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そらまめくんシリーズの絵本作家なかやみわさん(子育て編)

NHKさいたま「子どもプロジェクト」
  • 2022年07月05日

NHKさいたま放送局が、子どもたちが直面する課題や子育て中の親への支援などについて特集する「子どもプロジェクト」。6月は「そらまめくんシリーズ」で知られるさいたま市出身の絵本作家・なかやみわさんをラジオのゲストに迎えました。「絵本づくり編」に続き、「子育て編」をお届けします。

(ひるどき!さいたま~ず 2022年6月17日放送)

 絵本づくり編はこちらをクリック 

絵本作家:なかやみわさん(左) アナウンサー:古野晶子(右)

子どもの生活リズムに自分を合わせて

ことしデビュー25周年の絵本作家・なかやみわさんには現在19歳の息子がいます。絵本作家として仕事と子育てのバランスをとるために行き着いたのは、子どものペースに自分を合わせる方法でした。

絵本作家・なかやみわさん
「とても誇りをもって言えるような話ではないのですが、子育てをしてみて大人のペースに子どもを合わせることはなかなか難しいと痛感しました。子どもを早く寝かせてその後に仕事をしようと思っても、夜中に子どもが起きてしまってそこで集中力が途切れてしまう。なんとなく自分のペースのままでいろいろやろうとするとイライラがたまってしまうので、もう子どもの生活リズムに自分を合わせようと切り替えた時がありました」

なかやさんが行ったのは、子どもと夜9時に一緒に寝て自分は午前3時に起きて仕事にとりかかるという方法でした。子どもは一定時間、一緒に寝ると朝まで寝てくれるので、仕事に集中できてイライラもなくなったといいます。

夜9時にお子さんがしっかり寝てくれればいいですが寝てくれないとこともありますよね?

寝てくれない時期もさすがにありました。当時、子どもを預けている保育園の先生がすごく母親に寄り添ってくれる方で、子どものお昼寝をさせずにその分、外で遊ばせてくれて夜に子どもが寝てくれるようになりました。

周りの方々のサポートもあって生活されていたんですね。

本当に周りの人に助けてもらってバランスをとっていたと思います。

子育てをきっかけにしつけを学べる絵本も

「すきすきはみがき」「トイレですっきり」絵:なかやみわ ミキハウス刊

なかやさんが子育てをきっかけにつくったのが、歯磨きやトイレのしかたなどを学べる絵本「こぐまのくうぴいシリーズ」です。子どもを産むまでは、しつけに関する絵本がまったく心に響かずあまり好きではなかったというなかやさんですが、自分の子どもが絵本で歯磨きなどを楽しく習っている様子を見て絵本をつくることを決めたといいます。

全部で10冊出していますが、いちばん売れているのが歯磨きをテーマにしたもので、次がトイレ、その次がお風呂という感じで、お母さんたちの悩みどころの順に売れています。

どれも私の息子はやらないものという感じでした。

歯磨きの本を見てくれて、一緒にくうぴいと仕上げ磨きができるようになったという感想もいただいているので、お役に立ててよかったなと思いました。

なかやさんはお子さんと、どのように接して子育てをしてきたんですか?

息子が電車がすごく好きで、電車に乗せたり電車を見に行ったりすると機嫌が良かったので積極的にそういう時間をつくっていました。子どもがぐずると私もイライラしてしまうので、そうならないようにしていました。

コロナ禍で孤立・・・子育て中の母親の悩みを一緒に考える

放送では、今、子育てをしている母親が抱える悩みや大変なことについて、なかやさんと一緒に考えました。

NPO法人「さいママ」 岡田美香さん

子育ての現状について話を聞いたのは、産前産後の母親や子育て中の母親などを支援しているさいたま市のNPO法人「さいママ」の岡田美香さんです。岡田さんは助産院を開いている助産師で、医学的な根拠に基づいて電話やオンラインで相談を受けたり、訪問での支援を行ったりしています。相談を受ける際はあらかじめ1時間ほどの時間を設定して、まず母親たちの意見や要望をじっくり聴くことを心がけていて、母親の許可を得た上で必要であれば地域の保健センターなどにつなぐことも行っています。

コロナ前と比べると相談の数はおよそ3倍に増えています。以前は、情報が多すぎて何が何だかわからないという情報の中での孤立化だったのですが、コロナ禍においては、実際に人と会うことがなくなってしまったので内外ともに孤立化しているというのを強く感じています。

岡田さんに相談を依頼した母親に、どのような悩みを抱えていたのか話を聞くことができました。

0歳と1歳と3歳の子どもの母親
「2人目の子が産まれたのが去年で、コロナで人に会うのも怖い、どこかに行くのも怖い、公園に連れて行っても混雑していたら帰ろうと思ってしまうので、家庭で孤立するというか厳しいなという現状を毎日感じています。2人目の時に、母乳、母乳とこだわりがあって半分うつになりかけ、子どもも脱水になりかけてしまいました。そんな中で、気軽に相談できる場所があったから助かったものの、なかったら1歳までちゃんと育てられていたのかなという不安もあります」

 

つらいですよね。今、コロナ禍ということが重なっているだけに、そのつらさが倍増というか、大変なことが2倍にも3倍にも感じられるのではないかと思います。

助産師の岡田さんによると、オンラインで子育て情報を共有したり「ママ会」を開いたりしているサークルもあるので、そうした会や支援をしっかり受けて心を楽にしてもらう時間がおすすめだと話していました。母乳についての話もありましたが、なかやさんは?

私は全然母乳が出なかったので早々にミルクにしました。完全ミルクで育った私の友達がいて、その友達にミルクで育って体に影響があったり困ったりしたことはあったかと聞いたら何もないと言われて、私はつらいことは頑張らないと決めたのでミルクにしました。

 

助産師岡田さんの見解
ミルクと母乳はそれぞれメリットとデメリットがあることを押さえておいてほしいです。ミルクはいつ、誰がどこで作っても同じ成分でカロリーと栄養があります。母乳は母親の血液から出来ているので食べたものの量と内容などによってカロリーや栄養がまったく違うと言われています。母乳だとミルク代という点では0円になりますが、ミルク代は1か月に1万円前後かかることがデメリットだと思います。母乳でもミルクでも、混合で育ててもいいと思います。

離乳食は無理をせず・・・

5か月の子どもの母親
「離乳食をつくっていますが、市販のものもあるし、手作りだと作る人によっても違ってくるのではないかと感じています。自分の作り方で合っているのかなとか市販を使ってはいけないのかな、どうしたらもっと楽に作れるのかなと疑問に思うことが出てきて相談したいと思いました」

なかやさんは離乳食はどうしていましたか?

1回も作ったことないんですよ。瓶です。

市販ということですか?

市販の瓶で私も試食してみたんですけど、けっこうおいしいんですよ。私が作るより味も栄養もバランスもいいと思いましたし、短い期間なので市販のものしか与えていませんでした。だから作るだけえらいと思います。

 

助産師岡田さんの見解
離乳食の期間は本当に短いので「まずは楽しんでいきましょう」ということを伝えています。きのうまで食べられなかったものがきょうは突然食べられたとか、きょうまで食べていたものがあしたから嫌いになるということがあるのが離乳食の時期なんです。小さいうちにたくさんいろいろなものを食べさせないと味覚音痴になるということはさほど気にしなくてもいいと思います。料理が苦手な方には市販のものを使いましょうと、あえて言っています。

岡田さんのNPOでは、訪問支援の際に家事代行のスタッフが同行する取り組みも行っています。家事代行の支援を受けた母親からは「育児にかかりきりになるので、自分自身の体調面を考慮した食事を支援してもらえるのは助かる」という声が聞かれました。

家事代行スタッフが作った料理

家事代行を利用した2歳の子どもの母親
「岡田さんに相談したり子どもの様子を見てもらっている間にあらかじめ伝えた金額で、栄養面や彩り、品数などを考えてつくってもらいました。外食にも行けない中で1食分つくってもらえるだけでもありがたかったです。母乳に優しい食事など親でもわからないことをしていただいた」

「子どもが楽しんで、ママもハッピーに」

 

離乳食を市販のものを使うなど、なかやさんも自分を追い込まないための方法を見つけていたのですね。

そうですね。やはりつらいことはやらない方がいいです。そうしないとまわらないですよ。

この今の状況での子育てにおいては、そういう考え方がいいですよね。

それでいいと思います。

最後に、なかやさんはこれからどのように創作活動を続けていきたいと思っていますか?

私はやはり子どもたちに向けて本を描こうと思っているので、子どもが楽しんで親子とのコミュニケーションもとれて、ママも笑顔でハッピーになって、すべてがうまくいくようなそんなお手伝いができる絵本をつくりたいなと思っています。

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