赤ちゃん返りとイヤイヤでヘトヘト、きょうだいゲンカになってもお姉ちゃんが我慢して言い返さない。そんな悩みについて、専門家とすくすくファミリー、みんなで考えます。

専門家・ゲスト:
大豆生田啓友(玉川大学 教授/3人きょうだいのパパ)
藤本美貴(タレント/3人きょうだいのママ)

赤ちゃん返りとイヤイヤ期のWパンチでヘトヘト…

去年、双子(7か月)が生まれ、育児に追われています。ただでさえ双子で大変なのに、お兄ちゃん(2歳8か月)が赤ちゃん返りして、「ママがいい!」と離れてくれません。その上、イヤイヤ期の真っ最中です。目の前でお兄ちゃんに泣かれながら、双子の泣き声も聞こえてきます。もうヘトヘトです。せめて赤ちゃん返りがなんとかできないかと思っています。
(お子さん3人のママ)

―― すくすくファミリーのみなさんは、どんな経験がありますか?

  • ぐずった娘と40分、歩道を歩いていました。今でも思い出すと涙がこぼれます。
  • お姉ちゃんが、しばらく弟のロンパースを着ていました。
  • お兄ちゃんが赤ちゃん返りしましたが、本人の希望通り赤ちゃん扱いをしてあげました。

―― 大豆生田さんは、どうでしたか?

回答:大豆生田啓友さん

わが家の子どもたちは3人きょうだいです。三者三様で大変でしたね。わが子相手では全く専門家ではなく、もう「どうしたらいいの?」と感じていました。

―― そもそも、赤ちゃん返りはどうして起きるのですか?

赤ちゃんになれば、かわいがってもらえると感じる

回答:大豆生田啓友さん

下の子が生まれて、赤ちゃんがかわいがられていると、「少し前まで自分がそうだった。赤ちゃんになれば同じようにしてもらえる」という心理が働くのだと思います。また、親が下の子ばかりみているので、「こっち見てよ!」と主張する意味もあります。

しっかり受け止めることが大切

回答:大豆生田啓友さん

さきほど「赤ちゃん扱いしてあげた」という声がありましたね。ずっと赤ちゃんでいるわけではないので、正解のひとつだと思います。人は、気持ちをしっかり受け止めてもらえることで、「あとは自分で歩いていこう」と考えるようになります。赤ちゃんのようにふるまうとき、ときどきは受け止めてあげることも大切だと思います。

なかなかお兄ちゃんの相手をできなくてピリピリしているときに、「ママ怒ってる?」と言われたことがあります。「あ、またやっちゃった」と反省しました。
(お子さん3人のママ)

藤本美貴さん

私は、親がすべての感情を抑えて耐えなければいけないとは思いません。怒ったときは、怒っている理由を伝えるようにしています。「お母さん、今ちょっと疲れているから、イライラしているよ」といったことを、伝え続けることが大事ではないかと思います。

言い過ぎてしまったときは、スキンシップなどフォローする

回答:大豆生田啓友さん

子育てでは、イライラして言い過ぎてしまうことがありますよね。そんなときは、自分が冷静になったあとで、「さっきはごめん。ちょっと言い過ぎちゃったよ」と言ってだっこしたり、しっかりスキンシップなどでフォローしましょう。十分に補えると思います。


きょうだいゲンカで、お姉ちゃんがやられっぱなし…

わが家の2人きょうだいは性格が正反対です。お姉ちゃん(4歳4か月)は、とっても静かで、幼稚園でもおとなしいタイプ。一方、弟(2歳4か月)は、やんちゃ盛りで暴れん坊です。弟がお姉ちゃんにちょっかいを出して、ケンカになることもよくあります。でも、いつもお姉ちゃんはやり返すことがなく、じっと我慢をして言い返しません。この先、学校に通うようになると、人間関係が広がって複雑になると思います。そのとき自分の意思を伝えられるのか心配です。
(お子さん2人のママ)

―― すくすくファミリーのみなさんは、いかがですか?

  • 下が男の子だと、お姉ちゃんは我慢することが多いですね。
  • お母さんを取り合ってケンカします。

鈴木あきえさん(MC)

基本的に、おもちゃかママの取り合いでケンカしますね。例えば、どっちがママの“おなかベッド”を多いスペースで寝るかでケンカになるんです。

藤本美貴さん

そんなことになったら、「ケンカするんだったら、ママは1人で寝ます」と言いますね。

先輩ママ・パパのケース

実は、2019年に同じような悩みを持っていた家族がいました。弟(3歳8か月)が、お姉ちゃん(4歳11か月)にお構いなしで、自分のやりたいことを押し通していました。お姉ちゃんはいつも弟のわがままを我慢していたんです。

あれから3年半、小学3年生と2年生になったきょうだいがどうなっているのか、伺ってみました。

この日はママと3人でボードゲーム。2人とも仲よく遊んでいましたが、10分後に弟が「いやだ! どうせ負けるんだよ!」と、わがままを言い出してしまいました。そこでママは、「どうしたいの?」と弟の話をしっかり聞きます。実は、専門家のアドバイス「親はどちらが悪いと決める裁判官になるのではなく、話を聞く配慮が大切(汐見稔幸さん 東京大学名誉教授/教育学)」を実践しているのです。

特に変わったのがお姉ちゃんです。しっかり自分の意見を伝え、弟のわがままに向き合えるようになりました。そのあと弟は、お姉ちゃんの励ましでゲームに復帰しました。お姉ちゃんは、ずいぶん成長したみたいですね。

ママ/3年前に相談したときは、お姉ちゃんが自分の気持ちを言えない子に育つのではないかと心配していました。アドバイスを受けて、子どもの話に耳を傾けるようにしていたんです。例えば、今日はどんなことがあったのか、そのときどう思ったのかなどです。うまくいかないことがあったら、一緒に考えていました。
弟も成長して、話を理解できるようになったことが大きいと感じます。お姉ちゃんが小学校にあがったとき、2人で通っていた幼稚園で1人になり、お姉ちゃんのありがたさを感じたようです。


藤本美貴さん

私は、子ども同士で話し合いをさせます。「2人で話し合って、どうだったのかを伝えにきてね」と言うんです。すると、反省点や今後どうするかを2人で話しにきますよ。

今のことだけでなく、少し長い目で見てみる

回答:大豆生田啓友さん

子育てをしていると、今のこと、目先のことが気になって、「この先、大丈夫なのか」と心配してしまいます。でも、今は難しいと感じていても、長期的に考えればその後の成長があります。そのことがよくわかるケースでしたね。


こどものホンネ
きょうだいのことをどう思う?

子育てでわからないことは、子どもに直接聞いてみよう!

「こどものホンネ」のコーナーでは、SNSの子育て動画で人気の木下ゆーきさんがホンネハンターになって、「こどものホンネ」に迫ります。今回は「きょうだい」について、保育園、年長さんの子どもたちに聞いてきました!

―― きょうだいは誰がいるの? きょうだいのことは好き?

  • 弟がいるよ。好きだよ。ギューってしたりする。
  • 妹のことが大好き。
  • 弟がいるよ。頑張るところが好き。

―― みんな、とっても仲がよさそうだけど、ケンカすることはある?

  • 使っているおもちゃを勝手に取って、「返して」と言っても返してくれない。
  • (子どもたち)あるある!
  • おうちに大きいボール(バランスボール)が1つあって、取り合いになる。
  • お兄ちゃんと自転車とか鬼ごっことかで遊ぶ。でもケンカもする。
  • いとこがよくケンカしている。どっちもどっちで、どっちもかわいそう。
  • 妹がけっこう大人に厳しいんだよ。お風呂以外だと、僕にもカンカンだよ。
  • ケンカしたときはどっちも泣けばいいんだよ。そして大人を呼んで仲直りするんだよ。
  • おもちゃで遊ぼうとしていたら、弟(1歳半)が取ったりする。まだ小さいからあげる。

―― きょうだいに言いたいことある?

  • やさしいお兄ちゃんになってほしい。
  • 弟が早く大きくなって、もっと楽しく遊びたい。

最後に「きょうだいのことが好きな人」と聞くと、みんな「はーい」と答えました。きょうだいと仲よくしたい気持ち、思いやりがあふれるホンネでした。


モヤモヤ子育て
パパが、いつも子どもに「お母さんがいい」と言われてしまう

「モヤモヤ子育て」のコーナーでは、みなさんから寄せられた「育児のモヤモヤ」に、専門家とゲスト、番組MC、すくファミのみんなで考えていきます。今回のモヤモヤはこちら!

私が家事をするとき、夫は子どもたちを「遊びに行こう!」と誘いますが、「お母さんがいい」と断られてしまいます。ふだんから、どんなときも「お母さんがいい」です。夫はその言葉に毎回傷ついています。子どもがお父さんになついてくれる、よい方法があれば教えてください。
(お子さん2人のママ)

すくすくファミリー

朝起きたときは機嫌が悪くて、「お母さんじゃないとイヤ!」と言われます。そんなときには、素直にママに頼ってますね。

藤本美貴さん

「ママがいい」という時期がありました。朝起きたときに、ベッドにしがみついて「ママがいい」と言うんです。そこでパパに落ち込まれると、パパのケアまで考えないといけないので、「あ~、『ママがいい』が出た~、ママお願いね」ぐらいに軽く受け止めてほしいです。

すくすくファミリー

仕事が忙しくて、夕食のときなど大事な時間を一緒に過ごすことが、ほとんどできませんでした。そのときに「ママじゃないとダメ」になっていましたね。しばらくして、上の子が野球をするようになってからは、とにかく一緒に行って、「パパを信用して」と言い続けていました。

すくすくファミリー

わが家も、全部「ママがいい」になっていました。解決策として、パパの得意分野を生かしたほうがいいと思って、近所の河川敷で遊ぶときはパパが子どもたちを連れて行くようにしました。私は河川敷で遊ぶのが好きではないのですが、夫は好きなんです。子どもたちも楽しいようで、他の場面は「ママ」でも、このときは「パパ」になります。

鈴木あきえさん(MC)

私は間接的にパパをほめています。「これは、ママはわかんないからパパだね」「パパの高い高いはもっと上まで行くんじゃない?」などです。パパ専用の遊びが、少しずつ増えてきたと感じます。

大豆生田啓友さん

わが家の子どもたち3人も「ママがいい」でしたね。でも、パパも頑張りました。河川敷の話のように、1つずつ「パパがいい」を増やしていくわけです。そこで、妻が「パパと〇〇していいよね」と言ってくれると助かります。大好きなママが「いいよね」と言うと、子どもたちも「いいかも」となってくれるのです。そのように夫婦で取り組むのもひとつの方法だと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです