発掘ニュース

No.013

2014.06.27

ドラマ

堂々発掘!ドラマ『天下堂々』初の全編!

江戸時代、天保年間に生きる若者たちの姿を描いた時代劇『天下堂々』。
幻の『天下堂々』が録画されていたのはこのテープです!

1/2オープンリール・統一Ⅰ型と呼ばれるもので、カセットタイプではなく幅1.25cmのテープがリールに巻かれています。
『天下堂々』は1973~4年放送ですから、ベータやVHSはまだ発売されていません。家庭用の録画機で可能性があるのはUマチックや、この1/2オープンリール…しかも統一Ⅰ型はカラー放送に対応していたため、カラーの『天下堂々』発掘の可能性が!!

中のラベルには…

第1回放送と第31回放送の2回分のメモ?!

実はこれまで『天下堂々』は部分的に2本が発掘されています。しかし、それぞれ3分と17分だけ…。一つの回がまるまる残っていれば、これが初めて!!期待が高まります!

プロジェクトのスタッフが集まり、DVDに変換された映像で試写を行います。
ドキドキの瞬間です!

出ました!天下堂々のタイトル。カラー、そしてちょっとコミカルなオープニングです!

ビデオテープを提供してくれたNHKのOB、演出を担当していた松岡孝治さんの名前がありました。

サブタイトルは「頼みは天然一刀流」。調べてみると、これは1974年7月5日放送の第36回。ラベルに書かれていた第1回と第31回ではありませんでした…。はたして内容は??

「大江戸を震わせたあの30日間は、小伝馬町の牢屋から始まったのです」という水前寺清子さんの語りで始まり、ドラマの冒頭、運び込まれた囚人が倒れ込み死んでしまいます。

その原因は「天然痘」。現在は撲滅されていますが、世界中で恐れられてきた感染症です。江戸時代には何十年かごとに日本各地で猛威をふるいました。

天然痘で死んだ場合、その場所ごと焼き払うのが当時のしきたりだったとのこと…。
しかし奉行所は、天然痘での死者が出たことを隠し何もなかったかのように収めようとします…。

天然痘を防ぐタネを持っている人物が蝦夷の松前藩にいる!そう聞いた主人公・佐倉英介(篠田三郎)たちは舟に乗って今の北海道に向かいます。

天然痘を防ぐタネを持っているのは、中川五郎治という人物。医者ではなく、シベリアで厳しい寒さの中6年間抑留された末に手に入れたというタネ。英介たちに高く売りつけようとします。

左から秋吉久美子さん、石橋正次さん、篠田三郎さん。発掘映像の楽しみの一つは、俳優の皆さんの若き日の姿が見られること!今から40年前の皆さんです!

江戸の奉行所では、「天然痘」が流行しつつあることを隠しながら、自分たちは怖くなり魔よけに頼る役人が…。

何とか僅かなタネを手に入れた英介たちは、実際に接種。水で溶き、小刀の先に付けて腕に傷を付けます。記憶にある方も多いと思いますが「種痘」の原型ですね!

一日たって赤く腫れていたら成功、膿んだ傷の膿をタネに!しかしここは北海道…江戸に生きた「タネ」を持ち帰らなければなりません。

船は1か月後にしか出ず、海を渡った青森から陸路をひたすら走ります!(えーーっ!)
膿が消えてしまうリミットの10日間では着かず(それは無理ですよね…)、リレーのようにタネを移します。石橋正次さん演じるけら造は症状が激しく出てヘロヘロに…

ようやく江戸に到着、なんとかタネを広めることができました。

最後に奉行所の役人にタネを接種するのが最大の難関!命を守るためにと説明しても信用せず、タネを打つことを拒む役人…しかし接種しない人間がいれば江戸中に感染してしまう恐れも…

そこで必殺技の登場です!!

それが今回のサブタイトル「天然一刀流」!刀の先にタネを付け村野武範さん演じる造酒が一振り!役人たちの腕にばってんの傷を付けて完了!「3日間風呂に入るな」の決め台詞が笑えます!

ちなみに中川五郎治は実在した人物のようです。

『天下堂々』第36回、完全版発掘です!
随所に笑えるシーンが盛り込まれた楽しい時代劇でした。
全47回分発掘に向けて、まずは一歩です!

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