発掘ニュース

No.067

2015.07.31

ニュース/報道

私たちが耳にしてきた“玉音放送”とは?

昭和天皇がラジオ放送で国民に終戦を告げたいわゆる「玉音放送」。
ニュースでご存知の方も多いことと思いますが、その音声を記録したレコード盤、「玉音盤」の“原盤”が、8月1日、音声とともに初めて公開されます。

皇室の所蔵品として保管され、これまで一度も公開されてこなかった“原盤”。このたび宮内庁が原盤の再生に成功し、戦後70年を経て、放送時のままの「玉音放送」がよみがえることになったのです。

そこで疑問になるのが、これまで私たちがテレビなどで耳にしてきた玉音放送の音源は、いったいどこからきたものなのか?…ということです。

実はNHKの中でも、はっきりしたことが分かっていなかったというのが事実です。

今回の“原盤”公開をきっかけに、社会部の記者やNHK放送博物館の学芸員、そしてアーカイブスが一緒になって、“玉音放送”の謎の解明に臨みました。

そして、たどり着いたのが一枚のレコードです!

「終戦の詔勅」(しゅうせんのしょうちょく)と書かれたLPレコード。
レコード類が保管されているNHK浜松支局の保管庫に保存されていました。「終戦の詔勅」とは、まさに玉音放送のことです。

レコードが入っていたジャケット見てみると…

『音のライブラリー』と書かれています。
1951(昭和26)年からNHKでは、無形文化財の保護を目的に“民俗”“伝統芸能”“人物”“事件”などの音声素材を収集・保存する『音のライブラリー』を始めました。

その一環として探し出されたのが、このレコードに収録されている音声ではないか…というのが推論です。

では、どういう経緯で「玉音放送」がNHKにもたらされたのでしょうか…?

終戦から一年後、GHQ=連合国軍総司令部が、当時の宮内省から借り出した“原盤”をもとに複製盤の製作をNHKの技師に命じました。その技師が、もう1枚余分に複製盤を作り自宅で保管していたのです。

この音盤は、のちにNHKに提供され、そこから更に複製して作られたのが、今回私たちが辿り着いたレコードであり、私たちが耳にしてきた玉音放送の音源なのであろう…というのが“解明チーム”の見解です。(技師が提供した音盤の行方は分かっていません。)

実際に音も聞いてみました。

慎重に針をおとして聞いてみると…

文章の切れ目や、間の取り方など、現在アーカイブスに登録され様々な放送で使われている「玉音放送」と同じであろうという皆の意見でした。

ちなみに“皆さんが放送で耳にする玉音放送”はこちらでお聞きいただけます。

一方、実際に聞いてみて新たな疑問も出てきました。

レコード世代の皆さんはお分かりになると思いますが、トラックが2つに分かれているのです。2つ目のトラックにも同じ「玉音放送」が録音されているのですが、やや音質が悪いもので、何故2つのバージョンが録音されているのか…??新たな謎です。

まもなく公開される「玉音盤」の“原盤”。戦後70年の今年、戦争と平和を考えるうえで大切な“音”になりそうです。

はたして、これまで私たちが耳にしてきた「玉音放送」とは、何か違いがあるのでしょうか?8月1日のニュースに注目です。

思い出・コメントはこちら

ページTOP