発掘ニュース

No.076

2015.10.09

情報番組

テレビの力、そしてメッセージ!~家族、若者、戦争…

先週に引き続き、発掘スペシャル番組「幻の名作 発掘大作戦!」の報告、第2弾です!

今回はまず昭和を代表する喜劇役者・三波伸介さんです。

そっくりのこの方、長男の伸一さんです!二代目・三波伸介を襲名、喜劇役者として活躍しています。今回、お父さまが録りためた数多くのビデオテープを提供してくれました。

ビデオテープが長年保管されていたのは、山梨県・石和温泉の老舗旅館。お父さまが昭和45年頃から“ひいき”にしていた旅館です。お父さまが亡くなったあと、膨大な遺品の保管場所に困っていたところ手を差し伸べてくれたそうです。

三波伸介さんといえば、何といっても『お笑いオンステージ』!

その名物コーナー「てんぷく笑劇場」。今見ても家族で笑える楽しいコントの数々です!

「本人が良く言ってたんですけど、テレビは一瞬見て面白くなければチャンネルを変えられてしまう。…チャンネルをそのまま釘づけにするにはどうすればいいかを考えるためにも、出来が良かったなと思う回は残しておきたいと…。」

「親父は亡くなってしまいましたけれど、皆さまの思い出の中にいる以上は生きていると僕は思っています。うちの親父を思い出してもらう機会として、こういうVTRは残しておきたい…。」


三波伸介さんの番組が“人生の転機”に!

『お笑いオンステージ』への出演が“人生を変えた”という方がいます。
自然豊かな八ヶ岳のふもとに暮らす、このひと!

柳生博さんです。
「ほとんどのビデオは捨てちゃったんですけどね、色んな意味でこのテープだけは僕の家族にとって“宝もの”で、これは残してあります。」

『お笑いオンステージ』の「減点ファミリー」(減点パパ)という人気コーナー。柳生さんは長男の真吾さんと次男の宗助さんと一緒に出演しました。

「僕のパパ。柳生真吾。僕のパパは仕事でいつもいない。一週間のうち時々しか会えないこともある。いる時は、いつも僕は遊ぼうと言う。だけどママは“疲れているから後で遊びなさい”と言うので、家にいてもなかなか遊べない。」

「パパが休みになると植木の手入れをする。その時は僕も手伝う。僕は普段のパパも好きだけどテレビの中のパパもとっても大好きです。」

柳生さんはこの出演の1か月後、八ヶ岳のふもとに引っ越すことを決断します。『減点ファミリー』への出演で、家族と一緒に過ごす時間の大切さに気付いたからだといいます。

家族で力を合わせ、荒れた土地に木を植えて森を作りました。現在は、レストランをはじめ人々が集まる憩いの場に。

しかし一緒に作り上げてきた長男の真吾さんは今年5月に病気で他界…。今は次男の宗助さんが中心となって森を守っています。

「三波伸介さんは恩人ですね。僕の人生を変えたっていうぐらいにね。」


巨匠たちから若者たちへのメッセージ!

この発掘ニュースでもご紹介したことがある『若い広場』(教育テレビ)のインタビューコーナー「マイブック」。

第一線で活躍するゲストがお気に入りの一冊を紹介します。インタビュアーは17歳で抜擢された女優の斉藤とも子さん。

のちにノーベル文学賞を受賞する大江健三郎さんはマーク・トゥエインの「ハックルベリー・フィンの冒険」を紹介。

世界に誇る映画監督の黒澤明さんは、繰り返し読んだというトルストイの「戦争と平和」。

「この作品の中の色んなシーンの影響がね、例えば僕の作品にはずいぶん出ていると思うんです。一本の作品ていうのは、最初からおしまいまで、ちゃんと一遍読まなきゃいけない…。」


つかこうへいさん          伊丹十三さん         五木寛之さん  

その後、各界の“巨匠”となった皆さんの若き日の貴重な言葉の数々。
スタジオゲストの石坂浩二さん、ロバート キャンベルさん、渡辺満里奈さんの反応は?

ロバート キャンベルさん「“本の中のここが見どころだよ”とか“この人物がこれを意味してるよ”とか一言も言っていないんです。」


石坂浩二さん                  ロバート キャンベルさん

石坂浩二さん「皆さんがそろって自分を語っているんですよね、本じゃなくて。」
キャンベルさん「本をダシに使いながら、自分にとっての人生を17歳の斉藤さんにぶつけている感じがして…。」


渡辺満里奈さん

渡辺満里奈さん「それを斉藤さん一人が聞くんじゃなくて、ホントに多くの若い人が聞ける…私、今この番組があったら見たいなって思いますね!」
石坂さん「これは、いま放送しても見ますよね!」


テレビが伝えてきた忘れてはならない歴史“戦争”

最後は、山田洋次さんが映画監督としてデビューする直前、はじめて手がけたテレビドラマの発掘です。太平洋戦争末期の特攻隊員、そしてその遺族をテーマにした作品で発掘ニュースNo.17でもご紹介しました。

このドラマについて、20歳の清水富美加さんが山田洋次さんに直接質問をぶつけました。

清水「授業でもやったけど、心情がどうのというよりは“どこで何がありました”とか“どういう戦い方をしました”とか…」

山田さん「歴史的な事実として、さらにいえばデータとして、今のこの国じゃあまりちゃんと教えないけど、それにしても一応伝えられている。…だけどそこに欠けていることは、残された家族の悲しみはこんなに深かったんだということ、あるいは肉親が死ぬというのはこんなに悲しいことなんだということ、それが何万、何十万、何百万ていうことがこの国にあったんだということを、深い悲しみや怒りや嘆きを込めて伝えるということは勉強の上ではなかなか伝わらない。」

「ドラマ・遺族が時を超えて発掘されて…、自分と同い年くらいの人たちや、戦争への意識が薄れてしまっている人たちに見てほしいな、と思いました。」
「あの作品は、テレビもまだ初期だったからとても拙いけれど、残された遺族の深い悲しみを何とかして伝えたいっていう思いは、僕たちもあったし、あの時のNHKのスタッフ皆にもあったから、きっと見たあなたにも伝わったんじゃないかな…。」

73分間の発掘スペシャル番組「幻の名作 発掘大作戦」、ダイジェスト版でお届けいたしました。いかがでしたか?

「番組発掘プロジェクト」は、番組発掘を通じて、ビデオを大切に手元に置いてきた皆さんの思いや、かつての番組が込めた時代へのメッセージを皆さんに伝えていければと考えています。

次回は、番組報告の最終回!お待ちかね、“あの番組”の復元版をご覧いただく予定です! お楽しみに!!

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