発掘ニュース

No.077

2015.10.16

情報番組

“美味しい”は時代を超えて!『きょうの料理』の名物先生から

“食欲の秋”ですね!
今週の発掘番組はテーマ音楽を聞けばすぐ分かる、皆さんご存知「きょうの料理」
毎日の料理のコツを、四季折々の食材を生かして紹介しています。

なんと1957(昭和32年)に始まった超長寿番組です!もう60年近いんですね。
しかし1980年頃までの放送分は、ほとんどNHKに保存がありません。

今回発掘されたのは1976~80年までの11本。すべて、こちらの方が講師です!

波多野須美さん。教えてくれるのは中国料理、なかでも家庭で簡単にできるお総菜にこだわりながら、なおかつ本場中国の味を追求した料理が特徴です!

紹介されている料理をリストアップしてみると…

豚バラ肉の甘酢あんかけ
鶏手羽先のハム詰め
ひき肉の卵巻きあんかけ
白身魚と野菜の炒めもの
牡蠣と豆腐のいため煮
スペアリブの煮込み

…と、料理の名前を見ているだけでお腹がグー~!

ひとつレシピをご紹介いたしましょう!
タイトルを見て気になったこちら…

1978(昭和53)年放送の「上海風焼き肉」、ボリュームのある一品です!

材料はまず豚肉の肩ロース600g、ステーキのような厚さと大きさのもの4枚です。波多野さんのシンボルの一つでもある大きな中華包丁で、肉をたたき、筋に切り込みを入れます。

生姜1片とネギは豪快に包丁でバンッ!と潰します。
「みじん切りにしますと、長く焼いた場合に焦げて肉のまわりに貼りついて、仕上がりも汚くなるので、こういうときは塊のものを使った方が良いと思います。」

下味は…

砂糖大サジ2、しょうゆ大サジ4、酒大サジ2。
「もともと上海料理でございますので、上海の人たちは濃い口しょうゆを使うんです。…手元にある方は4杯のうちの2杯濃い口に代えていただいて良いと思います。」

そしてよく混ぜて漬けこみます。長くても30分、10分くらいでも味が付くとのこと。あまり長く漬けるとからくなってしまうのでご注意!

そして焼く寸前に片栗粉をまぶしてなじませます。あくまでも焼く寸前が良いそうです。

さあ、いよいよ焼きます!いため油は多めに大サジ3。
じゅー!と最初は強火で。イイ音です!そのあと少し火を弱めて…フタをします。

30秒ほどたってフタを取ると…

おいしそうな色に焼けています。
菜箸を刺してスッと通るくらいになったら出来上がり!

「ボリュームたっぷりのお肉が焼けております。育ち盛りの方でしたら、一人1枚は召し上がれるんじゃないでしょうか。」

さて、過去の番組を見ていると、その時代の生活感や社会が見えてきますが、料理番組も同じですね!たとえば…

1979(昭和54)年放送の「スナック教室~中華そば」です。

1970年代といえばインスタントラーメン、そしてカップ麺が劇的に広まった時代!しかし“生”の麺を使ったラーメンの市販品はあまり多くありませんでした。今でこそスーパーマーケットに行くと何種類もの“生ラーメン”が並んでいますが、本格的なラーメンはもっぱらお店で食べるものという時代でした。

「家でラーメンを作る時、どんな麺を使えば良いかということですが…?」
と生の麺を紹介するところから始まっています。

また別の回では、今は一般的になってきた中国料理に使われる調味料に関して…

「“黒い”おみそをお使いください。八丁みそなどですね。私は中国のおみそ『テンメンジャン』を使っておりますが…」というように、“代用品”を紹介するケースがしばしば。今やスーパーマーケットに行けば大抵見つけられるテンメンジャン(甜麺醤)ですが、まだまだ一般的ではなかった時代です。

中国料理を家庭のお総菜として『きょうの料理』で広めた波多野さんのレシピの数々…。普段、料理をしない私がみても「なんだか自分にも出来そう!」と思える、分かりやすいお話と料理です!

さて、これらの貴重なビデオを提供してくださったのは、波多野須美さんの長男・啓介さんです。


須美さん(左端) 啓介さん(右から2番目)

お母さまが料理の先生となると、聞いてみたくなるのは毎日どんな食事だったのか?!

「母は本の出版のための撮影などで、とにかく忙しい人でした。自宅で撮影をしていたので、撮影のために作られた料理がたくさん残ってしまって、もちろんスタッフの方たちにも持って帰ってもらうのですが、それが冷蔵庫の中に沢山ありましたから、中学生のときとか、遅くに帰ってくると、それをつまんで食べていました。」

いつでも冷蔵庫の中に美味しい中国料理が!?うらやましいです。

「冷蔵庫の中の思い出の料理は、春巻きとエビチリとトンポーローです。特に春巻きはいつも入っていて、それをよく食べていました。今の大きさの春巻きは私が日本に持ち込んだのよと母は言っていましたね。エビチリは、母の作り方は殻付き頭付きで作るので殻を取るのがめんどうだった覚えがあります。母は『けちけちするのは嫌、豪華にするの』が口癖で、大正エビを殻付きで使うのが母の流儀でした。お節みたいな感じが好きでしたね。」

数多いお母さまの思い出の料理の中で、一番は?

「母の一番の思い出の料理は『チャイニーズステーキ』と母が呼んでいた料理です。(お葬式の時に)お棺にも入れたくらいです。お客様が来ると必ず出していて、薄切りと厚切りの中間ぐらいの牛肉にソースをからめて、グリンピースを添えたりしていました。ソースの味はオイスターソースが中心なのか?よくわかりませんが独特の味でした。」

うーん、美味しそう!食べてみたい!
今回ご紹介したレシピ「上海風焼き肉」は、もしかすると『チャイニーズステーキ』と似ている料理なのかも?!と勝手に想像してしまいました。

現在は啓介さんの奥さま、波多野亮子さんが須美さんのレシピを引き継いで料理教室を開いているとのことです。


波多野須美さん(右)と亮子さん

時代が変わっても引き継がれていく“味”、素晴らしいですね!
NHKのアーカイブスにも須美さんの料理の数々を末永く保存させていただきます。

思い出・コメントはこちら

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