発掘ニュース

No.182

2018.02.09

趣味/教養

『箏(こと)のおけいこ』33本発掘!

教育テレビ(いまのEテレ)といえば様々な入門講座を放送してますが、この番組はまさにNHKならでは!
伝統楽器のひとつ箏(こと)を一年間にわたって学ぶ講座です。

1982(昭和57)年は全25回、1983(昭和58)年は講師が代わりなんと全51回にわたり木曜日の夕方6時から30分間お送りしました。

今回は最初の年の初期の回を中心にご紹介いたしましょう!先生は上木康江さん、アシスタントは牧瀬裕理子さん

アシスタントといっても生田流箏曲の宮城宗家を代表する演奏家のひとりで、毎回、先生と一緒に素晴らしい箏の音色を聞かせてくれます。

さて講座番組といえば生徒の皆さんが必ずいますよね。

小学生から主婦そして男性も!幅広い層に向けて箏の魅力を伝えようという「こと」なのでしょうね!
(…失礼)

ところで“箏”という漢字、あれっ“琴”じゃないんだ!と思った方もいるのでは?実は私も不思議に思いましたが、当時も視聴者の皆さんからの質問が多かったようで、第3回の冒頭で説明していました。

「『こと』というのは、昔は弦楽器の総称でした。私たちが弾いている『こと』は“箏(そう)”の『こと』と言いまして竹冠の字を書きますのが本当です。最近は“琴(きん)”の字をあてて書くようですが、“琴(きん)”の『こと』は本来違う楽器なんです。昔、中国から七弦琴という楽器が来まして、柱(じ)を用いないで弾く『こと』でした。」

柱(じ)というのはこちら…

橋脚のように13本の弦をそれぞれ支えて、その位置によって音の高さや低さを変える道具です。この柱(じ)を用いるのが、用いないのがなのだそうです。

この第3回では、柱(じ)をどのように置いて弦の調子を合わせていくか、いわゆるチューニングを30分かけて学んでいきます。

このほかにも…

「爪」の部分と「輪」の部分が別々に売られているものを、どうやって自分に合った爪に作り上げていくかを実演したり。

箏全体を龍に見立てていろいろな部分に名前が付けられていることを教えてくれたり…。

とにかく時間をたっぷり使って、初歩の初歩から箏のイロハを教えてくれる番組だと感じました。

参考までに、発掘された全33回のサブタイトルをご紹介しておきます。

◆1982(昭和57)年度放送

「おけいこをはじめるにあたって」
「調子合わせの前に知っておくこと」
「平調子」
「さあ,箏を弾きましょう」
「中指,合わせ爪,押手の練習」
「“トンテン”と“シャンテン”の練習」
「割り爪の練習」
「“さくら”を弾きましょう」
「すくい爪の練習」
「六段の調」(1)
「六段の調」(2)
「雲井調子・調子替え」(1)
「六段の調」(2) ―二段―
「中空調子」 ―調子替え―
「六段の調」(5) ―五段―~移調~
「楽調子」
「六段の調」(6) ―六段―~調子替え~
「古今調子と“千鳥の曲”」
「六段の調“全曲”」 ―調子替え―
「卒業演奏」

◆1983(昭和58)年度放送

「親指の練習」(3)
「中指,合せ爪の練習」(1)
「中指,合せ爪の練習」(2)
「すくい爪の練習」
「中国地方の子守唄」
「かき爪,割り爪,引き連の練習」
「左手-押しいろ-の練習」
「秋の七草」(1)
「秋の七草」(2)
「秋の七草」(3)
「六段の調」~初段~
「六段の調」~初段(2)~
「六段の調」(3)

最後になりましたが、今回のビデオは『宮城道雄記念館』から提供いただきました。宮城道雄さんはあの有名な筝曲「春の海」を作曲した方で、箏の世界で知らない人はいない偉大な方です。今回はたくさんの映像を提供いただき、本当にありがとうございました!

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