指摘した。報告書は,表現と情報の自由の保障,複数の意見の伝達,多様なメディアが存在できることを目的とするヨーロッパレベルの政策を欧州評議会が検討する必要があると述べている。