発掘ニュース

No.287

2021.02.19

趣味/教育

ベテラン囲碁棋士、若き日の奮戦映像を発掘!

今回は囲碁ファンの皆さん必見!あの名棋士の若き日の姿を記録した映像の発掘です。

1978年度の『第26回NHK杯争奪囲碁トーナメント』3回戦第4局。
藤沢秀行棋聖趙治勲八段」の対局<1979年2月4日放送>です。
(今回は基本的に当時のタイトルや段位でご紹介いたします。)

司会は菊谷彰アナウンサー。対局前のインタビューを聞いてみると…

菊谷アナ「今回は棋聖戦の合間をぬっての参戦ということで、お疲れではないですか?」
藤沢棋聖「いや、酒やめてますからね。」
菊谷アナ「昨年もそうでしたが今年もやはり、正月からずっとですか?」
藤沢棋聖「そうです…食事の量が増えて、斤量が増えちゃって(笑)体の調子はいいです。」
囲碁に対する限りない情熱と、その破天荒な生き様で多くの人々から熱狂的な支持を集めた秀行さんは、この時53歳です。

菊谷アナ「治勲さんはお酒の方はどうなんですか、かなり召し上がる?」
趙八段「いえ、少し飲む程度です。」
菊谷アナ「この正月は治勲さんにとって賑やかで…秋に赤ちゃんがお生まれに。お名前は?」
趙八段「“まどか”ちゃんです。」
口数少ない治勲さん、当時22歳!初々しいです。

テレビでは初めてだったという2人の対局!大盤解説したのは…

聞き手がアマ七段で強豪として知られる菊池康郎さん。肩書きの緑星会は菊池さんが主宰した囲碁の研究団体のことで、この放送があった1979年には緑星囲碁学園という子供たちに囲碁を教える教室を始めました。山下敬吾九段(現在)はじめ数多くのプロ棋士を育て、囲碁の普及に努めてきた方です。

そして解説は武宮正樹九段!明るいキャラクターで今もファンの多い武宮さん、放送時点で28歳。囲碁以外にもバックギャモンが得意で、歌やダンスなど趣味も多い方です。

先手、後手を決める『にぎり』で藤沢棋聖が先手の黒番になったことについて…
武宮九段「今日の碁は本当に楽しみです。秀行先生、治勲とも、黒白どちらを持ってもこなしますけれど、特に秀行先生が黒番ですと“中国流”ですかね、得意の。それに対して治勲がじっくり後からついていってという感じで…。」
菊谷アナ「いま武宮さんは“治勲、治勲”とおっしゃいますが、“治勲”とか“治勲ちゃん”とか子供の頃から可愛がられまして(笑)いまはすっかり第一人者になりましたね。」
菊池さん「武宮九段の弟弟子ですよね。」

準決勝進出をかけた一番、勝ったのは趙治勲八段。142手、中押し勝ち(相手の投了)でした。

こちらは決勝戦終了後のトーナメント表。今から42年前の第26回NHK杯囲碁トーナメントの映像は千葉県にお住いの方から提供いただきました。全25局のうち合計22局分のビデオテープ、本当にありがとうございました!

では発掘映像から何人かの棋士の皆さんの姿を…

一回戦不戦勝で二回戦最後の登場、坂田栄男名誉NHK杯選手権者
菊谷アナ「坂田先生は扇子などに書く揮毫は?」
坂田選手権者「私はいま二種類ですね。三々の打ち込みをもじって“燦々”と、あとは“幽玄”です。“傲骨虚心(ごうこつきょしん)”というのを前は書いていたんですが、4文字なので最近は無精しまして2文字にしているんです(笑)」

3回戦第3局「大竹英雄名人小林光一八段
菊谷アナ「昨年、見事名人を奪還されて良いお正月だったんじゃないですか?」
大竹名人「その後、ひどい成績を残しちゃったもので…。」
菊谷アナ「名人戦の疲れが残っていた?」
大竹名人「そうじゃなくて実力が出ちゃったんですね。」
菊谷アナ「小林さんはテレビでは名人とは初めての対局、その他の成績は?」
小林八段「まだたくさん当たってないですけど…たしか5局。」

大竹名人「みんな負かされてます。だいぶ(小林八段が)勝ち越してるんです。」
小林八段「3勝2敗です。」
大竹名人「順番から言うと私が勝つ(笑)」
結果は白番の大竹名人の中押し勝ちで、準々決勝に進みました。

さらに今回の発掘では、大盤解説の“聞き手”にも注目の人選が…

奇術師の伊藤一葉さん、アマ三段!
伊藤さん「私はプロの方の碁を見るのが最高の楽しみです…。最近、碁盤がほこりをかぶっていますが。将棋も最近初めて16級から15級くらいまで近づいて…王手飛車だと必ず飛車が逃げちゃいますが(笑)」
菊谷アナ「噺家や講談の方もお好きな方が多いですね?」
伊藤さん「見てますと、だいたい一局3分から5分ですね。目にもとまらぬ早業で(笑)」

そしてこちらもアマ三段!三遊亭円楽さん(五代目)です。
「うちの父がね、お亡くなりになった若き日の木谷先生の大ファンで、実の子供から専門棋士を出したいと…それがために男の子6人です。みんな小さい頃から教えられましてね。碁を通じて人生観を教育してくれたんだと思います。うちの次男、私の兄が専門棋士になっていれば大竹名人たちの先輩として君臨してたんじゃないかと…(笑)」

42年が経ち今年度、第68回のNHK杯囲碁トーナメントも大詰めです。
囲碁や将棋は対戦した記録として棋譜は残っていますが、対局している映像はなかなか残っていません。昭和の名棋士たちの貴重な映像発掘です。さらに昔の囲碁や将棋のNHK杯の映像をお持ちの方は、是非情報をお寄せください!

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