WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. 関東大震災100年 火災リスクは現代も 東京23区避難のポイントは

関東大震災100年 火災リスクは現代も 東京23区避難のポイントは

  • 2023年9月1日

100年前の関東大震災では死者・行方不明者が10万5000人を超え、その9割が火災によるものとされています。今後、高い確率で起きると言われる首都直下地震でも、住宅地など広範囲で火災に見舞われるリスクが指摘されています。

大地震で火災が発生すると、首都圏ではどんな危険に直面するのでしょうか。避難や備えのポイントについて解説します。
(全2回の後編/前編の記事を読む)
首都圏情報ネタドリ!取材班

巨大地震による火災のリスクは現代も

100年前の1923年9月1日に発生した関東大震災。その惨事を記録した1000点近くの子どもたちの作文から見えてきた、巨大地震が首都圏を襲ったときのリスクについて前編の記事でお伝えしました。

関東大震災時の火災

首都直下地震でも関東大震災と同様に、密集した住宅地などで、火災で人々が逃げ場を失うリスクが指摘されています。首都直下地震による火災をシミュレーションしたVRです。

あたりを見回しながら避難できる場所へと急ぎますが、見えるのは煙ばかり。実は市街地では、建物に遮られて炎が見えず、どこで火災が起きているかはわからないことが多いそうです。

こうした状況でどのようなことが起きるのか、都市災害のリスクに詳しい専門家に聞きました。

東京大学生産技術研究所 加藤孝明教授
「避難場所の近くや大通り沿いで火災が発生していて、しかもそこへ後ろから次々と避難してくる人がいると、行き場がなくなり逃げ惑うおそれがあります。

シミュレーションでは、出火場所や風向きなど不運な条件が重なると、最大で4000人以上が火災に巻き込まれるという結果もでました」

あなたの街の避難のポイントは?

大地震から身を守るために重要なのは、自分の居住地や勤務地などの情報を事前に把握しておくことです。自治体の防災ホームページなどで、避難できる場所があるのか、どういう経路で行くのが安全か、確認してみてください。

大きな地震があったとき、どのように避難するのかは地域によって異なります。たとえば火災が延焼する危険がある場合は、大きな公園や広場などの「避難場所」で鎮火を待ちます。

その前に学校や近所の公園など「一時(いっとき)集合場所」にいったん集まることを薦めている自治体もあります。

千代田区の全域や西新宿地区などはビルが多く延焼のおそれがない、として「地区内残留地区」と指定され、地区内にとどまることになっています。

NHKでは、東京で大地震が起きたとき、23区ごとに“これだけは知っておいていただきたい”ポイントを5つにしぼって、「わがまち防災」というサイトにまとめました。

例えば豊島区では、12万8000人以上の帰宅困難者が発生するおそれがあり、池袋駅は大混雑します。群集雪崩の危険もあるので、むやみに移動せず、職場や学校など安全な場所にとどまってください。

火災が広がったときに避難する、区内の「広域避難場所」の情報についてもまとめています。

また、世田谷区では火災や住宅の倒壊に注意が必要です。都の想定では、最悪の場合8棟に1棟が焼失・全壊するおそれがあります。

火災が広がったら「広域避難場所」へ移動してください。「駒沢オリンピック公園」や「砧公園」、「二子玉川公園」など25か所が指定されています。

(23区ごとポイントはこちら

勤務先で被災 帰宅困難者になったら…

さらに首都直下地震の避難で念頭に置くべきなのが、勤務先にいるときに地震が発生し「帰宅困難」になった場合です。交通網が発達した現代では、土地勘のない場所で地震が発生し、帰宅困難者になるリスクも高くなっています。

そこで東京都が開発しているのは、帰宅困難者をスマホで誘導するシステム。通信アプリに届くメッセージで自分の位置情報を送ると、近くで一時滞在できる施設が表示されます。

伊原弘将アナウンサーが訓練に参加。東京都足立区の北千住駅前で帰宅困難者になったという想定でこのアプリを使うと、近くの大学と、そこへの経路が表示されました。

駅周辺や道路に人が滞留すると救助活動の妨げにもなるため、家に帰れない場合はこうした施設に向かうことが求められています。

東京都はこのシステムを来年度中に完成させることを目指し、自治体とともに準備を進めています。

ページトップに戻る